[1ページ目│記事トップ]
甲斐雅之&野津雄太│THE FLUTE vol.210 Cover Story
オーケストラ奏者としてのポジションを得るために大切なこと─それは経験値
12月に開催された「Muramatsu Flute Fair 2025 プレミアム・コンサート ヴィルトゥオーゾの競演 —GOLD×SILVER—」で素晴らしい演奏を聴かせてくれた、甲斐雅之氏と野津雄太氏が登場となった。 それぞれNHK交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団の首席奏者として活躍しているが、フルートを始めたときには、意外にもその楽器の存在すら知らなかったという。そんな二人がどのようにしてオーケストラで活躍するようになったのだろうか。
取材協力:村松楽器販売株式会社 写真:橋本タカキ

卒業文集に書いた共通の夢
―
お二人での巻頭インタビューは初めてですね。野津さんはTHE FLUTE初登場となります。まずお二人がフルートを始めたきっかけから教えてください。
甲斐
小学校4年生から始めましたが、フルートっていう楽器のことを何も知りませんでした。小学校 で習う リコーダーは好きで、アニメの主題歌などよく吹いていたので、親から何か専門的に楽器をする?と提案されました。当時は管楽器というとクラリネットしか知らなかったので先生を探したのですが、近くに先生を見つけることはできませんでした。
―
ご出身はどちらですか?
甲斐
広島県の府中市というところです。フルートなら先生がいるという話を聞き、そこでフルートとはなんぞや?ということで調べたら横に構える楽器、しかもくわえない楽器ということでまったくイメージが湧きませんでした。でもせっかくならやってみようかと習い始めたのがきっかけです。フルートとの出会いは本当に偶然で、運命だったと思います。でも最初の3ヶ月間は全然音が出ず(笑)。半分やけになってやめようかなと思っていたら、急に音が出るようになって、それで楽しくなり続けています。
野津
私はピアノを昔からやっていたので、吹奏楽部でピアノをやろうと思ったらない。そりゃそうですよね(笑)。それでうちの親に何の楽器を担当したらいいんだろうかって言ったら「フルートやったら」と。でも当時はフルートという楽器はまったく知りませんでした。
―
お二人ともフルートという楽器を知らずに始めたんですね。
野津
そうですね。たまたま顧問がフルートを大学で勉強なさった先生だったんです。私がフルート担当になるよう、母親が仕組んだらしいことが後でわかりました(笑)。フルートなら技術的なことも顧問の先生から教えてもらえるだろうと、「うちの子をフルートにしてください」と電話をかけたらしいです。男子は二人しかいなかったので、顧問の先生は本当は金管楽器や打楽器をさせたかったらしいのですが、金管は移調楽器でドと書いてあってもドの音が出るわけでないことに混乱しましたし、打楽器の楽譜にはドレミがない……それでフルートになりました。
―
お二人ともフルートに縁があったのでしょうね。その後プロを目指そうとしたターニングポイントはありますか?
甲斐
ターニングポイントというと大げさかもしれません。野球少年が将来はプロ野球選手になりたいと思うのと同じような感覚で、将来はプロになりたいと思っていたと思います。小学校の卒業 文集 には、将来はオーケストラで演奏したいと書いていました。テレビで見たのが印象に残っていたんでしょうね。
野津
私は部活でやっていましたから楽しみながら楽器を吹いていました。中学3年生でソロパートも担当するようになると、専門的に勉強したいと思って、顧問にフルートの先生を紹介してもらいました。
さっき甲斐さんが文集の話をしていたときに思い出したのですが、私も中学校の卒業文集に「プロのオーケストラの首席奏者になりたい」って書いていたんですよ。
さっき甲斐さんが文集の話をしていたときに思い出したのですが、私も中学校の卒業文集に「プロのオーケストラの首席奏者になりたい」って書いていたんですよ。
次ページに続く
・“エキストラ”という言葉も知らなかったころ
・バランスの取り方に苦労
・オーケストラは一つのコミュニティ
Profile

甲斐雅之
Masayuki KAI
Masayuki KAI
東京藝術大学を経て同大学院修了。奏楽堂(旧東京音楽学校)にて卒業披露演奏会に出演。また奏楽堂復元開館10周年記念演奏会に出演。藤原勢子、三村園子、峰岸壮一、金昌国、中野富雄、P.マイゼン、M.コフラー各氏に師事。第61回日本音楽コンクール・入選。第9回日本フルートコンヴェンションコンクール・入選。第5回神戸国際フルートコンクール・セミファイナリスト。2002年NHK交響楽団入団。2005年、文化庁芸術家在外研究員としてザルツブルク・モーツァルテウム音楽院にて研鑽を積む。オーケストラ活動のみならずソロや室内楽で活躍する他、各地の音楽祭などに参加する。また後進の指導にも力を入れジュニアオーケストラや音大生のための公開レッスンなど積極的に行う。アジアフルート連盟理事。東京音楽大学、洗足学園音楽大学講師、エリザベト音楽大学客員教授、香川県高松第一高等学校音楽科中央講師。NHK交響楽団首席フルート奏者。
Profile

野津雄太
Yuta NOTSU
Yuta NOTSU
島根県松江市出身。島根大学教育学部生涯学習課程音楽芸術コースを卒業。在学時に学長表彰を受ける。卒業後9年間にわたり、島根大学教育学部附属中学校特別支援学級にて教鞭をとる。第12回びわ湖国際フルートコンクール一般部門GarySchocker賞、第21回宝塚ベガ音楽コンクール木管部門第3位、第26回日本管打楽器コンクールフルート部門第3位、第21回日本木管コンクールフルート部門第3位、第23回日本木管コンクールフルート部門第2位、第18回日本フルートコンベンションコンクールピッコロ部門第2位。NHK交響楽団アカデミー生、札幌交響楽団副首席フルート奏者を経て、新日本フィル 首席フルート奏者。
次のページ: “エキストラ”という言葉も知らなかったころ










