Yamaha YAS-62 仕上げ違い吹き比べ
1978年の発売以来、世界中の様々なシーンで多くのプレイヤーに愛され、2021年に初開催となった全国の楽器店員が“今年お薦めする楽器”を選ぶ「楽器店大賞2021」の管楽器部門では、見事「大賞」に輝いたYamaha YAS-62。
そこで、続いてはYAS-62を愛用するユッコ・ミラーと齊藤健太の両氏に、2025年に追加されたアンラッカー仕上げとアンバーラッカー仕上げを含む、仕上げ違い全4種のYAS-62を一挙に吹き比べてもらう試奏取材を敢行した。本人が試奏した感想に加え、相手が試奏している様子を聴いた感想もあわせて訊いているので是非とも参考にしてほしい。
インタビュー・文:ねじ助、渡部祐也/写真:井村重人(アーニーズ・スタジオ)/取材協力:株式会社ヤマハミュージックジャパン
YAS-62 4種の仕上げをユッコ・ミラーと齊藤健太が徹底吹き比べ!
(文:渡部祐也)

◆ユッコ・ミラー
マウスピース:Beechler Custom Metal 6 リガチャー:Beechler付属のもの リード:Légère アメリカンカット 2.50
◆齊藤健太
マウスピース:Selmer S90 180 リガチャー:HARRISON グローバル復刻版 リード:Vandoren Traditional 3½
YAS-62(ゴールドラッカー仕上げ)
ユッコ・ミラーさん試奏後の感想
ユッコ 私が使用している第1世代モデルとはまた響き方が違いますね。現行モデルは吹き込んでもベルのあたりでズシッと支えてくれる感覚があるので、吹きやすく感じます。低音の成分もバランスよく含まれているように思います。ラッカーらしい素直な音が出ますね。対して私が普段使用している初代62のラッカー仕上げはこの楽器と比べるともっと明るくて軽いので、出る音すべてを自分でコントロールするような感覚があります。
齊藤 やはりラッカー仕上げなのでとてもピュアな音色ですね。
齊藤健太さん試奏後の感想

齊藤 位置付けとしてはCustomランクではない楽器ですが、Custom系で感じられるいい意味での抵抗感がしっかり感じられるので、ガッと息を吹き込んだ時にそのことで音が暴れてしまうことがありません。ヤマハらしい低音域の太さも感じられます。音色のキャラクターがニュートラルなので素直にいい音が出てくれます。
ユッコ やはりピュアで、クラシックらしい柔らかい音色がしますね。
YAS-62S(銀メッキ仕上げ)
ユッコ・ミラーさん試奏後の感想

ユッコ ラッカーよりもパワフルで太い音が出ますね。たくさん息を入れてもしっかり支えてくれます。まさに「いぶし銀」という感じで、吹いていて「ゴリッと感」があります。この楽器は 「どれだけ息を入れてもいいよ!」といってくれている感覚があり、オーバーブローで汚い音にならずに音を遠くまで飛ばしてくれるように感じました。オールマイティにいろいろな場面で使える楽器だと思います。
齊藤 横で聴いていてもすごくパワフルな音が出ているように感じます。「筒鳴り感」といえばいいのか、「コーン」と響く感じの音色が特徴的です。マイク乗りもよさそうです。
齊藤健太さん試奏後の感想
齊藤 ラッカーに比べて少し渋めの音が出ますね。この銀メッキ仕上げは吹き込めばパワフルな音が出るし、暗めの音色を狙えばそこも対応できるという62らしい柔軟さを感じることができます。楽器によって音色が限定されず、奏者側から音色をコントロールできるのがおもしろいなと思いながら吹いていました。オーケストラで吹くには、ダークな音色を出しやすいこの仕上げが向いていると思います。私が所有している銀メッキ仕上げはこのモデル以上にダークな音色を出しやすいという魅力はあるのですが、自分の62Sと比較して現行モデルは全体的に性能が向上していることが感じられます。より音程がよく、意識してコントロールしなくても音程のツボに自然とフォーカスされていきます。楽器自体も鳴らしやすいですし、テーブルキィの操作性もかなり向上しています。やはり世代を重ねているだけのことはあるなと思います。
ユッコ 先ほどのゴールドラッカー仕上げと比較するといい意味で少し硬質な響きを感じます。そして柔らかく演奏した時もまるでフルートのような「シャリシャリシャリ」っとした音の響きを感じました。
YAS-62UL(アンラッカー仕上げ)
ユッコ・ミラーさん試奏後の感想

ユッコ とても吹きやすいです! 表面仕上げのあるモデルは「ちゃんと守ってくれている」感がありますし、音量を出すことも楽にできますが、アンラッカー仕上げは「金属そのまま」の素直な音を滑らかに出すことができます。いろいろなフレーズをずっと試していたくなるくらい、吹いていて楽しい楽器です。そしてジャズにとても向いている楽器だとも感じます。ビッグバンドでもコンボでもスッと馴染んでくれると思います。覆っているものが何もないので、自分がやりたい表現をすべて拾ってくれるような感覚がありますね。
齊藤 いい意味での荒っぽさを感じる音色だと思いました。無濾過の日本酒だとか、皮ごと丸ごと絞ったあらごしのりんごジュースのような、生の音、素のリアルな音はこういうものなんだなというのが感じられるように聴こえました。
齊藤健太さん試奏後の感想
齊藤 クラシック奏者でアンラッカー仕上げを使うことはほとんど見かけないですし、正直にいうと僕はアンラッカー仕上げの楽器は持つことさえ初めてだったと思います。今まで出したことのないような、リードの音がそのまま出てくるようなリアルな感覚があって吹いていておもしろいです。ユッコさんの演奏を聴いた時と同じように、コーティングされていない素の音が出てくる、という感想です。クラシックらしさ、という意味では一般的なイメージとは少し違うのかもしれませんが、例えば年代の古い楽器で吹きたいような楽曲で使用するといった活用法もあるのではないでしょうか。イベールの楽曲の一節を吹いてみたのですが、かっこいい感じになりましたよ。
ユッコ クラシックの奏法で演奏するとまろやかな音色になるんですね。そして今までの仕上げと比べるとそれぞれの音がスムーズに流れるように聞こえます。
YAS-62A(アンバーラッカー仕上げ)
ユッコ・ミラーさん試奏後の感想
ユッコ かっこよくてワイルドな音が出ます! 音色のキャラクターがはっきりしていて、ファンクをたくさん吹きたくなりますね。ゴールドラッカーよりも抵抗感があり、音が遠くまで飛ぶように感じます。銀メッキもかっこいい音がしますが、例えるなら中世の甲冑を着た騎士のようなかっこよさ。対してこのアンバーラッカーは革ジャンを羽織ってハーレーを乗り回す1970年代アメリカ男性のようなイメージです。
齊藤 色が暗いラッカーの楽器はまろやかで大人しい音色という印象を持っている方もいらっしゃるかもしれませんが、この楽器はそのイメージに反してとてもよく鳴る楽器ですね。ユッコさんがおっしゃった通りブリッとしたワイルドな音だなという印象を受けました。しかしギラッとしすぎた明るさではなく、少し落ち着いているけれどしっかり鳴ってくれるというのがいいですね。倍音の成分に偏りがない鳴り方をしてくれる楽器だと思います。
齊藤健太さん試奏後の感想

齊藤 こういってしまうと元も子もないかもしれませんが、このアンバーラッカー仕上げ、好きです(笑)。吹奏感が、今メインで使用しているYAS-875EXGに近い気がします。抵抗感もラッカーよりはゴールドプレートの楽器に近いです。音色が明るすぎず、かといって暗すぎず、しっとりしているのでクラシックを吹いた時にいい音色感のツボで吹ける感じがします。大きい編成の中でもしっかり音が抜けていくパワーがあるので、ソリストとしてバンドやオケの前で吹くこともできると思いますし、リードクインテットなどの室内楽で使ってもおもしろそうです。今はクラシックではこのようなダーク系の仕上げの楽器を使用されている奏者はあまり多くありませんが、例えば吹奏楽でマイ楽器としてYAS-62を検討している教え子がいれば、僕はアンバーラッカーをおすすめします。そのくらいクラシックや吹奏楽でもバリバリ使っていける楽器だと思いました。
ユッコ 齊藤さんが吹いている姿を見ずに聴くと、もっと太くて管体の大きな楽器を吹いているように感じます。金属の厚さも実際には他のYAS-62と変わらないのだと思いますが、もっと分厚い金属を使っているように感じられました。そしてクラシカルな美しい旋律を吹いていてもどこかワイルドさを感じますね。

最後にお二人に「一番お気に入りの楽器」と「相手に一番おすすめしたい楽器」を選んでもらいました!
一番お気に入りの楽器
ユッコ・ミラーさん YAS-62(ゴールドラッカー仕上げ)
ユッコ 銀メッキ仕上げと迷ったのですが、楽器の個性が強いと自分の個性を却って出しづらくなると思うので、一番素直な楽器を選びました。
齊藤健太さん YAS-62A(アンバーラッカー仕上げ)
齊藤 もし今後一切他の楽器を吹けないなら吹奏感が一番好きなアンバーラッカー仕上げを選びます。今のラインナップに1本加えられるなら、手持ちの楽器とまた違ったキャラクターを作れると思うのでYAS-62S(銀メッキ仕上げ)を選びたいです。
ユッコ・ミラーさんから齊藤健太さんに一番おすすめしたい楽器
YAS-62(ゴールドラッカー仕上げ)
ユッコ クラシックらしい、空間全体に広がる柔らかくて優しい音色が素晴らしかったので、観客としてこの楽器で齊藤さんの音色を聴きたいと思いました。
齊藤健太さんからユッコ・ミラーさんに一番おすすめしたい楽器
YAS-62S(銀メッキ仕上げ)
齊藤 どの仕上げも個性的でよかったのですが、銀メッキにしか出せない、スポーンと抜けてくるような「筒鳴り」感がやはり印象的でした。

ヤマハ YAS-62/YAS-62S/YAS-62A/YAS-62UL
[調子]E♭
[付属キイ]High F♯、フロントF
[付属品]マウスピース:AS-4C、ケース:ASC-600E
YAS-62(Gold lacquer)
[仕上げ]ゴールドラッカー
[希望小売価格]¥440,000(税込)
YAS-62S(Silver-plated)
[仕上げ]銀メッキ
[希望小売価格]¥528,000(税込)
YAS-62A(Amber lacquer)
[仕上げ]アンバーラッカー
[希望小売価格]¥506,000(税込)
YAS-62UL(Unlacquer)
[仕上げ]アンラッカー
[希望小売価格]¥506,000(税込)
[問合せ]株式会社ヤマハミュージックジャパン
お客様コミュニケーションセンター管弦打楽器ご相談窓口
フリーダイヤル 0120-132-808













