フルート記事
THE FLUTE vol.191 Close Up

一本道だった未来を変えたフランスでの日々

第一印象はとにかくポジティブで明るい山野智子さん。その明るさが12年にわたるフランス生活を支えたのだろう。様々な国の人と友人になり、満喫したパリ時代。帰国したいまも未来を見つめて歩き続ける山野さんに初めてインタビューを敢行した。

緊張高まった藝大受験

中学で吹奏楽部に入ったときはサックスを担当したとか?
山野
そもそも吹奏楽部が何なのかもよく知らずに入部しました。吹奏楽部の顧問の先生と父が飲み友だちで、父から「吹奏楽部に入って」と言われ、最初にサックスを渡されました。3日目にはフルートを渡されたんです。きっとその楽器が合うか合わないかを試していたのだと思います。
でもすぐに吹奏楽にのめり込んだんです。顧問の先生と新任の先生が吹奏楽部を見てくれていたのですが、2人が熱血で様々なクラシックの名曲を演奏することができました。フルートという楽器も知らなかったのに(笑)。
それで東京藝術大学を目指そうとしたのですか?
山野
音楽が楽しかったから高校に入ってから初めてレッスン受けました。すると音大に行くのが当然の雰囲気で(笑)。当初は国立音楽大学を目指していたのですが、中学の顧問の先生などが藝大を薦めてくれて、進路が変わりました。
受験勉強のために一日中音を出しますから、急遽叔母の家に住まいを変えて一人で特訓をしていました。叔母の家は小鳥の声とともに目覚めるような田舎だったので、音をずっと出していても苦情はきませんし(笑)。
猛特訓のおかげで藝大に一発で合格しましたね。
山野
はい。でも受験は過酷でした。藝大受験の前には音が出なくなってしまって、初めてスランプになりました。周りの受験生がすごすぎてみんな神童にみえてしまって(笑)。それで金昌国先生に電話したら「すぐにうちに来なさい」と。大雪の日で行くのも大変だったけど、なんとか辿り着くと奥様が「お腹すいたでしょ」とすぐにソーセージを出してくれて、その日はいろんな世間話をして過ごしました。大雪だから泊まっていきなさい、というお言葉に甘えて翌朝楽器を吹くと音がいつものように出ました。
緊張のためだったのでしょうか。
山野
はい。金先生から「音が出るじゃない。そのままでいいんだよ。頑張りなさい」と言っていただきました。それで生来の自分の熱血さが戻ってきました(笑)。

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・間違ってもいい、アグレッシブに行くこと
・友情を大切に育んだパリでの生活

Profile
山野智子 Tomoko Yamano
東京藝術大学音楽部器楽科卒業。全日本アンサンブルコンテストにおいて、全国第一位を獲得。渡仏後1999年パリ・エコール・ノルマル音楽院を審査員満場一致の首席で卒業。フランスにおける数々のコンクールに上位入賞。室内オーケストラ・テレマンのソリストとしてモーツァルトのコンチェルト全曲をフランス各地で演奏。
帰国後は大学講師を経て、TBS系・FMラジオ等のパーソナリティも務める。
三枝成彰氏、池田理代子氏、国府弘子氏、押尾コータロー氏、クミコ氏、テッド・ローゼンタール氏、ジュスカ・グランペール氏など、日本を代表する国際的アーティストと共演。
クラシック音楽を中心にフラメンコ、タンゴ、フォルクローレ、現代音楽など、ジャンルを超えた演奏で東京~関西~岡山を中心に活動中。
 
 
CD「ESPAÑOL」
【TK-1001】¥2,500(税込)
[演奏]山野智子(Fl)、ガブリエレ・ナティッラ(Guit)
[収録曲]イベール:間奏曲、スペイン・バロック:フォリア、M.D.プホル:ブエノスアイレス組曲I,II、スペイン民謡:ソレア en mi、B.バルトーク:ルーマニア舞曲、スペイン民謡:ファルーカ(全曲LIVE録音)~
[問合せ・予約]090-2094-7219
k24keep@gmail.com
 
山野智子 ニューイヤーランチ・ディナー&
バレンタインコンサート
ファイナルファンタジー 夢の彼方へ
[日時]1/29(日)、1/30(月)、1/31(火)
昼の部 受付12:00 ランチ12:30 コンサート13:30
夜の部 受付17:30 ディナー18:00 コンサート19:00
[会場]倉敷国際ホテル(岡山)
[料金]ランチ¥15,000 ディナー¥16,000(ディナー、ドリンク、コンサート、サービス料、税込)
[問合せ・予約]
マネージャー佐藤 090-2094-7219
倉敷国際ホテル 086ー422ー5141
 
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