THE FLUTE ONLINE連載

山元康生の吹奏楽トレーニング!│第5回

譜例2

譜例2を吹いてみましょう。

★…のあるところは足部管の端を右手で握って前方に押してください。こうすることによって構えを安定させることができます。


まずAを楽譜にあるfpで吹きます。
fで吹くときに、①構えの圧力、②お腹の圧力、③唇のリラックスを確認しましょう。

次にpで吹くときには、fのときの3つの確認を同様に意識して、息の量だけを減らしてみてください。pで良い音質で吹くことができるはずです。

今まで良い音でpで吹けなかったのは、なぜでしょうか? pで吹くときに構えがゆるくなっていませんでしたか? お腹がゆるんでいませんでしたか? pなので息の速度を速めようとして唇を絞っていませんでしたか? 
pで吹くときは、fと同じパワーで息の量だけを減らすと上手く吹くことができます。

pだから何か変えて良い音で吹かなければ!」という意識は今日で捨ててください。息の量以外を変えないことが大切なのです。

Bも同様に意識して吹きます。
fのパワーを維持していればpでも良い音で吹くことができます。安心して息の量を減らしてください。
fのときに比べてpでは息の流れが細くなります。しかし、それは結果的に細くなるわけで、自分で変えてはいけません。
「唇は暖簾のように」を思い出してください。fは強い風が吹いた状態、pは弱い風が吹いた状態です。

暖簾には自ら動く力はありません。唇のことは忘れて、構えの圧力とお腹の圧力を意識してください。

Cからは右手を通常の位置に戻します。

足部管を握って圧力をかける代わりに、右手親指で管体の自分側をしっかりと押します。これを行なわないと構えが安定しません。

鏡の前に立ってフルートを構えて、自分の右手を見てください。親指が見えますか?見えないはずです。

Dも同じです。
唇が脱力した状態であること、構えの圧力とお腹の圧力が十分かかっていることが成功の条件です。

pで良い音で吹くことがまだ難しい場合は、ハーモニクスの吹き方を利用して練習します。
譜例3をご覧ください。

譜例3

AからCまで、それぞれ2小節が3組あります。
最初の2小節はf、次の2小節はハーモニクス、最後の2小節はpで吹きます。ここでも常にfのパワーで吹くことを忘れないでください。
第4回連載のハーモニクスを、もう一度練習しましょう。ハーモニクスはpで吹いたほうが、上手に吹くことができたのではなかったですか?
この譜例3のハーモニクスも同様に吹くことができるはずです。それができれば、その次のpの2小節も楽に吹くことができるはずです。
一般的に「高音域のpは難しい」と言われますが、ハーモニクスで高音域のpを既に吹いていたわけです。普通の指に替えても、大差なく吹くことができますね?!

ディミヌエンドのテクニックを身に付ける

譜例4

次は譜例4で、ディミヌエンドのテクニックを練習します。
右手で足部管を握るために、G2で書かれていますが、他の音でも練習してください。

Aでは4分休符でブレスを取ります。fのパワーを維持したまま、息の量を減らして音量を下げていきます。それぞれの音符の中では音量を一定に保ってください。

Bでは音符間でブレスを取らずに最後まで吹きます。ここでも音符の中では一定の音量を保ちます。タンギングをするときに音量を1段下げてください。

Cはタイが付いていますので、長い音で吹くことになります。これでディミヌエンドのできあがりです。

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