オカリナ記事 プロ奏者が教える アンサンブルサウンドの磨き方
オカリナ記事 プロ奏者が教える アンサンブルサウンドの磨き方
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Ocarina vol.58 特集│プロが教えるアンサンブルの音づくり

プロ奏者が教える アンサンブルサウンドの磨き方

LESSON

ここからは、アンサンブルを活動の一つとしているプロ奏者のみなさんに、演奏や指導で大切にしていることを伺いました。後半では、音程やブレスなど、すぐに実践できるポイントを紹介します。今日から役立つアドバイスが満載です。

植田篤司
(うえだ あつし)
小山京子
(おやま きょうこ)
岸本かず子
(きしもと かずこ)
Takashi
(たかし)
椿麻希
(つばき あさき)
さくらいりょうこ
佐々木一真
(ささき かずまさ)
むとうさちこ
森下知子
(もりした ともこ)
 

参加しているアンサンブルのこと教えて!

Q1

参加しているアンサンブルのサウンドやハーモニーのコンセプトは?

▶︎ 岸本かず子
2022年に結成したアウローラオカリナアンサンブルのメンバー。主にBCを担当しています。
グループでの演奏はソロとは違い個々の演奏者が主張しないこと。そして透明感のあるハーモニーを奏でられるよう心がけて演奏しています。アウローラで演奏するときは“地上に舞い降りた女神たち”になり美しく奏でることです。

▶︎ Takashi
オカリナアンサンブル「Ensemble Charm」「たかしゅん」「palette」のメンバーとして活動しています。
柔らかいサウンドを意識して、誰かが飛び抜けないハーモニーを意識してます。

Q2

Q1を実現するために練習で大切にしていることは?

▶︎ 岸本かず子
理想の音色を実現するためにはまず“聴く”こと。練習の際、自分の音、隣の奏者の音、全体のバランスが取れているかを確認

▶︎ Takashi
アンサンブルは音の重なりを大事にしていますので、音の出し方をメンバーで意識してもらっています(音が飛び抜けないように、キツく吹かないように)。

Q3

美しいハーモニーを実現するためにもっとも重要な要素としていることは?

▶︎ さくらいりょうこ
私がもっとも大切にしているのは「響き」です。
ハーモニーの美しさとは、ただ正しい音程で和音ができあがることではありません。たとえ音程が合っていても、そこに響きがなければ、美しいハーモニーとは言えないのです。
もちろん、音程を整えることは欠かせません。けれども「正しい音を出すこと」だけに意識が向きすぎると、音楽としての豊かさが失われてしまいます。大事なのは、音が重なったときに、そこにどんな響きが生まれているかを聴くことです。
多くの方は、楽譜どおり正しく吹くところまで、しっかり練習してこられます。その上で、自分の一音をどう美しく響かせるか。一人ひとりがそこに耳を澄ませたとき、重なり合った響きは、音程の正しさだけでは届かない豊かさを持ちはじめます。

▶︎ Takashi
チューニングを意識してます。レッスンの前には各パート必ず音程を合わせてから曲を演奏してもらいます。

▶︎ 岸本かず子
チューナーはほぼ頼りにしません。何色もの音の統一感が1番重要になると感じます。息の圧力にも注意をしながら丁寧に音程をとり響きが重なる瞬間を楽しみます。

Q4

アンサンブルで各パートの理想の音量や全体的なバランスは?

▶︎ Takashi
低音(特にCBC)パートは、コードの大事なルート音(ベースの音)を取ることがほとんどなので、しっかり鳴らさないといけません。
アルトパートは旋律が多く、音が小さいオカリナよりは、少し鳴るほうがバランスがいいと思います。ソプラノパートは個人的には吹きすぎるとキンキンすることが多いので、優しく柔らかくなイメージで演奏できるとGood!ピラミッドが意識できると綺麗なハーモニーになると思います。

▶︎ 椿麻希
原則は高音をトップ、低音をボトムにしたピラミッド型。

▶︎ 岸本かず子
今は低音パートを演奏していますが、メロディラインが浮かび上がるように中・低音が優しく支えます。全体を輝かせるためにはピラミッド型で構成していくイメージが必要となります。

Q5

普段の指導で、ハーモニーや響きで愛好家の方に気をつけてほしいポイントは?

▶︎ 椿麻希
アンサンブルの場合は、自分が気持ちよく吹くだけではなく、他のパートの人が気持ちよく吹ける演奏を心がける必要があります。
歌い方、音程、バランス、発音、楽器の選択など、常に全体の響きに耳を使い、自分の役割を果たすことが大切です。

▶︎ さくらいりょうこ
私がよくお伝えするのは、「楽譜どおりに吹けていること」と「音楽として響いていること」は、同じではないということです。
以前、生徒さんが、知人の出演するオカリナのコンサートを録音してこられました。感想を尋ねると、少し言葉に詰まったあと「曲がわからなかったんです」と。曲名を聞くと、誰もが知る有名な曲でした。録音を聴かせてもらうと、たしかにメロディが聞こえてこない。何の曲なのか、わからないのです。
演奏していた方たちは、決して間違えていたわけではありません。楽譜どおりに、一生懸命吹いておられた。ただ、自分たちの音がどう響いているかを聴けていなかったのではないでしょうか。
オカリナは、「ソ」の指をすれば必ず正しい「ソ」が出る楽器ではありません。息の使い方や支え方によって、音程は変わります。指づかいどおりに吹くことと、音程を取ることは、同じではないのです。
さらに、自分のパートを吹くだけでなく、その音が全体の響きの中でどんな役割を持っているのか。そこに意識を向けられると、音楽は大きく変わります。
そのためにおすすめなのが、録音です。練習の一回目を録っておき、練習したあとにもう一度録る。聴き比べれば成長が実感できますし、自分たちの演奏がどう聴こえているかにも気づけます。客観的に聴く習慣が、響きを育てていきます。

▶︎ 岸本かず子
音程は当然ですが、個々の息のコントロールをそろえることで美しいハーモニーが生まれます。
あと中低音パートも楽譜を書いたアレンジャーの想いや意図が伝わるようにアーティキュレーションを細かくお伝えしています。

▶︎ Takashi
お腹を使わずに、口だけでふーっと吹き込む方がいますが、体全体を使って楽器を鳴らすイメージを大事にしてほしいです。

Q6

サウンドやハーモニーについてリハーサルやゲネプロで確認するポイントは?

▶︎ 岸本かず子
フレーズのはじめと終わりは必ず合図を出す演奏者に合わせています。休符も楽譜の中の“一音”と思って。沈黙の中に物語が生まれます(笑)。
ゲネプロでは音の響きがホールによって様々なので響きの良い位置を確認します。
ステージの形状によっては一歩前だったり後ろだったりもします。

▶︎ Takashi
焦らずにいつも通り落ち着いて吹くことが大事です。
本番前に焦ってしまったり、緊張が増すと呼吸も浅くなり吹き込みすぎたりなどしてしまう可能性が出てきます。

▶︎ 椿麻希
演奏会場でのリハーサルができる場合は、会場の響き方を確認します(できれば第三者にも聴いてもらう)。響く会場ではハッキリと、逆に響きの弱い会場では音を長めにするなどの工夫もします。
アンサンブルの場合は奏者間の距離にも注意が必要です。例え舞台が広くても、コンパクトにまとまっていたほうがお互いの音がよく聞こえ、うまくいくことが多いように感じます。

 

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 Profile
 
植田篤司 (うえだ あつし)
オカリナ演奏家・編曲家・研究家。ソロやアンサンブルでの演奏をはじめ、アンサンブルの編曲、歴史・文化・楽器研究に取り組む。国内外の歴史的オカリナを収集し、演奏・展示・講演を融合した「オカリナ歴史的コンサート」も好評。2010年の創刊より2024年まで専門誌『Ocarina』で連載を担当。国内のほか、台湾・韓国・イタリア・アメリカなど海外でも演奏を行なう。各地で後進の指導にも力を注ぐ。オカリナセブンメンバー。
小山京子 (おやま きょうこ)
日本大学芸術学部音楽科フルートコース卒業。オカリナ&ギターのユニット『ねんど』を結成。NHK学園 生涯学習講座、日本フローラルアートのオカリナ通信講座3講座監修。プリマミュージック、アルソ出版より著書、アケタズディスク他よりCD、多数。Ocarina Sevenの他、Ocarina Delight、ねんど、しょうがカレー他で活動中。東京、横浜、静岡で講師を務める他、国内外で演奏活動を行なっている。
岸本かず子 (きしもと かずこ)
2014年国際芸術連盟主催名古屋音楽コンクール管楽器部門にて入賞。2019年国際芸術連盟主催名古屋international音楽コンクール管楽器部門にて3位入賞。同年長江杯国際音楽コンクール民族楽器部門にて審査員特別賞受賞。国際的なオカリナフェスティバルにソロ演奏などで出演。2018年初のソロアルバム「Favoriti」をリリース。Aurora オカリナアンサンブルメンバー。大沢聡オカリナ認定講師。
Takashi (たかし)
オカリナ奏者・フルート奏者・ボーカリスト。JR四国観光列車「四国まんなか千年ものがたり」テーマソング『しあわせのそら』および車内BGMのレコーディングに参加。数々のコンクールで合奏部門一位を受賞。現在、Ensemble Charm、たかしゅん、palette、古都-心音のメンバーとして演奏活動を展開。東京オカリナフェスティバル、TEE Music Festival 実行委員長。
椿麻希 (つばき あさき)
東京音楽大学卒業(フルート)。フルート・オカリナ奏者。CD「秋川組曲」(株式会社東京サマーランド)・「この道」(アサキとカオリ)に参加・発売中。フルート・オカリナデュオ“アサキとカオリ”、小春空カルテット、オカリナアンサンブルpaletteのメンバー。第4回日本オカリナコンクール デュエット部門第1位。第6回楽しいオカリーナコンクール アンサンプル部門第1位。長野県飯島町親善音楽家。フルートパークタニテック講師。
さくらいりょうこ 
大阪音楽大学(フルート専攻)を卒業。大阪・兵庫・奈良でオカリナ教室「リーナ★リーナ」を主宰し、コロナ禍以前から独自のスタイルでオンライン教室も開講。「シンギングメソッド」を軸に、「私には私の音がある。あなたにはあなたの音がある」という思いで、一人ひとりの音を大切にした指導を行なう。講演家・著者としても全国47都道府県で1,500回を超える講演を行ない、「選択は自分にある」というメッセージを届けている。大阪オカリナフェスティバル実行委員。
佐々木一真 (ささき かずまさ)
13歳よりトロンボーンを始める。京都市立芸術大学音楽学部音楽学科管・打楽専攻卒業。同大学大学院音楽研究科修士課程器楽専攻を修了(トロンボーン)。大学院在籍時よりオカリナでの演奏活動を始め、大学院修了後オカリナに転向。第1回 日本オカリナコンクール 独奏部門 一般の部 1位。編曲者として「30のヴォカリーズ」、「60のソルフェージュ」を出版。オカリナセブン、オカリナ&マリンバ デュオ「森の詩」メンバー。
むとうさちこ 
名古屋芸術大学大学院音楽研究科(音楽療法専攻)修了。2006年より植田篤司氏とのオカリナデュオ「ノベルノート+(クロス)」で演奏活動を開始する。国内外でソロ・アンサンブル演奏を行なうほか、中部・関西を中心に指導を行なう。オカリナのためのオンラインセミナー「OcaLABO(オカラボ)」を佐々木一真氏と共同運営し、演奏・指導・音楽療法の各分野で幅広く活動。オカリナセブンメンバー。
森下知子 (もりした ともこ)
大阪音楽大学(サクソフォン専攻)を卒業。オカリナ&サクソフォン奏者として活動。2014年第1回日本オカリナコンクールにてグランプリ受賞。2018年にアルバムCD「TANTO」をリリース。オカリナのための教本「オカリナステップアップのコツ(YAMAHA)」を執筆。オカリナセブン、デュオたんと、デュオ・セルリアン、トゥジュール・サクソフォン クァルテットのメンバー。「たんと音楽教室」にて指導も行なっている。


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