サックス記事 2メン・ユニットとして生まれ変わったディメンションが新体制での2作目「32」をリリース 勝田一樹
THE SAX vol.107 Interview

2メン・ユニットとして生まれ変わったディメンションが新体制での2作目「32」をリリース 勝田一樹

25年以上も続けてきたトライアングル体制を前作からリニューアルして、サックス&ギターの双頭バンドとして新たなスタートを切ったJ-フュージョンの旗頭DIMENSION。そんな彼らから、2メン・ユニットとなっての2作目「32」が早くも届けられた。
原点回帰をキーワードに、フレッシュで瑞々しい仕上がりを実現させた今作の手応えを我らが勝田一樹が力強く語った。
(インタビュー・文:山本美芽/取材協力:ZAIN RECORDS)

何の制約もなく感じたパッションをそのまま無心に出していた30年前

「31」で増崎・勝田のユニットとして再スタートして、「32」は二人で作る2枚目のアルバムですね。
勝田
「32」は通常営業に戻った形でのアルバム制作でしたね。来年がデビュー30年目になるということで、1年ほど今後のディメンションの方向性を考えていました。昔のアルバムは普段は聴き返さないんだけど、今回初期のアルバムを聴き返したら「よくこういう音がつくれたな」と。思い起こせば、デビューしてから5枚目ぐらいまでの頃は、バンドとして何を表現するのか、キャラクターも何も決まっていなくて、どう見られるか気にしたことがない。何の制約もなく感じたパッションをそのまま無心に出して作っていたんですね。30年前に考えていたことを振り返ると、残しておくべきバンドのスタイルがそこにあった。そこで「原点回帰しかない」と決めたんです。
デビュー当時は、なにもかも初めてでした。それが今、30年も経つと様々なことが経験済みです。マンネリとかパワーダウンしたとか言われたくない、無理やり若いことをやってずっこけたくない、そんな気持ちもあるけれど、結局、作り込みすぎ、考えすぎはよくない。もともとこんな感じで普通に作ってたよね、というところに落ち着きました。昔より今のほうが楽器は上手になった。でも曲作りにおいては、ストレートなものをレコーディングしていた初期の状態がディメンションの原点だと再確認したんです。自然に出てくるサウンド、それがグループの特性なんだと。そんなスタンスで今回作ってみたら、デビュー当時のエッセンスと、大人になってからの技術力も盛り込みつつ、トータルバランスの良いものが偶然にもできたと感じています。
30年続けたことで原点の良さが再確認できて、ふっきれたんですね。
勝田
ディメンションのレコーディングは楽しいですよ。30枚以上アルバムを作っていると、曲のアイデアを形にしようとしたとき「前回もやったしな」「これはちょっとやりすぎじゃないか」と迷うこともあったけれど、それが今回は完全になくなっています。増崎さんが5曲、勝田が5曲、それぞれ責任をもって、自分の一番得意な感じでいくのが一番格好よくなるはず。今回もそうだし、今後もそれでいくと思います。以前のアルバムと共通する何かを見つけて『焼き直し』と言う人もいるかもしれませんが、それは構わないです。僕らは老舗ですから、味が毎回変わったら困ります。老舗ならではの味の濃さを表現したい。30年やってきて、原点回帰した若さのあるサウンドを作れるのは、これまでやってきた甲斐があった、結果が出たと感じています。円熟に至るなんて、まだまだ先。アグレッシブに攻めていきますよ。

次ページに続く
・ギター&サックスのユニゾンやポップな変拍子といった持ち味は健在
・激しい転調とコードチェンジを施した難曲で苦心した鮮やかなアドリブ
・コロナ禍は普段できないことを。耳から触れるのは大事。聴くことを忘れずに


CD information

「32」DIMENSION
【ZACL-9123】¥3,300(税込) ZAIN RECORD

[収録曲]
01.Go Deep/02.Beatniks/03.The Gate/04.ON&ON/05.Superstone/06.Night Vision/07.Free Xone/08.Blue Waves/09.PANORAMA/10.By Your Side

[演奏]勝田一樹(Sax)、増崎孝司(Guit)、安部 潤/大島こうすけ(Key,Syn,Prog)、友田ジュン(Pf,Key,Syn,Prog)、川崎哲平/二家本亮介(Bass)、川口千里/則竹裕之(Ds)
 

LIVE information

DIMENSION年末恒例Live決定!
[日時] 2021.12.29(Wed)&30(Thu)
[会場] 目黒ブルースアレイジャパン

勝田一樹(Sax)
The Premium"Monthly"決定!

[日時]2021.12.4(Sat)&2022.1.8(Sat)
[出演]勝田一樹(SaX)、則竹裕之(Ds)、須藤満(Bass)、友田ジュン(Key)/料理&進行:タカノハシアキラ
[会場]三軒茶屋GrapeFruitMoon
 
 
 
登場するアーティスト
画像

勝田一樹
Kazuki Katsuta

人気フュージョン・バンドDIMENSIONのフロントマンを30年にわたって務める。その音色は一聴して分かるほどに唯一無二の存在感を放ち、彼の影響を受けたサックスプレイヤーは後を絶たない。アルトサックス・プレイヤーとして、アンサンブルの中に溶け込む力強さと優しさを調和させたそのスタイルに加え、様々なアーティストのレコーディングにおいてはブラスセクションのアレンジ力も高い評価を得ている。ソロ活動として勝田自身のプロデュースによる「JAFROSAX」名義でアルバムを4枚リリース。国内外および多ジャンルにまたがり大好評を得る。2014年には待望の初のソロアルバム「Kazuki Katsuta」をリリース。これまでに3 枚のソロアルバムをリリースしてソロ活動も精力的に行なっている。2022年からはCASIOPEA-P4のギタリスト野呂一生と共に「J-FUSION BLUE NOTE TOKYO SPECIAL」というイベントをブルーノート東京で開催し大好評を得る。DIMENSIONとしては2023年に行われたBlue Note Tokyo 35th presents JAZZ-FUSION SUMMIT2023 公演でT-スクエア、CASIOPEA-P4等、Jフュージョンを代表するバンドとの共演が記憶に新しい。
(2024.02)

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