リード1箱10枚を全部使えるようにするプロジェクト

第5回|使えるようになったリードをいかに長持ちさせるか〜湿度対策&本番用リード〜

第5回目となるこのプロジェクト。今号は乾燥してきたこの時期だからこそ、リードの湿度対策に焦点をあてようと思う。乾燥はリードの大敵。しかし湿度が高すぎてリードにカビが生えることも問題……。使えるようになったリードをいかに長持ちさせるかをテーマに、木村先生に進めていただこう。悩むクラ吹きのために、リードに関する様々な現象について木村先生がお答えします。ではどうぞ。

 

講師 木村健雄さん

みなさんこんにちは木村健雄です。今回は「湿度」について考えてみたいと思います。なぜリードを付ける前にひと舐めするかというと、適度な湿り気があったほうがリードが振動しやすいからなのですが、その適度の度合いが季節によって変わってしまうので、リードに関して様々な問題が生じます。先日、演奏旅行でスロベニアに行ってきましたが、気温は日本より10℃ほど寒く、乾燥もしていて、リードを吹き始めてからちょうど良い状態になるまでに日本の3倍も時間がかかりました。

(The Clarinet vol.37発売当時のまま掲載しています。)

 

「こんなときどうする?」もう一歩踏み込んだ調整法

●リードの湿度対策

「最近○○社のリード、△△になってから全然ダメなんだけど……」と、よく耳にします。確かに製品として使用できないものが入っているなんて、“世界の一流ブランド品”でありながら、普通の商品なら明らかに欠陥商品です。ところが国産品がなく、100%輸入品に頼っている以上そのリードを使わざるを得ないのが、日本のクラリネット吹きの実状です。 海外にあるリードの生産地では、日本に比べ、年間通しての湿度の高低差があまりありません。日本の厳しい温度、湿度の変化をメーカーに伝えても、日本だけに製品を輸出しているわけではありませんから、メーカーが対応するのはなかなか難しいでしょう。それでもバンドーレン社の“フローパック”やRico社の“ヴァイタライザー”など、日本の厳しい湿度環境に対し、製品品質の均一性の向上のための企業努力がみられるのは、素晴らしく画期的なことだと思います。 問題は私たち“使うサイド”が、湿度変化の事情を踏まえて対応していくことが重要だと思います。リードにとってとてつもなく過酷な条件下にある日本に住んでいるわけですから、湿度の高い夏と乾燥した冬では演奏者がリードとの付き合い方を変えて当然なのではないでしょうか。

>次のページ「こんなときどうする?」に続きます。
・乾燥している時期

・湿度の高い時期
・突撃取材! プロ奏者のリード事情 〜本番の日〜

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