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東京クラリネットフェスティバル開催!

本誌連載でもおなじみの辻本美博が、クラウドファンディングで出資者を募り、2022年2月5日に開催が実現したクラリネットの祭典「東京クラリネットフェスティバル」。学生無料招待プロジェクトと銘打たれた新鋭クラリネット奏者6人によるイベントの模様をレポートしよう!

 

東京クラリネットフェスティバル(以下、TCF)は、吹奏楽経験者でもある発起人の辻本美博が、コロナ禍によって練習すら満足にできない時期もあった学生に対して「自分が行動できること」として考えたことに端を発する。そのアツイ想いに、多くの個人、団体、組織が共感し、クラウドファンディングサイト「CAMP FIRE(キャンプファイヤ)」で、わずか一ヶ月という募集期間ながら、累計904人の支援者、3,802,000円の支援金を集めた。TCFは、演者・スタッフ・関係者・支援者を合わせると1000人を越える想いの詰まった一大プロジェクトとなった。

 
 

当日の同イベントでまず感じたのは、「ステージ」にかける本気度。バックバンドの肉厚なサウンドはもとより、照明・音響・舞台演出といったいわゆる裏方が演者と一丸となって作り上げるプロの技を、会場に入ってすぐに感じる。その贅沢すぎるステージに、YouTubeや17Live、TikTokといった現代の配信プラットフォームで活躍するクラリネット奏者がひとりずつ演奏を披露していくのだが、実行委員長である辻本美博の「来場者を本気で楽しませたい」という想いが、その圧倒的なステージングからも伝わってくる。

 
 

また、出演者の大野まりか、Akane、ヨウスケ、千花音、榊原花梨は、いずれもこの2年で新しい表現の場挑戦し、自ら活躍の場を切り開いてきた若手の奏者たちだ。普段は「クラリネット初めて聞きました!」という人たちを画面越しに活動する彼らが、こうして生演奏の魅力を改めて伝えるというのもTCFテーマだったように思う。6人それぞれのキャラクターの色がそれぞれの演奏や演出にもしっかりと表れ、一つの空間で共有する音楽の魅力を存分に伝えていた。


  • トップバッターを務めた大野まりかさんは現役の音大生(取材当時)。聴かせる演奏だけでなく、見ても楽しめる演出を盛り込み、トップバッターの大役を果たした。

  • クラリネットの音色にマッチしたアニソンや、ポップなオリジナル曲など、吹奏楽の学生や初めてクラリネットを聴く人でも楽しめる楽曲を披露したAkaneさん。

  • YouTuberでもあるヨウスケさんは、普段とは異なるストイックな面を見せたかと思えば、『オー・ソレ・ミオ』では意表を突いた美声を聴かせ、マルチな才能を見せつけた。

  • 千花音さんは、普段YouTubeで公開しているようなJ-POPではなく、吹奏楽の学生にも馴染みのある『宝島』や『Rhapsody in Blue』で会場を盛り上げた。

  • 榊原花梨さんは、「みんなに楽しんでもらいたい」という想いからディズニーの名曲を次々と披露し、華やかなで壮大な世界観を見事に表現。

  • 自身のデビューアルバムから、オリジナル曲を中心に披露した辻本さん。卓越した楽曲センスと堂々たる演奏で、今までにないクラリネットの魅力を生み出した。
 
 

コロナは音楽業界にも間違いなくその影を落としたが、演奏家がコロナに直面して2年あまりが経ち、「変わったもの」と「変わらなかったもの」は明確になった。変わったものは言うまでもなく、音楽活動に対するフィールドとその考え方であり、動画や配信が一般化したことにより、音楽で生計を立てる正解は一つではなくなった。その一方でまた「生演奏の素晴らしさ」という変わらないものはより一層際立ち、その魅力や価値、感動を再認識させてくれた。その2つが絶妙に絡み合っているのがTCFの魅力であり、そこに多くの人の想いが繋がったことが特筆すべき点だ。

 

学生や一般の来場者に、「クラリネットってこんなに凄いんだ!」「こんなに楽しいんだ!」とその魅力を純粋に伝えたTCFは、まさにクラリネットの祭りと呼ぶにふさわしく、人と人をつなぐ音楽イベントとして、今後にも注目していきたい。

 
フィナーレは『ドライフラワー』『夜に駆ける』『うっせぇわ』などこの2年を代表するようなJ-POPメドレー。 鋒山純也による素晴らしいアレンジ力と、息の合った6人のアンサンブルが際立っていた。
 
ゲストとして駆けつけてくれた占い芸人のゲッターズ飯田さん。辻本さんとのMCで会場を沸かせた。
 
多くの企業も賛同・出展した
 

 

YouTubeのアルソ出版チャンネルにて【THE BACK STAGE】シリーズ始動!
東京クラリネットフェスティバルの舞台裏を覗いてみましょう!