クラリネット記事詳細:課題曲は クラリネットが 成功のカギ!2018年度 全日本吹奏楽コンクール │ON The Clarinet
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課題曲は クラリネットが 成功のカギ!誰もが羨むクラリネットパートの作り方

2018年度 全日本吹奏楽コンクール 

まもなく夏!! ということは……吹奏楽をやっている人にとっては、あの季節がやってきました!
そう、夏は吹奏楽コンクールの季節。 コンクールは毎年新しい課題曲が誕生するのですが、新しいからこそどう練習すれば、どのように解釈すればいいのか迷いますよね。 そこでクラリネット奏者であり、バンドディレクターでもある三浦幸二氏が、クラリネットパートの取り組み方を伝授してくれました! クラリネットは吹奏楽の要、だからこそしっかりとしたアンサンブル力、楽曲への理解度が必要です!グレードアップするためにぜひ参考にしてくださいね!

ONLINE限定 課題曲V「エレウシスの祭儀」の解説は5ページ目に!

1. 課題曲Ⅰ 古き森の戦記 
2. 課題曲Ⅱ マーチ・ワンダフル・ヴォヤージュ
3. 課題曲Ⅲ 吹奏楽のための「ワルツ」
4. 課題曲Ⅳ コンサート・マーチ「虹色の未来へ」
5. 課題曲Ⅴ エレウシスの祭儀

解説:三浦幸二 (クラリネット奏者・指揮者) コメントあります♪

課題曲Ⅰ
古き森の戦記  塩見康史 作曲 

全体のアドバイス
ストーリー性があり展開の速い楽曲です。音楽のルールに則って自らロールプレイングゲームの主人公になった気分で演奏を構築していけたら良いですね♪

Point 1
テンポに関わらず音の立ち上がり、発音の美しさ、クリアさが問われます。力任せにせず、気品あるクリアな美しい発音を目指しましょう! そのためには練習はもちろんのこと、反応の良いリードや発音体のセッティングなど、道具にもこだわりを持って目指す音や発音の追求を!

Point 2
全体に多くのtuttiで構成されており、同じ動きの仲間同士で音価の長さやピッチなどに気をつけながらよく聴きあってそろえていくことが重要です。日々の練習の中で積み重ねていきたいですね。

Point 3
音楽の展開が速く、テンポ設定も含めて変化の激しい楽曲です。楽曲構成や他セクションとのリレーションなど、楽曲全体を俯瞰した視点を持って演奏に挑めると良いと思います。そのためにも全員がスコアを読み込んで、共通理解を作っておくことが音楽の完成度を高めるための近道と言えるでしょう。音楽の底辺に流れているテンポ感の共有は演奏の肝となります。

 

冒頭

  冒頭の3度の伸ばしと動きのある旋律は、サクソフォンとよく聴き合って緊張感のある1本の線に聞こえるように。底辺では3連符カウントを感じながら2小節目4拍目に入っていけると良いでしょう。その後3小節目3拍目からピッコロおよびフルートが奏でる2拍3連に拡大されたのち、4小節目3拍目からの3rdクラリネットとアルトクラリネットがそれを引き継いで自然な流れの2拍3連を繋げられると良いですね♪ 底辺でカウントされている3連符の流れを受けて6小節目3拍目からの3連符を受け継ぎたいところ。(楽譜_冒頭)

(楽譜_冒頭)

課題曲1
課題曲1

 

A

Aからのアルトクラリネットおよびバスクラリネットの8分音符の刻みは、タンギングで弾くことなく息の流れを感じながら響きのあるクリアな発音が欲しいところ。

(楽譜_A)

課題曲1
課題曲1

 

A

6小節目からのB♭クラリネットなどの動きは、他パートとの噛み合わせを理解した上で受け応えをスムーズに演奏できると良いでしょう。16分休符と16分音符のリズムが甘くならないように注意しましょう。(楽譜_A2)

(楽譜_A2)

課題曲1
課題曲1

 

B

Bからは、ピッコロ、フルート、オーボエを中心とした繋がりのある連符のグループと、サクソフォンと同じ動きの旋律のグループに分かれますが、クラリネットパートの中にはこれらが混在していますので、役割に応じて明確に吹き分けましょう!  5小節目からは同じ動きの各セクションごとによく聴き合って音色や方向性をそろえていきたいですね! (楽譜_B)

(楽譜_B)

課題曲1
課題曲1

 

C

Cからの旋律はオクターブのインターバルを正確に保ち、緊張感のある動きをみせたいところ。 4小節目4拍目からのE♭クラリネットおよび1stクラリネットはƒでしっかりと入っていきましょう。タイの後の2拍3連は、下降するにしたがってパートを移りつつ演奏人数も増えているので、存在感を維持しつつも収めていく感じ

C

冒頭からのバスクラリネットで16分休符の入っている1拍目と3拍目はリズムが甘くならないように注意しましょう。以降、同じリズムでの演奏パートが増えてきても、同様にリズムが甘くならないように気をつけましょう!  10小節目3拍目裏からの動きは、リズムはもちろん、音程、インターバルを正確に!(楽譜_C)

(楽譜_C)

課題曲1
課題曲1

 

D

3小節目からの8分音符の動きは、その直前の低音群の動きを受け継いで拍節感を感じられるように。 5小節目からの8分音符の動きは、音の立ち上がりもスタッカートも跳ねすぎず美しくクリアな発音を心掛けましょう♪(楽譜_D)

(楽譜_D)

課題曲1
課題曲1

E

Eからも8分音符は引き続き美しい発音で音が跳ねないように! アルトクラリネットおよびバスクラリネットはどっしりとした安定感が欲しいですね♪ よく聴き合って音程および音価を揃えたいところ。 6小節目3拍目からのE♭クラリネットおよび1stクラリネットは、前からの高音木管の流れを受け継いで推進力のある積極的な演奏を心掛けましょう。(楽譜_E)

(楽譜_E)

課題曲1
課題曲1

 

F

アウフタクトからの旋律は、丁寧な発音でアーティキュレーションはクリアに! アルトクラリネットおよびバスクラリネットはFの中にも存在感が欲しいところ。 6小節目4拍目はコントロールされたfの演奏を心掛けましょう。またそこからのタイの長さは正確なカウントから次の8分音符に入るよう心掛けてください。

G

5小節目からは、♩=80のテンポの中での2拍目裏および4拍目裏のタイミング、タイの長さなど、正確なカウントから正しい音価の長さを保つよう心掛けましょう。

H

Hからのテンポは♩=138ca.と指定されており、これまでよりもテンポは上がっていますが、引き続き美しい発音で音が跳ねたりしないように気をつけましょう!  8小節目のアルトクラリネットのクレッシェンドはしっかりとエネルギーをかけてバスクラリネットに繋いでください。 14小節目からの山アクセントは音が跳ねたり極端に音が硬くなってしまわないように注意してください。(楽譜_H)

(楽譜_H)

課題曲1
課題曲1

 

I

6小節目4拍目のfは音圧をかけてクリアに! 以降のアルトクラリネットおよびバスクラリネットの動きは存在感を持って!

J

アウフタクトは音圧をかけて豊かなサウンドで!タイの長さを正確に保ちましょう。ダイナミクスの変化に注意して幅広い表現を心掛けましょう。同じ動きのセクションはよく聴き合って音程や音色をそろえましょう♪

K

9小節目からの16分音符の打ち込みは、タンギングだけに頼ることなく、鋭さの中にも響きと音程感が欲しいところ。(楽譜_K)

(楽譜_K)

課題曲1
課題曲1

 

L

3小節目3拍目の入りをそろえた上で、クレッシェンドのスピード、響きを揃えられるとよいですね♪ 最後の小節は、音程感を失うことなく音圧はしっかりと欲しいですね♪

 

解説:三浦幸二 (クラリネット奏者・指揮者)
武蔵野音楽大学卒業後、東京での演奏活動を経たのち渡独。帰国後は主にソリスト、室内楽奏者として活躍。ソリストとして中華民国空軍楽隊(台湾)、Nontri Orchestra Wind(タイ)、HKBDA Wind Orchestra(香港)をはじめ海外で数多くのバンドと共演。国内外のクリニックや音楽祭にも多数招聘され、2017年にアルメニア共和国の首都エレバンで開催された「アレクサンドル・アルチュニアン 国際ウインドフェスティバル」では、アルメニア国立歌劇場管弦楽団のメンバーと共にブラームスのクラリネット五重奏曲を演奏し話題となる。これまでにホフストラ大学(アメリカ)、カセサート大学(タイ)、尚美ミュージックカレッジ専門学校(日本)など世界各地で教育活動を展開。今後国際的な活躍が期待される演奏家の1人である。アルゼンチンのリードブランド "ゴンザレスアーティスト" およびチェコの新興クラリネットブランド "RZアーティスト" 使用楽器は RZ "BOHEMA STAR" GOLDEN EDITION。
公式ウェブサイト http://www.miurakoji.com

コンクルールに挑戦する皆さんへ

三浦幸二
三浦幸二

「2018年度 全日本吹奏楽コンクール 課題曲Ⅰ~Ⅳ」それぞれの楽曲の押さえておくべきポイントや練習方法について、クラリネットパートを中心にザックリと解説してみましたが、いかがでしたでしょうか?
皆さんがひと夏をかけて挑む「課題曲」には様々な「課題」が内包されており、まさに「課題があるから課題曲」という言葉の通りなのですが、ともするとあまりにも多くの、そして大きな課題を前にして、嘆きおののき、立ちすくんでしまっている光景を目にすることもあります。 「課題」とは、ただコンクールにおける順位付けや意地悪のためにあるのでしょうか?そんな「課題曲」がもしあるとしたら、どれだけの人々が演奏したいと思うでしょうか?きっとそうではなく、「課題曲」とは、音楽に必要な、より豊かな自己表現や他者との共感といった、音楽の本質に近づくための要素が沢山含まれている楽曲。逆に言えば「課題曲」の「課題」を克服した先には、これまでにない「音楽の喜び」に満ち溢れた世界の入口に立つことができるとも言えるのではないでしょうか。
課題曲を演奏される皆さんが、たゆまぬ努力と研鑽で課題を克服され、音楽の喜びに満ち溢れた心豊かで素晴らしい人生を歩まれることを願って止みません。

 


Contents
1. 課題曲Ⅰ 古き森の戦記 
2. 課題曲Ⅱ マーチ・ワンダフル・ヴォヤージュ
3. 課題曲Ⅲ 吹奏楽のための「ワルツ」
4. 課題曲Ⅳ コンサート・マーチ「虹色の未来へ」
5. 課題曲Ⅴ エレウシスの祭儀




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