フルート記事 音は人が人であることで生まれてくる─これは万人に与えられた均等なチャンス
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ユ・ユアン│THE FLUTE vol.203 Cover Story

音は人が人であることで生まれてくる─これは万人に与えられた均等なチャンス

ARTIST

16歳の若さで第9回神戸国際フルートコンクールの第1位を受賞し、フルート界の大きな話題をさらったユ・ユアン氏。23歳となった今、オーケストラやソリストとして活動し、その活躍はフルート界の新星として世界が注目している。今回アンドラーシュ・アドリアン氏との共演で来日したユアン氏に、音楽やフルートへの思いなどをたっぷりと訊いた。
インタビュアー・翻訳:金井康子 取材協力:ヤマハ株式会社/ヤマハホール/株式会社ヤマハミュージックジャパン 写真:橋本タカキ

罠にはまって進んだフルーティストへの道

前回のインタビュー(2018年2月発売162号)は、神戸国際フルートコンクールで優勝された直後でした。
ユアン
(以下Y)
2017年の神戸のコンクール優勝によってフルーティストのキャリアを始められたことは理想的で、日本ともコネクションを持てたことがありがたかったです。
ユアンさんがフルートを始めたきっかけを教えてください。
ユアン
幼少期から音楽を始めていて、ピアノ、アコーディオン、中国の伝統楽器、そして管楽器を演奏していたことが自分の財産になりました。小学校で放課後に管楽器の授業があり、そこでフルートが大好きになり、すぐにプロ奏者になりたいと志しました。
それが8歳のころでした。とても早かったと思います。フルートの罠にはまったのです(笑)。
どのような罠ですか?
ユアン
先生の罠です(笑)。5~6人のグループレッスンを受けていたのですが、もっと濃いレッスンを受けたくなりました。
良い先生が見つかり個人レッスンをお願いしたら、「私のレッスンはプロを目指さない人は受けられないのよ」と言われました。
まだ8歳だったので、プロになるってどういうことなのか? どうしたらなれるのか?はわかりませんでした。が、とにかくフルートが好きだったので「プロになってみようじゃないか!」とその日に決めたのです。その後は志を変えることはありませんでした。
自ら罠にはまったのですね?
ユアン
そうです。それが例え8歳のころの志であったとしてもね。
中国での管楽器、特にフルートの立ち位置を教えてください。
ユアン
中国の笛も含めて、笛はとても身近な存在であり、管楽器の中で最も人気のある楽器ですね。フルートは特にエレガントな立ち位置かなと思います。もちろんピアノやヴァイオリンなど巷に溢れていますが、フルートは人気です。

次ページにインタビュー続く
・不合格だったからこそ恵まれた恩師との縁
・上達の秘訣は、楽器を知ることと反射を知ること
・芸術はいつまでも変わらず、魂は残る

 
Profile
上野星矢
ユ・ユアン
Yu Yuan
同世代で最も注目されている若手フルート奏者の一人。パリ国立高等音楽院・舞踊科卒業。フルートクラスをソフィー・シェリエ、ヴァンサン・リュカに師事。バロック・フルートクラスをヤン・デ・ウィンネ、そしてピッコロクラスをナタリー・ロザットの各氏に師事。神戸、ジュネーブ、プラハの春、クラクフ、クルージュなど数多くの国際コンクールにて受賞。2018年には国際クラシック音楽賞(CMA)からディスカバリー賞を授与される。
現在は、ミュンヘン音楽大学にてアンドレア・リーバークネヒトに師事し、「卓越した演奏」の成績をおさめる一方、ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団の首席フルート奏者、中国国立交響楽団の客員首席フルート奏者を務める。
在学中に、ポピュレール銀行財団、サフラン財団、ヤマハミュージックヨーロッパ財団、マイヤー財団、タラージ財団、ソシエテジェネラル財団から奨学金を得る。
これまでに中国、日本、シンガポール、フランス、ドイツ、ポーランド、スイス、スロベニアなどでコンサートを開催し、ソリストとして国立ポーランド放送交響楽団、プラハ・フィルハーモニー管弦楽団、トランシルヴァニア国立フィルハーモニー管弦楽団などのオーケストラと共演。フランス国立管弦楽団、パリ管弦楽団の客員音楽家としても活躍する。パリ室内楽センターの音楽家。
 
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