THE FLUTEオンライン記事:ブリアコフコンサートレビュー
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デニス・ブリアコフ フルートリサイタル2016東京公演

コンサートレビュー

2016年9月19日(月祝)JTアートホール アフィニス
[出演]デニス・ブリアコフ(Fl)、石橋尚子(Pf)
[曲目]ヘンデル:フルート・ソナタ ロ短調 作品1第9番 HWV367b、シャミナード:コンチェルティーノ 作品107、サン=サーンス:ロマンス 作品37 、ユー:ファンタジー、フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調、サン=サーンス(編曲:デニス・ブリアコフ):6つの練習曲集 作品52第6番「ワルツ形式の練習曲による奇想曲」

“ブリアコフ2016東京公演”

昨年2015年11月、メトロポリタン管弦楽団からロサンゼルス・フィルハーモニーに移籍したデニス・ブリアコフ。彼の師匠であるウィリアム・ベネットからは「世界でも指折りに入るテクニックを持つ」と称されるほどその技術は世界的に賞賛されている。そんなブリアコフが今年も来日した。

東京公演のチケットは、すぐに完売。これには毎回彼の人気の高さを感じさせられる。今年のプログラムはヘンデルから始まり(岩手、東京、愛媛公演のみ)、シャミナード、サン=サーンス、ユー、フランクといったフランスのプログラムが並ぶ。
今回のプログラムで気になったのは、ブリコアフならば必ずプログラムに数曲入れる技術的な超難関曲が少なく、幻想的で音色や表現が重視される、スタンダードなロマン派・近代フランス作品が多いことだ。
2曲目に演奏されたシャミナードの『コンチェルティーノ』は、吹きすぎない、素朴でありながら豊かな音色で始まる。あっさりとしたテンポだが、きらびやかな音色は実に彼らしい。そしてとても長い息でフレーズがまったく切れない。ヴァイオリンの作品を演奏することの多いブリアコフだが、それらの作品がなぜ美しく聞こえるのか、この息の長さでわかった気がする。
シャミナードの次に演奏されるのはサン=サーンスの『ロマンス 作品37』。ピアノ譜には音数が多い反面、フルートはシンプルなメロディのためフルートとピアノの演奏では音量や表現のバランスが難しい。しかし長年の付き合いの伴奏者である石橋尚子さんとの演奏はまるで、多くの楽器と演奏されるコンチェルトのように華やかで厚みのある演奏だった。フルートは他の楽器に比べると音量も小さく、ピアノ伴奏の場合はどうしてもバランスのために音量を控えてもらうことが多く、ピアノ本来の良さを引き出すことができない。その良さを引き出す音量で対応できるブリアコフの技術は説明するまでもないが、この演奏は石橋さんとだからこそできるものだと感じられた。
それは4曲目に演奏されたフランクの『ヴァイオリン・ソナタ』でも同じだ。4楽章構成で、それぞれにキャラクターを変えなければいけないが、特に素晴らしかったのは1楽章終わりの繊細な糸のような細い音色と、3楽章の息を飲むほどの美しい高音。楽器とブリアコフが一体になった素晴らしいアンサンブルを聞かせてくれた。
最後はブリアコフの技術が光る、サン=サーンスの『6つの練習曲集作品52第6番「ワルツ形式の練習曲による奇想曲」』で終わる。こちらもヴァイオリンの作品でブリアコフ自身が編曲をした。冒頭から技術的な跳躍が続く。超難関な作品だが、時折遊び心を交えたカプリオーソな部分もあり、聴衆を楽しませた。
全曲通して感じられたのはブリアコフのテクニック、息の長さや圧力、音色や強弱のコントール。どんな曲にも幅広い表現ができるのは、彼の技術はもちろんそれに適応できる楽器の素晴らしさだ。そして技術だけではなく、音色や音楽の深みをより一層聞かせる今回のプログラムに、今後ブリアコフがどんな音楽を作り上げていくのか期待が高まるコンサートであった。


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