紫園香デビュー35周年記念リサイタル

[日時]2018年5月23日
[会場]東京文化会館小ホール
[出演]紫園香(Fl)、藤井一興(Pf)、柳瀬 洋(Cl)
[曲目]J.S.バッハ:ソナタ ニ長調 BWA529(W.&G.キルヒナー&シオン編)、C.フランク:ソナタ イ長調、J.リヴィエ:やさしき鳥たち(フルート・ソロ)、G.チン:鷲のように新しく(詩編103) 委嘱作品・世界初演、M.エマヌエル:フルート、クラリネット、ピアノのためのトリオ・ソナタ作品11

 

紫園香デビュー35周年記念リサイタル

紫園香デビュー35周年記念リサイタル@東京文化会館(2018.5.23)を聴いた。彼女のデビュー当時からずっと聴き続けきたが、その進境の目覚ましさは特筆に値する。
冒頭のJ.S.バッハ『ソナタBWV525』は流麗そのもの、Gloria感に輝いていた。C.フランク『ソナタ』は彼女のライフワークとも言える曲で、その深まりはフルートという楽器を超えて響いた。J.リヴィエ『やさしき鳥たち』は、色彩の多様性に満ち、会場が深い森のようだった。また台湾の世界的作曲家、金希文氏の『鷲のように新しく』は世界初演、まさに圧巻の演奏。聖書が題材となった曲だが、鷲がさまざまな試練を通りながらその度に再生し高く舞い上がって行く様が見事に表現された。現代奏法が駆使されたが、それが彼女自身の言葉に聞こえた。 最後に柳瀬洋氏(Cl)を迎えてM.エマヌエル『トリオソナタ作品11』、洒脱なリズム、音色、会話のようなアンサンブル、満場の聴衆は沸き返り、2曲のアンコールでは涙する人も多く見受けられた。さすがにデビュー当時からずっとコンビを組んで来た藤井一興氏(Pf)との息もピッタリで、実に充実した一晩だった。(J.Y.)

■関連キーワード・アーティスト:

紫園香


フルート奏者カバーストーリー