THE FLUTEオンライン記事:ユ・ユアン | THE FLUTE 162号 close up
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ユ・ユアン | close up

THE FLUTE 162号

中国出身の16歳と聞いたとき、そしてその素朴で幼さの残る風貌を目にしたとき、 きっと多くの人が驚いたのではないだろうか。昨年の神戸国際コンクール、二人の優勝者のうちの一人――まだ記憶に新しい、鮮烈な印象を残した彼へのインタビューが実現した。 ( 取材協力: ヤマハ株式会社、株式会社ヤマハミュージックジャパン)

 

指の間をすり抜けていくような日々

ユ・ユアン

ユ・ユアン

――
神戸国際フルートコンクールでの優勝おめでとうございます。年若いフルーティストの実力に、会場も審査員もずいぶん驚いたのではないかと思いますが……コンクールの感想を教えてください。
ユアン
ありがとうございます。神戸国際フルートコンクールは、フルート単独のコンクールとして世界で最も重要なものですから、本当に嬉しかったです。しかも、実際に参加してみると神戸という都市全体でコンクールを盛り上げているように感じられて、感動しました。大勢のボランティアの方々がいて、フレンドリーで親切な人たちにもたくさん出会いました。
――
ユアンさんは16歳だそうですが、自分よりキャリアの長い人たちが世界中から挑戦しに来るコンクールで、プレッシャーはありましたか?
ユアン
最年少出場者ということには慣れていますので、その点での特別な感情はありませんでした。それよりも、経験豊富で有名な奏者の方々と同じ舞台に立つことに興奮していました。もちろんプレッシャーになることは、他に多くありましたけれど。

 

安全な道は選ばない。リスクを取ることの特別な魅力

――
コンクールでのご自分の演奏をいまあらためて振り返ってみて、思うことはありますか?また、今回ともに競い合ったほかの入賞者の皆さんの演奏については、どうでしょうか?
ユアン
僕は多くのリスクを冒したと思います。経験豊富な出場者は、より安全な道を選ぶのが普通でしょうが、僕の場合は年齢からか、リスクを取ることに特別な魅力を感じるんです。その結果が良いときもあれば悪いときもあり、かなりの不安も感じますが……。
入賞者はみんなとても強い個性をもち、念入りに準備されているな、と思いました。皆さんの演奏を聴くことはとても有意義だったと思いますし、その解釈を通じてコンクール期間中は多くのことを学びました。
――
一次、二次、三次、本選、と、コンクールはとても長丁場でしたよね。その期間、メンタルを保つのは大変だったのでは?
ユアン
大変でした!毎日がとても長く感じられましたが、振り返ってみると、指の間をすり抜けていくような日々でした。たしかにいろいろなプレッシャーの下で、それなりにストレスもありました。けれど、ジョギングをしたり、演奏を行なったり、母の支えや神戸の素晴らしい雰囲気と食べ物のお陰もあり、とても幸せな時間を過ごせたと思います。でも受賞の発表を聞いた瞬間、私は完全に弾けてしまいました!

楽器に秘められた魅力をもっと引き出したい

――
ユアンさんのフルート歴と、普段どんな活動をしているのかを教えてください。
ユアン
いま、パリ国立高等音楽院で勉強中です。パリは素晴らしい文化都市なので、空いた時間に多くのコンサートや美術館に足を運んでいます。そういう時間の中に、演奏家としてのものの考え方や感情を形成する大きな意味があると思っています。 2017年は神戸のほかに、第7回クラクフ国際フルートコンクール(ポーランド)でも優勝しました。2015年には第67回プラハの春国際音楽コンクール(チェコ)で、特別賞をいただきました。また2012年には、中国フルート協会コンクールの児童部門でも優勝しました。それと、この1月には国際クラシック音楽賞の「ディスカバリー賞」の2018年受賞者に選ばれました。
――
どんな練習をしたらそんなふうになれるのでしょう(!?)
ユアン
普段の練習は、2冊の教本を使用しています。「タファネル=ゴーベール 17のメカニズムの日課大練習課題」と、師事しているフィリップ・ベルノルド教授が新しく書いた「The wind, the sound」です。
――
練習時間はどのくらいとっていますか?
ユアン
パリ国立高等音楽院の学生で、高校生でもあるので、普段はとても忙しく過ごしています。練習時間は1日2時間くらい、休日には5~6時間くらいです。
――
次の目標は、もう決めていますか?
ユアン
もちろん音楽家としても人としても、夢中になって勉強することが今の目標です。フルートでは、いつか著名なオーケストラの首席奏者になりたいと思っています。
――
ヤマハのフルートを使用されているそうですが、詳しい機種と、気に入っている点を教えてください。
ユアン
2本持っているのですが、どちらもYFL-897H銀製のハンドメイドフルートです。1本は数年前に選定するために来日し、ヤマハ銀座店で選びました。もう1本は第7回クラクフ国際フルートコンクールでの副賞です。どちらもアンドラーシュ・アドリアン先生に相談しながら選びました。
近頃は、正確な音が出せるフルートを見つけることは難しくありません。でも、ヤマハのハンドメイドフルート“イデアル”のように豊かで多彩な音色のフルートは見たことがなかったので、本当に気に入っています。楽器に秘められている魅力をもっと引き出そうと、努力しているところです。

現状に満足することのない努力家の素顔を見せてくれた、若きフルーティスト。今後どんなふうに成長していくのか、きっと世界が注目しているに違いない。

 

ユ・ユアン

photo by masaya sato

 

プロフィール
Yu Yuan
7歳でフルートを始め、2013年に北京中央音楽院に入学、Wang Yongxin氏の元で学んだ。これまでに国内外で行われた数々のコンクールで輝かしい成績を収めている。2012年に中国フルート協会の学生部門で第1位、2015年には第67回プラハの春音楽コンクールで特別賞を受賞。2017年に15歳の若さで第7回クラクフ国際フルートコンクール第1位、同年第9回神戸国際フルートコンクールで第1位を受賞、両方のコンクールにおいてそれまでの歴史の中で最年少優勝となった。2016年よりパリ国立高等音楽院においてPhilippe Bernold、Florence Souchard-Delépine両氏に師事し研鑽を積んでいる。これまでにイギリス、ポーランド、フランス、オーストラリア、中国、日本、スイスなど世界各国で演奏を行なう。リヒテンシュタインで開催された国際音楽アカデミーで奨学金を受賞、アカデミー中は多数の演奏活動を行なった。

使用楽器:ヤマハハンドメイドフルートYFL-897H(Idéal)


ガスパール・ホヨス
ガスパール・ホヨス

ユ・ユアン フルートリサイタル
[日時] 4月23日(月) 19:00開演
[会場] ヤマハホール
[出演] ユ・ユアン(Fl)、長崎麻理香(Pf)
[曲目] ボドロヴァ:トランスフラウタート、プロコフィエフ:フルート・ソナタ、ルクレール:フルート・ソナタ第2番ホ短調、マントヴァーニ:アペルデール、アンデルセン:バラードと空気の精の踊り、ドップラー:ハンガリー小二重奏曲
[料金] ¥3,000(全席自由)
[チケット取扱い]株式会社ヤマハミュージックジャパンアトリエ東京(03-3574-0619/平日10:30~18:30)


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