THE FLUTEオンライン記事:さらに成長しながら演奏できることの魅力 フリスト・ドブリノヴ
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さらに成長しながら演奏できることの魅力 フリスト・ドブリノヴ

THE FLUTE vol.167

今年初めから読売日本交響楽団の正式団員となり、同時に首席奏者として活動するようになった。故郷ブルガリアとドイツのケルンに学び、ドイツやマレーシアのオーケストラでキャリアを積んできたドブリノヴさん。すべて他の人とかかわることで音楽ができていくオーケストラの一員であることが、喜びにつながっていると話す。楽器に求めることや、2月に行なうソロリサイタルについても思うところを聞いてみた。( 取材協力: ドブリノヴ二三子、株式会社フルートマスターズ )

さらに上へ……日本のオーケストラを目指す

――
どんな音楽環境の中で育ってきたのか、幼少の頃からのフルート歴について教えてください。
ドブリノヴ(以下D)
幼い頃、育ての父がプロのフルート奏者でした。しかし、1970年代当時のブルガリアにはオーケストラが少なく、のちにフルートをやめてしまい音響エンジニアの仕事をしていました。家にはフルートがあったので父が吹いているのを聴くことがあり、フルートに興味を持ち始めたんです。
7歳のときにユースオーケストラのためのアカデミー(音楽学校)の試験を受け、入学してからフルートを本格的に始めました。そのユースオーケストラを指導している先生はブルガリアのソフィア音楽院でも講師をしていたのですが、この人に個人的にレッスンをお願いしました。8歳から14歳くらいまで習いましたが、どれだけ練習しないといけないのかがわかって、一時フルートが大嫌いになってしまったんです。ところが12歳のときに父が亡くなり、その頃から真剣に練習に取り組むようになりました。その後すぐに、ソフィアの国立コンクールの若者の部で優勝しました。
――
若くして練習嫌いを克服されたのですね。
D
その後、上を目指すために別の先生に師事したいと思い、ソフィアフィルの首席奏者に習おうと考えました。アカデミーには卒業するまで先生を替えてはいけないというルールがあったのですが、レベルアップするためにはどうしてもソフィアフィルの首席に習わなければ、と思った私は校長先生と面接をしました。「どうしても駄目なら学校を辞めます」と言うつもりでいたのですが、なぜか結果的に先生を替えることができたのです。そしてソフィアフィル首席のゲオルギ・スパソフのもとで4年間学んでアカデミーを卒業し、ソフィア音楽院でも彼に師事しました。その後、在学中にドイツのオーケストラに入団が決まりました。
――
そのオーケストラに所属しながらケルン音楽大学にも通ったのですね。
D
そうです。ケルン音楽大学では、ロイヤルフィル首席のロバート・ウィンに師事しました。学部長に「オーケストラを辞めて、ここで先生のレッスンに集中してもいいですか?」と尋ねると、「オーケストラで吹く機会があるほうが勉強になるから、そのまま続けなさい」と言われました。それで結局、二足のわらじを履き続けることになったのです。仕事で授業に出られないこともよくあり、結局大学は5年かかって卒業しました。卒業から6か月後にマレーシアフィルのオーディションを受けて合格し、それから13年在籍することになりました。
――
ヴィオラ奏者をしていた日本人の奥様とも、そこで出会われたのだとか。その後来日され、読売日本交響楽団に入ろうと思ったきっかけは何ですか?
D
マレーシアフィルは素晴らしく、コンチェルトや室内楽などいろいろなレパートリーを経験させてもらいましたが、さらに上を目指したいと思ったのです。
以前、日本でエキストラをしたこともあり、日本のオーケストラを知るチャンスがありました。そんなときにちょうど読響のオーディションの情報を知り、演奏を聴いたり、歴史を調べてみたりしました。日本のすぐれたオーケストラの一つであることは間違いなく、ホールもプログラムも、また演奏家として自分が成長するために必要な一流の演奏家たちに囲まれて演奏できるのも魅力的でした。

続きは本誌167号でお楽しみください。

  

プロフィール
フリスト・ドブリノヴ Hristo Dobrinov
ブルガリアのソフィア生まれ。ブルガリア国立ソフィア音楽院とドイツのケルン音楽大学で学ぶ。ブルガリア国内のコンクールを始め、クーラウ国際フルート・コンクールなどで入賞。1998年から2005年までドイツのフィルハーモニー・デア・ナツィオーネンの首席フルート奏者、05年から17年まではマレーシア・フィルハーモニー管の首席フルート奏者として活躍した。また、西オーストラリア響やオーケストラ・アンサンブル金沢、日本センチュリー響などで客演首席奏者も務めた。ソリストとしてモーツァルト、C.P.E.バッハ、メルカダンテ、テレマンの協奏曲をマレーシア・フィルなどと共演したほか、リサイタルや室内楽でも活動を展開。これまでにゲオルギ・スパソフ、ロバート・ウィンの各氏に師事。読売日本交響楽団首席奏者。


フリスト・ドブリノヴ
フリスト・ドブリノヴ

フリスト・ドブリノヴ フルートリサイタル
●起雲閣音楽サロン 熱海
  2019年2月6日(水)16:00開演
●古賀政男音楽博物館内けやきホール
  2019年2月13日(水)18:30開演
[出演]フリスト・ドブリノヴ(Fl)、赤間亜紀子(Pf)
[曲目]ベートーヴェン: セレナーデ、リヒャルト・シュトラウス: ソナタ、ドビュッシー: アラベスク第1番、マルタン: バラード、ギーゼキング: ソナチネ
[チケット問合わせ]
FluteConcert312@gmail.com



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