トランペット 記事
SUGIZO×類家心平

SUGIZOと類家心平が語るこれからの音楽のカタチ

“最もエクストリームな2020年代のジャズ・ロック”をコンセプトに、12年ぶりに再始動したSHAG。インプロヴィゼーションを中心としたジャムバンドを率いるのは、LUNA SEA、X JAPANのギタリスト/ヴァイオリニスト SUGIZOだ。そして当代随一のインプロヴァイザーであるトランペッター 類家心平が、SUGIZOワールドに彩りを加えている。実はSUGIZOはギター、ヴァイオリンだけでなく、トランペットともとても深い縁があり、このたび対談が実現した。
ヘアメイク:酒井夢美/写真:井村重人/撮影協力:アーニーズ・スタジオ/取材協力:株式会社ESP

表現のためのツールを探す旅

類家さんがトランペットと出会ったきっかけを教えてください。
類家
(以下R)
兄がトランペットを吹いていて、また家に父のトランペットがあったのが出会いですね。父は学生時代にトロンボーンを吹いていたのですが、遊びでトランペットを買ったそうです。それでトランペットに興味を持ち、小学校からブラスバンドに入り、高校まで吹奏楽をやっていました。卒業後は音楽大学に進学を希望していたのですが、当時はジャズを教えてくれる音大はなく、海上自衛隊に入りました。自衛隊の音楽隊ならお給料も出る上に、楽器も練習できますから。
SUGIZOさんもトランペットを吹かれていましたね。
SUGIZO
(以下S)
父が東京都交響楽団の首席トランペット奏者でしたから、生まれた頃からとても身近な楽器でした。3歳からヴァイオリンを強制的にやらされていて、嫌で仕方なかったけれど、トランペットはもっとクールでカッコいいというイメージがありました。
実際に楽器を手にしたきっかけは小学校の鼓笛隊ですね。全員が鼓笛隊で何かしら楽器をやらないといけなかったのですが、希望者は花形の楽器を選べることわかり、トランペットをやりたいな、と。中学の頃からジャズに興味を持つようになって、高校時代にはマイルス(・デイヴィス)にノックアウトされて、一時期真剣にトランペットプレイヤーになりたいと思った時期もありました。
トランペットを始めたときに、参考にしたアーティストはいますか?
S
子どものことですから、参考にしたのは父親でした。オーケストラ作品が子どもの頃から刷り込まれていたので、父がよく吹いていたフレーズが大人になってから「あの曲は『ペトルーシュカ』だったのか!」とか「『展覧会の絵』」だったのか!」と知ることになりました(笑)。
中学に入って最初に好きになったのは、ウィントン・マルサリス。1stアルバム「ウィントン・マルサリスの肖像」を出したぐらいの時期です。このアルバムを含めて、マイルスなどジャズのレコードがたくさん家にあったのですが、父はとても厳格な人で、ジャズはアコースティックなもののみで、電気楽器は絶対に認めませんでした。僕がYMOに傾倒してシンセサイザーにハマったときに「あんなものは楽器じゃない!」と激怒するほど保守的で頑固な父親でした。
R
ジャズに理解があるというのは素晴らしい環境ですね。僕は、ブラスバンドをやっていたのでモーリス・アンドレに影響を受けましたね。ジャズだとマイルスが最初でした。
S
ああ! 僕の父もモーリス・アンドレと一緒に撮った写真を飾っていましたよ(笑)!
お二人がプロ奏者を目指そうと思ったきっかけは?
R
自衛隊の音楽隊に入ったことですね。練習したくて自衛隊に入ったんですが、ジャズの曲を演奏する機会は少なくて。専門的にもっとジャズをやりたいと思って、辞めて上京しました。
S
自衛隊だと、アドリブをすることはほとんどなかった?
R
なかったですね。自衛隊の演奏会で客演としてピアニストの山下洋輔さんが来られて、『チェロキー』をやったんですが、そのときにソロを吹かせてもらいました。それがジャズの道に進むことになった大きなきっかけです。
S
それは素晴らしい経験だね。僕は中1でYMOにノックアウトされて、理屈抜きにプロになりたいと思いました。ただ、ずっとヴァイオリンとトランペットはやってきたけれど、自分の表現のツールとして、何がふさわしいのかまだ漠然としていました。3年間ぐらいは、自分の音楽家としての表現をするために体の一部を探している旅だったような感じがします。最終的にはギターに行き着くんですけど。

次のページへ続く
・100点満点のトランペットプレイヤー
・一流のメンバーがそろった新生SHAG
・音楽シーンに対しての新しい一歩
・一つの音に込められる情報量の多さ

類家心平

青森県八戸市生まれ。高校卒業後海上自衛隊大湊音楽隊でトランペットを担当。6年間勤務し退官後に上京。高瀬龍一氏にジャズトランペットを師事。2004年SONYJAZZから「urb」でデビューする。その他「菊地成孔ダブセプテット」や「DCPRG」に参加しフジロックフェスティバル等の出演で注目を集める。 自身の名義では「RS5pb」を率いて活動。海外のジャズフェスティバルにも参加し高い評価を受ける。またピアニスト中嶋錠二とのデュオのアルバム「N.40°」を2014年にリリースしその後のライフワークとして現在も精力的に活動中。
その他に「LUNA SEA」のギタリストSUGIZOが率いるユニットにも参加。また山下洋輔や板橋文夫、森山威男などベテランジャズミュージシャンとの共演も多数。またジャズを題材としたアニメと劇場版の「坂道のアポロン」では劇中のトランペットを担当するなど活躍の幅を広げている。

 
♪類家心平 アルバム「LIVE FROM YOKOHAMA」

[演奏]RS5pb (Ruike Shinpei 5 piece band)〈類家心平(Tp)、田中TAK拓也(Guit)、中嶋錠二(fender rhodes)、鉄井孝司(Bass)、吉岡大輔(Ds)〉
[収録曲]Civet、Soma、Vida、Danu、Lady Jane、haotic Territory 1
※e-onkyo music、apple music、spotify、amazonなどで好評配信中

2013年にリリースされたRS5pbの1枚目となるアルバム「4 AM」でもライヴ録音作品を発表し高い評価を得たが、それから7年の月日を経て、よりバンドとしての充実度が増したボーダーレスなサウンドを味わえる作品に仕上がっている。
精緻な映像と迫力ある演奏が魅力の本作は、音のすべてを知り尽くしたいつものレコーディング・エンジニアによる高音質な録音と、さらには4Kによる高品位な撮影映像により実現。
 

SUGIZO

作曲家、ギタリスト、ヴァイオリニスト、音楽プロデューサー。 日本を代表するロックバンドLUNA SEA、X JAPANのメンバーとして世界規模で活動。 同時にソロアーティストとして独自のエレクトロニックミュージックを追求、更に映画・舞台のサウンドトラックを数多く手がける。
昨年、サイケデリック・ジャムバンド SHAGを12年振りに再始動。
音楽と平行しながら平和活動、人権・難民支援活動、再生可能エネルギー・環境活動、被災地ボランティア活動を積極的に展開。アクティヴィストとして知られる。
http://sugizo.com

 
愛と調和
♪SUGIZO アルバム「愛と調和」

【SPTC1009】Sephirot
[収録曲]Nova Terra、Childhood’s End、A Red Ray feat. miwa、追憶、ENDLESS ~闇を超えて~ feat. 大黒摩季、The Gates of Dawn、Mindfulness、CHARON ~四智梵語~、光の涯 feat. アイナ・ジ・エンド(BiSH)、So Sweet So Lonely

コロナ禍で分断が加速し、利己主義の果てに疲弊しきっている現代社会。SUGIZO3年ぶりとなるオリジナルアルバムは、傷付いた人々の心に優しく浸透する聖水のようなヒーリングミュージック。縄文の利他的な平等社会にインスパイアされ、見出したのが『愛と調和』という主題。本作は、ポストパンデミックの新しい世界を見据えた救済のアンビエントである。
 

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音源連動:演奏by牧原正洋

カバー:ザ・シルキー・ファイブ

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