ザ・ナルマン・クラリネット・アンサンブルが伝授 やれば絶対にうまくなる基礎練習

Lesson16  スケール その4

 

「ザ・ナルマン・クラリネット・アンサンブルが伝授 やれば絶対にうまくなる基礎練習」は亀居優斗、三界達義、吉本拓、和川聖也の4名から成るザ・ナルマン・クラリネット・アンサンブルが、クラリネット愛好家に伝えたい基礎練習講座です。ロングトーンやタンギングなど上達に欠かせないコンテンツをメンバーがそれぞれ解説していきます。隔週の金曜日に更新していきますのでお楽しみに♪

 
○The Narmen Clarinet Ensemble
 

2018年、東京芸術大学と東京音楽大学の在学中に亀居優斗、三界達義、吉本拓、和川聖也の4人で結成されたクラリネットアンサンブル。2018年3月に初のコンサートを開催し、好評を博す。2019年にはドルチェ楽器と十亀正司氏の共同企画であるNEWSvol.6に出演し東京、名古屋、大阪の3公演を行う。その他にも演奏会を重ね意欲的に活動中。前衛的なプログラムに挑戦している新進気鋭の若手クラリネット四重奏団である。2020年9月には、オペラシティリサイタルホールでのコンサートを開催する。

 

 

Lesson16 スケール4 スケールエピソード

こんにちは! 和川聖也です。
今回は、スケールに関するエピソードとして僕の体験談をお話しさせていただきます!

 

♪大嫌いなスケール

僕はずっとスケールが嫌いでした。というより、苦手で嫌いになってしまっていました。特に受験の時は、顕著に嫌がっていました……(笑)。
恥ずかしい理由ですが、記譜と実音の調が違かったことで覚えられなかったことと、単純にテンポ通りに吹けないことが原因でした。

多くの音楽大学の入学試験では、以前の記事で亀居さんが紹介されていた、R.アイヒラー著のScales for Clarinet の中から、当日指定されたdur,mollを暗譜で演奏することが多いのです。アイヒラーのスケールは、クラリネットのドが基準の調、つまり実音B-durが、C-durと表記されています(バンドのスケールの教本などは、実音で表記されていることがあります)。

そして、部活動では自身の吹いた音を人に伝える時は、実音で(ド=B♭)言っていました。今では問題ないですが、当時の僕は大混乱……!そんなことから、ずっとC-durをレを基準とした調としか考えられなかった感覚が抜けきれず、受験期にも多大な影響を及ぼしました……。

テンポ通りに吹けないこと。これは、練習の仕方に問題がありました。そして、高音の指使いに迷ってしまったり、他のことを考えてしまったり……全く集中して練習できていませんでした。

 

♪どうやって乗り越えたのか

どちらの原因も、やはり繰り返し練習することで改善していきました。
テンポ通りに吹けない問題は、前の記事の練習に似たようなことをして克服しました。

スケール3 三界さんの記事
スケール4 吉本さんの記事

他には、音が綺麗に並ばなかったり、ポロッと走ってしまうようなところなどは、ゆっくりと2つの音を行き来する練習をしました。アンブシュアや自分の指の状況などを把握しながら、少ない音でうまくできるようになったら、3つの音…4つの音…と増やしていき、スケール全体でも同じことができるように練習しました。

そして、記譜と実音の調が違うことに慣れなかった問題は、クラリネットで吹く前にピアノでスケールを練習して調性を理解するようにしたのと、くじ引きを使ったランダム練習で克服しました。

前述したように、多くの音楽大学の入学試験では当日指定のスケールを暗譜で演奏しなくてはなりません。その問題も一緒に克服しなければならなかったため、自動的にスケールが演奏できるようにしなければと思い、すべての調性を書いた紙をくじ引きのように引いてランダムでスケールを演奏する練習を毎日していました。
体で覚えるというかなり強引な方法でしたが……毎回ドキドキしながらくじを引いていたので、ゲーム感覚で楽しんで練習することができました。
そのおかげもあってか、入学試験では(暗譜は)問題なく演奏することができました。

 

♪まとめ

前の記事で3人も言っていた通り、スケール練習は音楽をより充実させたり、表情を豊かにするなど様々な事に良い影響を与えます。今まで、スケールに助けられることがたくさんの場面でありました。大嫌いなスケールでしたが、今では大好きです!
僕自身、1日の調子を整えるためにも今でも音出しの際は必ず練習します。スケールを吹かないとその日が始まらないと言っても過言ではないくらい大切な儀式です(笑)。皆さんも、1つの調でも良いので、音出しの際に練習してみてください! そして、僕のようにスケールを嫌いにならないで、楽しく練習に取り組んでくださいね!

 

 
 
 
今回の執筆者は……

和川聖也 Seiya Wakawa

千葉県立幕張総合高校を経て、東京音楽大学を卒業。2018年度東京音楽大学シンフォニックウインドアンサンブルにてコンサートマスターを務める。東京音楽大学主催卒業演奏会、ヤマハ新人演奏会に出演。これまでにクラリネットを、中村めぐみ、伊藤圭、亀井良信、三界秀実の各氏に師事。P.ベロー氏のマスタークラスを受講。ビュッフェ・クランポン主催欧日音楽講座にて、M.アリニョン、F.エオーの各氏のレッスンを受ける。2017年度、2018年度 東京音楽大学給費奨学生。
現在、桐朋学園大学研究科2年次在学中。

 


次回の公開は6月11日(金)に、三界達義さんによる「音程その1 音程の高低差がわからない!」をお届けする予定です。お楽しみに!

 


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