ザ・ナルマン・クラリネット・アンサンブルが伝授 やれば絶対にうまくなる基礎練習

Lesson27 アンサンブル その3

 

「ザ・ナルマン・クラリネット・アンサンブルが伝授 やれば絶対にうまくなる基礎練習」は亀居優斗、三界達義、吉本拓、和川聖也の4名から成るザ・ナルマン・クラリネット・アンサンブルが、クラリネット愛好家に伝えたい基礎練習講座です。ロングトーンやタンギングなど上達に欠かせないコンテンツをメンバーがそれぞれ解説していきます。隔週の金曜日に更新していきますのでお楽しみに♪

 
○The Narmen Clarinet Ensemble
 

2018年、東京芸術大学と東京音楽大学の在学中に亀居優斗、三界達義、吉本拓、和川聖也の4人で結成されたクラリネットアンサンブル。2018年3月に初のコンサートを開催し、好評を博す。2019年にはドルチェ楽器と十亀正司氏の共同企画であるNEWSvol.6に出演し東京、名古屋、大阪の3公演を行う。その他にも演奏会を重ね意欲的に活動中。前衛的なプログラムに挑戦している新進気鋭の若手クラリネット四重奏団である。2020年9月には、オペラシティリサイタルホールでのコンサートを開催する。

 

 

Lesson25 アンサンブル3 レベル別おすすめアンサンブル曲

みなさんこんにちは、三界です!
前回までメンバーがアンサンブルの作り方、考え方を書いてくれましたので、今回はそれを生かすべく僕個人のおすすめアンサンブル曲をレベル別に紹介していきたいと思います。ナルマンメンバーらしくクラリネット四重奏曲に限定しております。初級中級上級という分け方をしますが、細かい指標などはありませんので気に入った曲があれば気軽に取り組んでみてください!

 

♪初級おすすめ曲

♪T-J.トンプソン作曲、シャルモー・スウィング組曲

クラリネットの運指を一通り覚えて、簡単な曲なら演奏できるよ!という人におすすめ。
イギリス出身のクラリネット&サックス奏者でもある作曲家、トンプソンの曲です。編成はB♭クラリネット4本と気軽にアンサンブルできます。
曲の題名にあるシャルモーとはクラリネットの最低音からおよそ1オクターブの音域を指します。初心者でも演奏しやすく、これぞクラリネットと言える深い音色がする音域が曲を構成しております。そしてただ演奏しやすいだけではなく、スウィングということでブルースやブギなどjazzyで楽しい雰囲気の魅力ある一曲です!

 

♪中級おすすめ曲

♪F.ファルカシュ作曲、17世紀のハンガリー古典舞曲集

B♭クラリネットがだんだん上達していき、バスクラリネットやエスクラリネットも練習し始めたという人におすすめ。
ハンガリーの作曲家であるファルカシュの作品です。編成はエスクラリネット、B♭クラリネット 2人、バスクラリネットの4人で構成されてます、特殊管の練習にもなり音楽の様式感も勉強できる豪華な一曲です。
舞曲集ということで踊りにまつわる4曲で成り立っています。特に4曲目はとびはねる踊りという名前もついており、演奏していると自然とテンションが上がってしまうような名曲です。ヴィルトゥオーゾ的(名人芸)な超絶技巧も組み込まれていますので、練習しがいがとてもあります。どうしてもタンギングが間に合わないなどある場合は場所にもよりますが、適宜スラーをつけて演奏するのもアリだと思います。
個人的にアンサンブルコンテストで挑む曲としてかなりおすすめします。

 

♪上級おすすめ曲

♪A.ウール作曲、ディヴェルティメント

難しくてかっこいい曲をやってみたい!という人におすすめ。
オーストリア・ウィーン出身の作曲家ウールの傑作です。クラリネットアンサンブルにおいて最も有名かつ王道を行く曲の一つでもありますので、四重奏をやる場合ぜひ挑戦してほしい曲です!
編成はB♭クラリネット3人とバスクラリネット、オーソドックスですね。どのパートも技術的に難しい上に、メロディや伴奏が交互に変わりつつ複雑に絡みながら音楽が進んで行くのでアンサンブルスキルが試されます。
中高生のうちにこの曲に取り組んだ人でも、大人になってから演奏するとまた違う味がする魅力ある一曲です。特に僕のおすすめは2楽章です、美しい和声感はたった4人で演奏していることを忘れさせてくれます。

 
♪まとめ

以上3曲が僕のおすすめアンサンブル曲になります。どの曲にもそれぞれ素晴らしい魅力があり、演奏、アンサンブルが純粋に楽しめると思います。
また他にも紹介しきれないほどの名曲がクラリネットアンサンブル曲にはあふれていますので、ぜひ今までのアンサンブルに関するアドバイスを思い出しながらトライしてみてください!

 

 
 
今回の執筆者は……

三界達義 Tatsuyoshi Mikai

1996年生まれ、東京藝術大学音楽学部器楽科を経て同大学音楽研究科を修了。 藝大奏楽堂モーニング・コンサートにて、藝大フィルハーモニア管弦楽団とカレヴィ・アホのクラリネット協奏曲を共演。 大学学部卒業時にアカンサス音楽賞、同声会賞を受賞。同声会新人演奏会に出演。 大学院修了時に大学院アカンサス音楽賞受賞。 これまでに三界秀実、野田祐介、山本正治、十亀正司、伊藤圭の各氏に師事。 2018年度瀬木芸術財団海外研修生。 現在、エリザベト音楽大学非常勤講師、The Narmen Clarinet Ensembleメンバー、広島交響楽団クラリネット奏者。

 


次回の公開は11月12日(金)に、吉本 拓さんによる「アンサンブル4 クラリネットアンサンブルエピソード」をお届けする予定です。お楽しみに!

 


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