ザ・ナルマン・クラリネット・アンサンブルが伝授 やれば絶対にうまくなる基礎練習

Lesson17  音程 その1

 

「ザ・ナルマン・クラリネット・アンサンブルが伝授 やれば絶対にうまくなる基礎練習」は亀居優斗、三界達義、吉本拓、和川聖也の4名から成るザ・ナルマン・クラリネット・アンサンブルが、クラリネット愛好家に伝えたい基礎練習講座です。ロングトーンやタンギングなど上達に欠かせないコンテンツをメンバーがそれぞれ解説していきます。隔週の金曜日に更新していきますのでお楽しみに♪

 
○The Narmen Clarinet Ensemble
 

2018年、東京芸術大学と東京音楽大学の在学中に亀居優斗、三界達義、吉本拓、和川聖也の4人で結成されたクラリネットアンサンブル。2018年3月に初のコンサートを開催し、好評を博す。2019年にはドルチェ楽器と十亀正司氏の共同企画であるNEWSvol.6に出演し東京、名古屋、大阪の3公演を行う。その他にも演奏会を重ね意欲的に活動中。前衛的なプログラムに挑戦している新進気鋭の若手クラリネット四重奏団である。2020年9月には、オペラシティリサイタルホールでのコンサートを開催する。

 

 

音程1 音程の高低差がわからない!

皆さんこんにちは! 三界です。今回からは新しく、音程をテーマに取り上げていきたいと思います。クラリネットには無伴奏のようなソロで演奏する曲もありますが、大半の曲では一緒に演奏する人がいます。その際、音楽的に心地よい演奏をするために音程の感覚は欠かせません。

 

♪音程とは

音程とは一体どういうものなのか、というところから考えていきましょう。専門的な話ですが、そもそも音は何かが振動して生まれるものです。声を出すためには声帯が振動を引き起こし、クラリネットではリードがその役目を果たしています。音程はその振動の周波数(単位=Hzヘルツ)によって比例するものです、周波数は高い音が高音で、周波数が低くなると低音になります。何人かで同じ音を演奏する場合、この周波数が合えば音程が合ったと言えます。
理屈でいうと以上の通りですが、楽器を演奏している時にこんな数値を一々考える必要はないと思います(笑)。しかし音が周波数という波をもっているため、音程が僅かに違う同じ音を演奏すると、波がぶつかり合いモワモワとした「うなり」が発します。後述しますが、この感覚は知っておいたほうが良いと思います。

 

♪高低差がわからない

音程について学び始める時期、クラリネット奏者であればおそらく中学高校の吹奏楽で、という方が多いのではないでしょうか。楽器を初めて先輩から渡されて、練習してちょっとずつ音が出るようになり、初めて合奏に参加して……音程を意識することができるようになるのは、もっともっと後の話だと思います。そしてようやくその意識が芽生え始めた頃には、楽器を始めたての後輩が何人も加わりみんなで合奏する。以上は当たり前の流れですが、これでは音程の高低差は確かに分かりにくいことだと思います。
音程の感覚を身につけるためには、まずは少人数で練習して実際に自分の耳で音の重なり方を聞くことが大事です。吹奏楽の場合同じパートの人2、3人で、自分がパートのトップであれば 1st、2nd、3rdのトップの3人で、また同じ動きをする他の楽器の人と、など色々やりようはあります。それが出来てから合奏に臨めれば、圧倒的にアンサンブルがしやすくなるはずです!

 
 
♪音程を意識するコツ

音程に対する考え方についてはかなり膨大な意見があるので、ここではあくまで初心者向けのコツを2つほど紹介できればと思います。

①自分の楽器の癖を知っておく
クラリネットにはどうしても楽器的に音程が不安定になる音域が存在します。またこれも音域によりますが強く吹き込むと音程は下がり、逆に繊細なpのフレーズでは音程は上がりやすくなります。さらにその人の吹き方によっても音程のツボは変わってくるので、癖を理解してニュートラルを知っておく必要があります。これは1人でチューナーを使ったり、あるいは調律されたピアノの音と合わせたりすることで練習できます。

②音程が合っていない時の感覚を大事にする
音程が合った時の感覚はもちろん必要なものですが、個人的には音程が合っていない時に違和感(うなり)を鋭く感じることができるようになることが、アンサンブルをする近道だと考えています。その感覚さえ身につければ、音程を合わせるために自然と模索するようになるはずです。
まとめになりますが音程はとても奥が深いものです、まずは意識するところから始めていきましょう!

 

 
 
今回の執筆者は……

三界達義 Tatsuyoshi Mikai

1996年生まれ、東京藝術大学音楽学部器楽科を経て同大学音楽研究科を修了。 藝大奏楽堂モーニング・コンサートにて、藝大フィルハーモニア管弦楽団とカレヴィ・アホのクラリネット協奏曲を共演。 大学学部卒業時にアカンサス音楽賞、同声会賞を受賞。同声会新人演奏会に出演。 大学院修了時に大学院アカンサス音楽賞受賞。 これまでに三界秀実、野田祐介、山本正治、十亀正司、伊藤圭の各氏に師事。 2018年度瀬木芸術財団海外研修生。 現在、エリザベト音楽大学非常勤講師、The Narmen Clarinet Ensembleメンバー、広島交響楽団クラリネット奏者。

 


次回の公開は6月25日(金)に、吉本拓さんによる「音程2 耳を鍛える練習1」をお届けする予定です。お楽しみに!

 


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