その練習法大丈夫?クラリネットが上手〜くなるための基礎練習

第5回 音域を広げる!音色を作る!

※譜例が切れて見える場合は、横にスクロールしてください。

音域を広げる練習

さぁどんどん吹く音域を広げていきましょう! まずは低音域です(譜例①)。クラリネットの持つ暖かみのある柔らかくて太い音をイメージしながら、ゆったり深く息を入れてあげてください。

譜例①

次は最初のB♭から上に上がりましょう(譜例②)。音は上がっていきますが、まだまだ低音域です。
アンブシュアが固くなってしまったり、息が浅くなっていかないよう深い息を心がけてください。特に最後の実音A♭は細くて響きのない音になりやすいので、太い音のイメージで。

譜例②

それから左手親指のレジスターキィを使った中音域に入っていきます(譜例③)。五線よりも上の音(実音F以上)になってくると、なんとなく体に力が入ってしまってアンブシュアが固くなり、音が細くなってしまいますし、逆にアンブシュアがゆるんでいると、ビャーっと開いた音になりやすくなる音域になります。
適度にリードに対するプレスがかかり、柔らかいアンブシュアを心がけましょう。口の形が「イ」や「エ」のように横に引っ張った形のまま口の両サイドで締めてしまうと、薄っぺらい音になりますので、口の形は「ウ」や「オ」のイメージで。唇は中央に集めるというか、単に閉じるだけと思っておきましょう。

譜例③

さらに上の高音域に関しては、またいろいろとコツが変わってきます。気になる方は「黒笛音楽塾。」の門を叩くことをオススメします(笑)。

音色を作る練習

よく「良い音になるためにはロングトーンすればいいですか?」と聞かれますが、半分正解です。音を良くするためにはロングトーンはかかせませんが、やみくもに音を伸ばしているだけでは音は良くなっていきません。
前回も書いた通り、ロングトーンは自分の音を聴くための練習です。つまり、良い音、自分の吹きたい音の明確なイメージがないと、いくら時間をかけても良くはならないということです。
というわけで、次は音色を作っていく練習をしてみましょう。譜例④ですね。これは、レジスターキィの特性を捉えつつ、中音域の音色をまとめていくための練習です。
まずは低音域の音を、最初にやったように深い息を入れることを念頭に置きながら、たっぷり吹いてあげてください。そのまま丁寧にレガートをかけながら上の音に跳躍します。このとき、上の音に上がる瞬間にアンブシュアが緊張してしまわないように注意しましょう。
上の音が細くなってしまっていませんか? はたまたビャーっと開いた音になっていませんか? 特に後半になるにつれて、そいうった変化は出やすくなりますので注意して自分の音を聴いてみてください。

譜例④

何回かやっていくと、下の音よりも上の音のほうが大きな音になってしまいやすいということに気づくと思います。とすると、下の音をしっかり吹いている時よりも、上に上がる瞬間に少し楽に吹いてあげるイメージを持ってやってみましょう。そのほうがレガートがかかりやすくなると思います。
この、音が切り替わる瞬間に行なう体の操作を、うまく感覚的に捉えてください。それを感覚的につかみ、かつ無意識にできるようになると、中音域の音色は飛躍的に向上します。トライ&エラーを繰り返し、自分の体の声と実際に出ている音に耳を傾けてみてください。

 

登場するアーティスト
画像

渡邊一毅
Kazuki Watanabe

兵庫県立神戸高等学校を経て東京藝術大学音楽学部器楽科卒業。
室内楽、吹奏楽、オーケストラ、ミュージカルなど多岐に渡り活動する一方で、指揮活動も含め後進への指導にも積極的に取り組み、指導した団体は吹奏楽コンクール、アンサンブルコンテストなどで全国大会出場多数。また各地にて各コンクール審査員も務める。
スタジオワークも多く、アニメ、ゲーム、映画、TVドラマ、CM等録音多数。
また、下記団体において数多くの編曲を手がけ、楽譜が出版されている。
オブロークラリネットアンサンブルE♭クラリネット奏者。ブリッツ・フィルハーモニックウインズ コンサートマスター。
クラリネット五重奏団Penta-CLam、東京セレーノバスクラリネットアンサンブル【木炭】、山本拓夫木管6重奏Halocline各メンバー。
2018年1stアルバム「Triptyque」発売。
現在、洗足学園音楽大学、相愛大学講師。音楽教室「黒笛音楽塾。」主宰。
公式サイト「黒笛危機一髪。」


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