その練習法大丈夫?クラリネットが上手〜くなるための基礎練習

第7回 姿勢について 〜指回しのために〜

ロングトーンの調子はいかがですか。自分の音をしっかり聴けていますか?
ここまでは音の話を中心にしましたが、ここからしばらくの話題は「指」です。連符を扱うことの多いクラリネットですから、指回しでお悩みの方も多いかと思います。難しい連符や速い連符を華麗に吹くために重要なことを確認しながら、指回しの基礎練習をしていきましょう。

明日へのスケール!

姿勢

吹く時の姿勢は指への影響はもちろんのこと、音を出すという根本的なところにも大きく関係してくる重要なポイントです。まずすべてにおいて大事なのは上半身の脱力です。上半身に力が入ってしまうと、息が吸えなくなってしまうので、どうやって力を抜いていくかということを念頭に姿勢を考えてみましょう。

写真①

 

よく、「姿勢良く楽器を吹きましょう」というようなことを言われることがあるかと思いますが、姿勢を良くしなければと思うと背筋を伸ばして胸を開くように力を使ってしまいがちです。これは息が楽に吸えなくなってしまうので要注意です
姿勢を作る上でのポイントは、坐骨で座ることと、骨盤を立てるようにしてあげるということです。この姿勢が取れると、上半身に加えて足も自由に動かすことができるようになり、脱力を目指すという目的に合致します。腰で支えを作るということで、首や背中がこわばらない楽な姿勢で演奏しましょう写真①)。

腕の力と手の型

写真②
写真のようにアゴが下がりすぎてはいけません。
背中がこわばって重心が後ろにいかないように。

 

上半身を楽に、ということは、楽器を持っている腕にも余分な力は要らないということになります。脇が締まっていたり、肘が外側に出てしまっていないか鏡を見てチェックしましょう。腕の上げ方にも若干個人差はあると思いますが、だらーんと下げた位置から肘だけ曲げ、そのまま内側に持っていった辺りでちょうど良いかと思います。大事なのは楽器と顔の角度です。
アゴの下に自分の握りこぶしが入るぐらいにして息の通りをよくします。楽譜を凝視して顔が下がってしまったり、首が前に出てこないよう注意しましょう(写真②)。この角度は体を動かしたり、合図を出すときもキープすることが大切です。

続いて手の型です。基本の型は穴をすべてふさいだ状態、つまり最低音の実音Dを押さえた時の形です。人差し指、中指、薬指に関しては指を立てるようにしましょう。楽器は挟むイメージではなく、指先で掴むイメージです。手の中に軽く卵を持つような感じですね写真③)。よく第一関節が内側に入り込んでしまう人を見かけますが(写真④)、これでは速く正確に指を動かすのに余分な労力が必要になります。トーンホールは指の腹ではなく指先で塞ぎましょう。

写真③
写真④
登場するアーティスト
画像

渡邊一毅
Kazuki Watanabe

兵庫県立神戸高等学校を経て東京藝術大学音楽学部器楽科卒業。
室内楽、吹奏楽、オーケストラ、ミュージカルなど多岐に渡り活動する一方で、指揮活動も含め後進への指導にも積極的に取り組み、指導した団体は吹奏楽コンクール、アンサンブルコンテストなどで全国大会出場多数。また各地にて各コンクール審査員も務める。
スタジオワークも多く、アニメ、ゲーム、映画、TVドラマ、CM等録音多数。
また、下記団体において数多くの編曲を手がけ、楽譜が出版されている。
オブロークラリネットアンサンブルE♭クラリネット奏者。ブリッツ・フィルハーモニックウインズ コンサートマスター。
クラリネット五重奏団Penta-CLam、東京セレーノバスクラリネットアンサンブル【木炭】、山本拓夫木管6重奏Halocline各メンバー。
2018年1stアルバム「Triptyque」発売。
現在、洗足学園音楽大学、相愛大学講師。音楽教室「黒笛音楽塾。」主宰。
公式サイト「黒笛危機一髪。」


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