The Clarinet vol.25(2007年10月発売)

第1回 | トルコのG管KLARNET 十亀正司の世界の名盤・珍盤 

新連載「世界の名盤・珍盤」を連載することになった。
実際のところ名盤・珍盤とはなんなのかよく分かっていない。
しかし引き受けてしまった以上、自分なりの定義を考えてみることにした。
まず名盤とは、クラリネット奏者にとって、とてもためになる良い演奏が収められているアルバム。
そして珍盤。これは少しカテゴリーが難しくなってくる。珍盤であっても名盤だったり、珍盤であってお勧めできない盤もある。
この連載ではだいたいこの三種類に括って進めていくが、紹介するアルバムがその三種類のどれに当たるのかはあえて言わないようにするので、みなさんが判断してほしい。
では早速、私が所蔵するアルバムを紹介していくことにしよう。

 

トルコのG管KLARNET

記念すべき一枚めのアルバムは「KLARNET TAKSiMLERi」。
KLARNETを演奏しているのはAli KAYACIという人です。

クラリネットという楽器は、クラシックはもちろんジャズや民族音楽というように色々なジャンルで活躍できる楽器で、これは他の楽器にはない表現の幅の広さです。
そしてこのアルバムは民族楽器としてのクラリネットの演奏を堪能させてくれるアルバムです。7年くらい前にオーケストラでトルコへ演奏旅行をした時に手に入れたものです。
僕は色々な変わったクラリネットを集めるのも趣味のひとつなのですが、トルコといえばこの国でしか使われないG管のクラリネットという珍しい楽器があるのです。
それは、我々が使っているA管のクラリネットより丈の長いクラリネットで、町のレストランのバンドなどでヴァイオリンや打楽器などと一緒にあちこちで見かける、トルコではとてもポピュラーな楽器なのです。
私は言うまでもなくトルコに着くや否やその楽器を手に入れ、ついでに音源をCDショップに探しに行ったわけですが、行ってみるとあるわあるわ!今買ったばかりのG管クラリネットのCDだけでも2、30枚はあったでしょうか。
選ぶといっても、曲名も演奏者も何もかもが初めて見るものばかり(トルコ語で書かれているものがほとんどということもありますが)。

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Page 02
・ジャケット写真の功罪

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・インドのCLARIONET
・超絶技巧によるインド音楽の妙味

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