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第10回 | 最終回 クラリネットの恩人たちへ捧ぐ 十亀正司の世界の名盤・珍盤 

The Clarinet vol.34(2010年3月発売)

みなさんこんにちは。早いものでこのコーナーも最終回ということになりました。最終回はクラリネット奏者として僕がもっとも影響を受けたアルバムを紹介することにします。 大学受験に失敗、だだひたすらクラリネットを練習していた時期に、ちょうどこれらのアルバムに出会ったのでなおさら影響を受けたのでしょうね。

 

クラリネットのイメージが音を立てて崩れた!

まずはギィ・ドゥプリュの「ドビュッシー:プレミアラプソディー」。珍しいことにオーケストラ伴奏での録音です。マリウス・コンスタン指揮フランス国立放送フィルハーモニー管弦楽団。他には『聖セバスティアン』の殉教とサックスの『ラプソディー』がダニエル・ドゥファイエのサックスソロで収録されています。見方によってはかなりマニアックなアルバムですよね。売れなかっただろうなと他人事ながら心配してしまいます。
さてドゥプリュの『ラプソディー』です。最初にこのアルバムを聴いたときのことを鮮烈に覚えているのですが、それまではレコードなどで彼の演奏は聴いたことがなかったのです。驚きました! いままで僕が持っていたクラリネットの音のイメージがガラガラと音を立てて崩れてしまうほどの衝撃でした。どこまでも透明な、しかも伸びやかでfffからpppまでの強弱のコントロール、音程。どれをとっても自分では思いもよらぬクラリネットがそこにあったのですから。それからというもの、ひたすら特に弱い音で響きのある音を目指し、ロングトーンをしていたのを覚えています。それまでドゥプリュのことをぜんぜん知らなかったのですっかりファンになってしまい、彼が参加しているアルバムを片っ端から購入し、聴いていた時期でもありました。
その甲斐があったかどうか、めでたく目指す音大に入学したその一年生のとき、ドゥプリュさんが大学にいらっしゃり、レッスンを受けたのはとても忘れることのできない出来事でした。目の前で聴く生の音も、やはり僕があのドビュッシーで感じた印象そのままで感動しました。今も学生たちにこの曲を教えるときには、必ずドゥプリュの『ラプソディー』がこの頭の中に鳴り響いているのです。浪人中このアルバムを百回以上は聴いていたので当たり前のことですが、いまだにこの演奏の右に出る録音を聴いたことがないということも影響しているのでしょう。

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Page 02
・これ見よがしの部分がないプリンツの演奏
・いろんな音楽を聴けるクラリネット
・ファイドマンの本領が遺憾なく発揮されたアルバム

 




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