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第9回 | クラリネットの恩人たちへ捧ぐ 十亀正司の世界の名盤・珍盤 

The Clarinet vol.33(2009年12月発売)

みなさんこんにちは。クラリネット生活、いかがお過ごしでしょうか? 
今回の名盤珍盤コーナーは2つのアルバムを紹介したいと思います。1枚は「モーツァルト」、もう一枚は「ジャカン家の人々」というアルバムです。この二つのアルバムはいずれも古いクラリネットで演奏されています。特に「モーツァルト」のほうは、当時のオリジナル楽器で演奏されている珍しいアルバムなのです。それでは、それぞれのアルバムを僕が聴いたきっかけからお話をはじめたいと思います。

謎満載のモーツァルトの楽譜

5年くらい前だったか、NHK教育テレビで放送された「モーツァルト 謎の楽譜K.621b」という番組が、そのきっかけです。
まずこの番組のあらすじから紹介しましょう。
主人公はジル・トーメというパリで古楽器を教えているクラリネット奏者です。彼が、スイスのヴィンタートゥールにある図書館でモーツァルトの謎の楽譜を目にするところから番組がスタートします。その楽譜とは、G管バセットホルンのために書かれたコンチェルトの、書き出したばかりの譜面なのです。彼はそこで、なぜG管なのかということと、そこに書かれているバセット音域のC#の音が謎だというところに注目します。どういうことかというと、まずその当時G管のバセットホルンが存在したのか?そして、C#の音が出るような楽器があったのか?という2点に疑問を抱くのです。そしてその謎を解く旅に出るというのがだいたいのあらすじです。まあ、このことは以前から有名な話で改めて紹介するような事柄ではないのですが……(ところで、番組中の吹き替えでは「当時のバセットホルンではこんな低い音は出なかったはずだ」と言っていますが、これは翻訳の段階での大きな間違いだと思われます。“低い音”ではなくて「C#という音が出なかったはずだ」が正しいですね)。

次のページへ続く

Page 02
・書き終わっていないのに完成しているコンチェルト?
・G管バセットホルンを蘇らせたジル氏
・再発見された未使用バセットで奏でる「モーツァルト」
・幻のG管バセットコンチェルトが聴ける「ジャカン家の人々」




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