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緩やかに侵食される、音楽と映像の世界│藤枝伸介

THE FLUTE vol.178 close up3

サックス、フルート奏者の藤枝伸介による、音楽と映像の融合作品が配信リリースされた。東京都が主催した、アーティスト支援のための企画「アートにエールを!」の応募作品。世界を翻弄し続けるコロナ禍の中で体験した日々と、湧き上がる生命力――― 言葉に置き換えられない感情を、アートに託す。彼のコンセプトと同じように、その経歴も音楽観も、枠の中には収まらない。

今につながる出会いと衝動

THE FLUTEには初登場となりますが、普段はどんな活動を?
藤枝
作曲やプロデュースなどもしながら、サックス・フルート奏者として活動しています。Sofaレコーズという音楽レーベルも主宰していて、自分の作品をリリースしたり、サックスやフルートのレッスンもしています。
もともとはサックス奏者の藤枝さんですが、楽器を始めたきっかけというのが、少々変わっていますね。
藤枝
中学時代から音楽が好きで聴いてはいましたが、自分で楽器を演奏しようとは思っていませんでした。それが、高3の時にチャーリー・パーカー*の演奏を聴いて、なんてすごい音楽があるんだろう!と開眼し、大学に入ってすぐにジャズ研でアルトサックスを始めたんです。
*“モダンジャズの父”の異名をとる、往年のアメリカ人サックス奏者。
その年齢から初めて楽器に触って、すぐに上達したのですか?
藤枝
いいえ、正直、最初は全然……。始めたばかりでもちろん特別上手いわけでもなく、周りからはすぐにやめるだろうと思われていたようです(笑)。でも音楽や演奏をやり続けたい気持ちはきっと人一倍強かったのかな。大学4年になった時に「俺はこれでやっていこう」と思ったんですよね。
フルートはクラシックのプレイヤーが多いですし、小さい頃から一生懸命取り組んだりするので、そういうタイプの演奏家は珍しいかもしれません。大学の4年間で、プロとしてやっていく自信がついた?
藤枝
最初からそれで食べていけるとは思っていませんでした。就職するか演奏活動をしていくかという2つの選択肢があって、どちらにするかを決めたのは大学4年生の4月1日の朝でした。気持ちのうえでは、スカイダイビングみたいな……「えいっ」と飛び込んじゃったような感じでしょうか、今思うと(笑)。  
勝算はまるでなかったのですが、大学のジャズ研以外の場所で演奏する機会が増えてきて、路上で演奏することも多くなりました。いろいろなミュージシャンとも知り合いになって一緒に演奏したり、お金をもらって吹く機会もできてきたんですね。友人たちが就職活動をしている中、僕にとっての就職活動はそれだった、という感じでした。技術的にはもちろん、どこかのタイミングで劇的に上手くなるわけではないですから、少しずつ経験を重ねて音楽を身に付けていきました。  
20代半ばまではそんなふうに活動していましたが、そのうちにジャズ以外の知り合いもでき始めて。ジャンルもテクノだったり、ライブ活動以外にもレコーディングとか様々な仕事をするようになっていきました。

 

次のページの項目
・フルートに音の広がりを求めて

 

information

「GENTLE EROSION 緩やかな侵食」
新曲&映像作品「GENTLE EROSION 緩やかな侵食」リリース&リリースライブ開催
アーティスト:藤枝伸介
形態:配信(mp3, WAV, ハイレゾ) 
配信先:iTunes, Spotify, AWA, Bandcampなど
発売元:ソファーレコーズ
MV同時公開
監督: 藤枝伸介 編集: 津山壽文
撮影: 津山壽文(演奏)藤枝伸介(風景)
出演: 日下部泰生/藤枝伸介/Sumilady/松下マサナオ/鉄井孝司/竹下文子
東京都主催・アートにエールを!公開作品
公開先URL : https://youtu.be/GIP2mUki7wo
Gentle Erosion リリースライブ
日時:10/22(木)Open 18:30 Start 19:30
場所:高円寺ジロキチ(〒166-0002 東京都杉並区高円寺北2-3-4 高円寺ビルB1 )
charge:予約¥3,500 当日¥4,000 (予約申込:https://jirokichi.net/ より、またはTEL&FAX: 03-3339-2727 (18:00-24:00)
出演:藤枝伸介(soprano & alto saxophone, flute, harmonic flute, khoomie, etc)、竹下文子(violin)、塚本真一(piano) 、加藤 秀(fretless bass)、 松下マサナオ(drums)、日下部泰生(live drawing)、あらかり大輔(percussion)

 

Profile
藤枝伸介
音楽プロデューサー、作曲家、サックス・フルート奏者。2012年より音楽レーベルSoFa Records(ソファーレコーズ)を運営。2003年頃よりクラブジャズバンド i-dep(アイデップ)サックス、フルートとして活動、Summer SonicFestivalやSXSW等国内外大型フェスへ出演。谷中敦(東京スカパラダイスオーケストラ)とのサックスデュオ 2 of a kind 、DJ井上薫とのユニットFusik、DACHAMBOのシンセストCD HATAとの PolarChalors 、またソロとしてSINSUKE FUJIEDAGROUPやピアニスト富樫春生とのデュオなどでライブ、リリースを重ねる。これまでに参加するグループ、またはソロでアルバム30作品をリリース。CM、レコーディング参加作品多数。2010年せたがや文化財団/世田谷区主催 世田谷芸術アワード「飛翔」音楽部門をSound Furniture(サウンドファニチャー)名義で受賞。2019年再始動したi-depでカナダ・ケベック州で開催された北米最大級の音楽フェスティバル”FEQ(フェスティバル・デテ・ドゥ・ケベック)に出演し優秀賞を獲得。
http://www.sinsukefujieda.com

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