フルート記事
THE FLUTE vol.195 Special Interview

自分自身の向上を一番大事に歩み続ける

久々の来日に取材が実現したジュリエット・ユレルさん。取材場所のラウンジに現れると、周りにパッと花が咲いたように雰囲気が一変した。マスタークラスでは熱い指導、コンサートでは説得力あふれる音楽を聴かせてくれたユレルさんに、レッスンのことコンクールを受けるときの心構えなどを訊いた。

他人に惑わされないように

久しぶりの来日となりますね。
ユレル
(以下H)
コロナ禍が始まったとき、こんなに長くなると思っていませんでした。私自身はポジティブな性格なので、最初のころは美しい景色のところで練習したり、自転車に乗ったり、ヨガなどを行ないながら日々を過ごしていました。パンデミックの最中はなかなか難しいところがありましたが、文句はいえません。ただただ地道なことを続けていました。
今回の来日では、マスタークラスもされましたね。レッスンするときに心がけていることを教えてください。
H
まず私のクラスの話をしますと、一番気をつけていることは、生徒たち、とくに留学生にとても親切にすることですね。私の受け持っている授業はとてもレベルが高く、留学生も多いのです。その生徒たちに、何か困ったことがあれば、まず一番に私を頼りなさいと伝えています。私の経験ですが、自分の先生がとても厳しい方だったので、反面教師的なことですね。「何か問題や困ったことがあれば、いつでも私に相談しなさい。あなたは遠くから来ていますし、慣れない土地で頑張っているんだし、こんな雨の多いところで気持ちもうつになりやすいから、何か困ったら相談して」とね。心のメンタルケアを一番大事に教えています。
マスタークラスでは個人の特徴を捉え、個人に合わせた教え方を意識しています。私が嫌うのは、生徒がぼんやり聞いているとか、積極的でないことです。一人一人に合った奏法を取得できるようにすることを意識しています。みんな私のようになるのではなくて、生徒自身の個性をもった奏者になってほしいという思いでやっています。
個人に合わせた奏法というのは、その場で見抜かないといけないので難しいと思いますが。
H
技術的なこと、奏法とかシステマティックなところに関しては、必要であれば教えますが、それよりも音楽への向き合い方やスコアの見方、スコアを見てどう感じて表現するかを指導しています。吹いていてきれいな音が出るんだったら特に何も言うことはありません。音楽性へのアジャストメント=調整をメインに指導しています。

次ページにインタビュー続く
・アンブシュアをリラックスさせることが大切
[SPECIAL REPORT]ジュリエット・ユレル 公開レッスン

 
Profile
ジュリエット・ユレル
ジュリエット・ユレル
Juliette Hurel
ダルムシュタット、神戸、J.P.ランパルなどのコンクールに入賞し、2004年仏ヴィクトワール・ド・ラ・ムジーク最優秀新人賞受賞。国際的ソリストとして活躍するほか、室内楽ではこれまでバシュメット、コヴァセヴィッチ、ミンツ等と共演。また数々のオーケストラとの共演を行なう。1998 年からは、オランダ・ロッテルダムフィルハーモニー管弦楽団の首席奏者をつとめている。2020年1月にアルバム「COMPOSITRICES」をリリース。また、ハーグ王立音楽院を経て、現在はロッテルダム 音楽院にて後進の指導にあたる。
 
CD Information

ジュリエット・ユレル 自然のロマン
~ドイツ・ロマン派のフルート音楽

【ALPHA982】Alpha

[演奏]ジュリエット・ユレル(Fl)、エレーヌ・クヴェール(Pf)、エマニュエル・ベルトラン(Vc)
[収録曲]ウェーバー:フルート、チェロ、ピアノのための三重奏曲 ト短調 Op. 63、シューベルト:羊飼いの嘆きの歌 D 121、ライネッケ:フルート・ソナタ「ウンディーネ」 Op. 167、シューベルト:「しぼめる花」の主題による変奏曲 D 802/しぼめる花 ~『美しき水車小屋の娘』 D 795

 

ジュリエット・ユレル
20世紀初頭フランス女性作曲家によるフルート作品集

【ALPHA573】Alpha

[演奏]ジュリエット・ユレル(Fl)、エレーヌ・クヴェール(Pf)
[収録曲]ボニス:ソナタ、ブーランジェ:夜想曲/春の朝に、グランヴァル:組曲、ボニス:小品/スケルツォ、シャミナード:星のセレナード、オルメス:3つの小品

 
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