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アンサンブル・リュネットが伝授!テクニック別アドバイス

フルートをもっと楽しく吹くコツ



フルートテクニックアドバイス

フルートのテクニックは、タンギング、ブレス、フィンガリング……など様々で、得意不得意も人それぞれ。誰もが苦労して身につけ、今もまだ得意とは言えないテクニックもきっとあるはず。このコーナーでは、関西地方を中心に活動している、パフォーマンス・グループ アンサンブル・リュネットに4つのテクニックアドバイスを伝授してもらいます。
THE FLUTE本誌ではお伝えできなかった未公開のQ&Aアドバイスを公開します!

アンサンブル・リュネット…2008年に結成された4名の男性フルート奏者によるパフォーマンス・グループ。「リュネット」はフランス語で「メガネ」を意味し、メンバー全員がメガネを着用している。けっしてイケメン4人組とは言えないが、インパクトのある見た目を重視しているという点ではある意味ビジュアル系である。一般に「カタい」というイメージがあるクラシック音楽を「身近に、気楽に、笑いとともに」というコンセプトを掲げ、毎年4月に大阪で定期公演を行なっている。2011年、滋賀・大津にて開催された第15回日本フルートコンヴェンションではゲスト・プレイヤーとして招かれ好評を博した。また、その会期中に開催されたフルートコンヴェンションコンクール・アンサンブル部門において第2位を受賞。2012年5月、1st CD「エイト・レンゼス〜僕らのメガネは伊達じゃない〜」をリリース。
男性4人組異色フルートアンサンブル・リュネットのブログhttp://lunettes08.exblog.jp/

 

ブレス 江戸
Q. 演奏するときはどうしても腹式呼吸じゃないといけないんですか?
A. 腹式呼吸が推奨される理由は、息を「吐く」際に、空気を押し出すためにお腹のまわりの筋肉を使うことが様々な音のコントロールに直結するから、だと私は考えています。このことは演奏において非常に重要なことですので、演奏において腹式呼吸は必須だと思います。しかし、実は息を「吸う」ことに関して言えば、お腹を動かすことでたくさんの空気を取り込むことは難しいと思います。そもそも、腹式呼吸というものを誤解している方も多いと思いますが、決して「お腹に息を入れる」のではありません。お腹に胃や腸はあっても肺はありません。実際に息が入るのは胸です。ですので、正しい吸い方でたくさん息を吸うと、結果的に肺が膨らんで肩も上がります。もちろん、肩に力が入った状態で、胸を膨らますことだけで息を吸うことは良くありませんが、お腹だけで吸うのも無理があるのです。あまり「腹式呼吸」という言葉に捉われ過ぎず、効率よく呼吸ができる身体の使い方を知ることが大切です。

江戸聖一郎 Seiichiro Edo…兵庫県出身。京都市立芸術大学音楽学部卒業。大学卒業後に渡仏。フランス国立オールネイ・スー・ボワ音楽学校において、パトリック・ガロワ氏に師事し、同校を審査員満場一致の一等賞を得て卒業する。京都市立芸術大学大学院音楽研究科修士課程修了。ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団フルート奏者。パールフルートギャラリー〈大阪〉教室講師。

 

タンギング 森本
Q. クリアな綺麗なタンギングができません。どうしても雑音が入ってしまいます。
A. そもそも、タンギングによって起こる音は雑音です。ただし、それをちゃんとコントロールできないといけないのです。タンギングを日本語で表現すると「トゥ」となりますが、私はこの表現はあまり良くないと思っています。英語の教則本ではTuと書いてありますが、この発音と日本語の「トゥ」は全然違うものです。私の経験では、このTの時ではなく、uの時に、いやな雑音が起こるのです。実はタンギングにおいて、母音はほとんど意味を成していません、Tuで言えば、uはあまりタンギングに影響を与えません。要するに、日本語で「トゥ」と発音するのではなくTをどのように発音するのかがとても重要なのです。細かく言えば、ドイツ語とフランス語とイタリア語と英語のTuは全部少しずつ違います。

森本英希 Hideki Morimoto…和歌山県橋本市出身。京都市立芸術大学音楽学部卒業。大阪シンフォニカー交響楽団(現・大阪交響楽団)フルート奏者を経て、現在、テレマン室内オーケストラのフルート奏者。テレマン室内管弦楽団のソリストとしてバッハ、ヴィヴァルディ、モーツァルトなどの、数多くの協奏曲を共演。京都バロック楽器アンサンブルを主宰し、数多くの演奏会をプロデュースしている。ムラマツフルートレッスンセンター講師。

 

フレーズ 小山
Q. タンギングやスタッカートの多い曲にもフレーズ感って大切?
A.「フレーズ」というとなんとなく「滑らかに演奏する=レガート」と似たような意味にとらえてしまいますね。「フレーズ感」とは言葉や文章におけるそれと同じで、文章(旋律)の始まりと終わりやどの言葉(音)に強い意味があるのか、言葉(音)のつながりや流れなどを意識する感覚です。なので、演奏する旋律がレガートでも、タンギングやスタッカートの多いものでも、フレーズ感を持つということは大事です。
レガートの曲でのフレーズ感について大切なことは、旋律が進んでいく中での息の流れですが、タンギングやスタッカートの多い曲では、息の流れと共にタンギングに変化を持たせることが大切です。例えば、柔らかいフレーズではRuやDu、軽いフレーズはTiを使うなど様々な音節を意識することで変化のあるフレーズを表現しやすくなるでしょう。人それぞれに骨格が違うので一概にTuと発音したからと言って同じ音がでるわけではないので、自分なりに色んな音節をあてはめて強い音のタンギング、弱い音のタンギング、明るい、暗いなど引き出しを多く作ってみてください。

小山真之輔 Shin’nosuke Koyama…沖縄県出身。京都市立芸術大学音楽学部卒業。2006年「第五回笛祭り沖縄フルートフェスタ2006」ではフルートと指揮の両方でゲストとして招かれる。大学在学中より指揮者としての活動を開始し、交響曲、協奏曲、ミュージカル、新曲初演など様々な作品を指揮。現在はフルートと指揮の両方で演奏活動を行っている。ドルチェ音楽教室フルート講師。長岡京市民管弦楽団指揮者。

 

音質音量 谷風
Q. 音量を出すためにはいつも広い部屋で練習するべき? ジョギングや腹筋などが必要?
A.広い空間を響き渡らせる音のイメージや、遠くのお客さまにも伝える気持ちは大切だと思います。そういう意味では広い部屋で練習するのは良いですね。ただ、いつもよく響く部屋でばかり練習していると、細かい所が適当になることもあるんですよ。なにせ、吹けている気になっていますからね。それを考えると、色々な部屋で練習したほうが良いのではないでしょうか。部屋によって色々違うところに目がいったりもしますし、なにより本番の場所が常にホールとも限りませんからね。
適度なジョギングは持久力も高められるので良いと思いますよ。他には水泳なんかも良さそうですね。腹筋に関しては、日頃から良い姿勢を保ち続けることと、体中のストレッチを毎日やる方が、効果は高いと思いますよ。特に肩甲骨は、念入りにほぐしましょう。腹筋をマッチョに鍛えることは、さほど演奏の上達には直結しないと思います。しかし、ある程度、基礎として鍛えられた身体があるに越した事はないでしょう。もし腹筋をやるのならば、背筋も同時に鍛えて、バランスの良い身体を作りましょう。楽器を吹くのに必要なのは、身体を動かす為の柔軟な筋肉の使い方であり、身体を固定してしまうような硬さのある使い方ではありません。

谷風佳孝 Yoshitaka Tanikaze…奈良県出身。3歳からピアノを始める。京都市立芸術大学音楽学部をフルートで卒業後、ウィーンで声楽を学ぶ。帰国後、桐朋オーケストラ・アカデミーの研修課程を修了。第5回KOBE国際学生音楽コンクールの管楽器部門を鍵盤ハーモニカにて審査委員長賞。コンベンションコンクール3位。びわ湖コンクール入選。天理楽器フルート講師。







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