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第11回│「リバーダンス」

kokoro-Neがお届けする〜フルートで彩る フィギュアスケートの世界〜

こんにちは!2 本のフルートとピアノのトリオ【kokoro-Ne(ココロネ) 】です。

今回ご紹介するのは、吹奏楽でもお馴染みの舞台『リバーダンス』より『Riverdance 』です。
独特な音色と音階で広大な自然を彷彿とさせるアイルランド音楽を、選手たちはどのように演じていったのでしょうか。

・友野一希選手 2018-19 FS
・シェイ=リーン・ボーン & ヴィクター・クラーツ組 1997-98 FD
・kokoro-Ne 的「吹奏楽の思い出」

を通して解説していきます。お楽しみに!

リバーダンスについて

アイリッシュ・ダンスやアイルランド音楽を中心とした舞台作品です。アイルランドの作曲家兼音楽家のビル・ウィーランが音楽を手掛けています。今回ご紹介する「Riverdance 」を含め全部で16曲あり(※1) 、他の曲もフィギュアではよく使用されています。
体幹や腕を使わずに足の動きだけで踊るアイリッシュ・ステップダンスを真っ先に思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。アイルランドに伝わる神話や伝承、アメリカへ移住したアイリッシュ・アメリカンの歴史、多様な民族との交流をモチーフとしています。複雑かつ高速なタップを一糸乱れず大人数で演じる姿は、圧巻です。

音楽の土台となっているアイルランド音楽はほとんど伝承=耳コピで伝わっていて、楽譜を使うことが少ないそうです。

・全員ユニゾン(全員が同じメロディを演奏する)
・装飾音を付けながら演奏する(一つのフレーズを何回も繰り返すので、前に演奏したことと同じことはやらないそうです!)
・独特のリズムのヨレ(これがSwingでも付点でもなく、不規則かつ微妙な匙加減で非常に難しいです)などがあります。

それから、楽譜を書いていて気づいたのは「シンプルな音階と和声で作られている」ということです。圧倒的に臨時記号が少ない、というかほぼなかった気が……楽譜の校閲や清書が非常に楽で助かりました。
一方、装飾音やスラーを書く箇所の打ち合わせをしながら「なんかバッハ(バロック音楽)みたいだね(笑)。」なんて会話ものぞみとしました。臨時記号で楽できた!と思ったのも束の間、「ここスラー違う」「Violin には書かない」など、確認作業がこれまたなかなかの労力で、「ちっとも楽に書けないなぁ。” 楽譜” なのに。」と改めて思い知らされました。

※1:公演によって異なるようです。
 

友野一希 2018-19 FS

「リバーダンス」から『Reel around the Sun』(※2)の冒頭を使用した音源で始まります。ティンホイッスル(アイルランド音楽で使用される縦笛)がソロを朗々と奏でる静寂の中、4回転ジャンプが2本。緊張感が伝わってきます。テンポアップしてからタップを取り入れた振付けが見られます。足をたくさん使うリバーダンスの動きの特徴を、上半身の動きも重要なフィギュアの振り付けに取り入れて雰囲気を出すのは難しいと思うのですが、曲の細かいキメに腕の動きが合っていて、見ていて楽しいです。
中盤で同じく「リバーダンス」から『クーフランの哀歌(ラメント)』に入ると一転、しっとり穏やかな曲調に変わります。この曲が使われる1分強の間にジャンプ3本とスピンが入るのですが、技の前後でしっかり曲を歌い込んでいる感じが、友野選手の好きなところです。
終盤に激しいタップとともに「Riverdance」しかも変拍子の部分が登場します。この流れだと、観客席からは手拍子が聞こえそうですが、意外と静か……この変拍子が原因なのかな?と思いました。が!そんなことお構いなし。演技の素晴らしさで盛り上がって締め括られる素敵なプログラムです。

※2:フィギュアファンの方が思う「リバーダンス」はこちらかも知れません。次回、第12回でたっぷりご紹介します!

シェイ=リーン・ボーン&ヴィクター・クラーツ組 1997-98 FD

『Reel around the Sun』の踊りが始まる部分が使われています。アイスダンス(※3)にタップ要素がふんだんに盛り込まれているので、シングルのプログラムと比べてよりいっそう「踏んでる」感があります。かなりスピードのあるステップでも2人とも足捌きが見事! 演技冒頭から引き込まれてしまいます。

その後のスローパートでも深いエッジワークが魅力的ですが、なんと言っても「Riverdance」に入ってからのハイドロ!エッジを深く倒して体を非常に低い姿勢でほとんど水平に伸ばして滑るハイドロブレーディングは彼らの代名詞にもなりました(考案したのは彼らのコーチのウシュイ・ケスラーだそうです)。

横方向に進み続けるスケートに対して、タップの縦方向の動きをあれだけ取り入れるのは難しそうに思いますが、それをさらに涼しげな顔で楽そうに演じてしまうところが素晴らしいです。今見ても20年以上前のプログラムとは思えない素敵な作品です。

このプログラムで長野オリンピックで4位、その後2人は世界選手権やGPFでの優勝を経て、引退後はヴィクターはカナダで選手の育成を、シェイはご存じのとおり、世界的な振付師として大活躍しています(私もシェイの振付作品が大好きです!)。羽生結弦選手『SEIMEI』『Hope & Legacy』、ネイサン・チェン『ラ・ボエーム』髙橋大輔選手『マンボNo.5』、紀平梨花選手『Breakfast in Baghdad』などで若い世代に受け継がれています。

※3:第5回でアイスダンスについて簡単にお話ししています。これまでにシェイの振付作品も取り上げていますので、是非バックナンバーもご覧ください。

「Riverdance」の変拍子

「手拍子で参加したい!」そんなフィギュアスケートファンの皆様はこちらをどうぞ!
是非動画に合わせて叩いてみてください♪(kokoro-Neの動画では3:48~4:55までの部分です)

kokoro-Ne的「吹奏楽の思い出」

まゆ(以下:ま)「『リバーダンス』といえば、吹奏楽コンクールとかでもよく演奏されるよね」
のぞみ(以下:の)「ブラス上がりとしては思い出の一曲だわ~✨」
なつき(以下:な)「2人は何歳くらいから吹奏楽やってたの?」
「私、小5デビュー」
「私も小5だよ~!」
「そこから2人とも、争奪戦必至のフルートの座を高校まで死守してきたのね。素晴らしい!」
「だって私、上手かったんだもん❤ なんてね(笑)。っていうか、なぜか私の周りはフルートの経験者がいなくてラッキーだったの」
「私は……汚い手をいろいろ使いました(諸々自粛)」
「練習はキツかったりするけど、やっぱりみんなで音を出すのは楽しかったし、とてもいい思い出!
あの頃は先輩やコーチに言われたことが絶対!って感じで、信じて疑わなかったなぁ…(遠い目)」
「のぞみちゃんが『ハイッ!』って返事してるのめっちゃ想像つくわ~」

「私がキツかったのは、吹奏楽でよく使用されていた編曲!B♭管至上主義っていうのかな。クラシックなんて、ほぼほぼ原曲の半音下げで♭系に移調されるでしょ。あれが、どうにも気持ち悪くて……」
「原曲と調性が違うのは吹奏楽あるあるだよね」
「そうなんだ……吹奏楽部に縁がなかったから知らなかった。私も一時憧れてソプラノSAX(B♭管)を習ってたんだけど、すぐ挫折したの。移調楽器、甘くみてた……」
「そいえば、古楽のチェンバロ(半音低く聞こえる))も弾くの辛そうだったよね。私もトラヴェルソは無理(現代とピッチが違う)だと思う」
「えー、もったいないー! 私、絶対音感ないから全然気にならないわ!」
「絶対音感は便利なこともあるけど、適応力という意味では厳しい面もあるのよ……」
「中3で友達に言われるまで『世の中の音はすべて音程が付いて聞こえる』と思って育ったからね。もしクラリネットとかサックスになっていたら、楽譜は実音で書き換えて、指も「シ♭ドレミ♭ファ~」で練習すると思う」

フルートの楽譜

フルート、ヴァイオリン、ピアノのための「Riverdance」は今春に「Reel around the Sun」と同時発売の予定です。ご購入はこちら → https://kokoroneshop.thebase.in/items/39926237
「Riverdance」for Flute,Violin and Piano / Bill Whelan

kokoro-Neの楽譜・CDは「kokoroneshop」でお求め頂けます。

 

参考動画

kokoro-Neの演奏動画ではヴァイオリンの代わりに鍵盤ハーモニカを使用しております。

演奏のポイント

練習するフレーズの数は少なく、それぞれ難易度はそれほど高くありませんが、それが繰り返し出てくることでボディブローのようにダメージが効いてきます。で、ハマると何回やってもできないドツボにはまる……😭といった現象が起きがちです。繰り返しに耐えられる余裕を作る練習と、最後まで完走できるスタミナが大切かもしれません。
各パーツごとにaccel.やrit.なしで、バサっとテンポが変わります。それぞれの箇所のテンポをしっかり覚えておいて、始まったらブレずに進むのがかっこいいと思います。
一番難しいのがSwingでも民謡でもないメロディのヨレや装飾音なのですが、「リバーダンス」含め、アイルランド音楽をいろいろ聴いて雰囲気を楽しんでみてください。

 

kokoro-Ne(ココロネ)プロフィール

kokoro-Ne (ココロネ)
門井のぞみ・大和田真由・田仲なつきによる、2本のフルートとピアノのトリオ。クラシックで培った確かな技術と表現力を基に、色彩豊かなアレンジやハイレベルな演奏で好評を博している。2007年結成当初より、ジャンルを超えたレパートリーに挑みながらも、リズムセクションや打ち込みなどを敢えて加えず室内楽トリオの可能性を追求し続けている。TPOに合わせた演奏を得意とする一方、CD・楽譜・オリジナル作品の発表にも力を入れており、オーディエンスはもとより多くのプレイヤーからも支持を得ている。
主な作品
・2009年 1st Album 「kokoro-Ne/ココロネ」
・2013年「コンサートで使えるフルートデュエット曲集kokoro-Ne編」(ドレミ楽譜出版社)初版以降も増刷を重ね、ロングセラーとなる
・2016年 2nd Album 「Microcosmos」同収録のオリジナル曲「ミクロコスモス」楽譜出版
・2017年 楽譜出版「kokoro-Ne Library」を立ち上げ、これまでに10作品を超える楽譜を発表。続々と新作発 表を控えている。
kokoro-Ne公式HP https://www.kokoro-ne.net/
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カバーストーリー
フルートコンサートガイド

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