ザ・ナルマン・クラリネット・アンサンブルが伝授 やれば絶対にうまくなる基礎練習

Lesson24 フィンガリング その4

 

「ザ・ナルマン・クラリネット・アンサンブルが伝授 やれば絶対にうまくなる基礎練習」は亀居優斗、三界達義、吉本拓、和川聖也の4名から成るザ・ナルマン・クラリネット・アンサンブルが、クラリネット愛好家に伝えたい基礎練習講座です。ロングトーンやタンギングなど上達に欠かせないコンテンツをメンバーがそれぞれ解説していきます。隔週の金曜日に更新していきますのでお楽しみに♪

 
○The Narmen Clarinet Ensemble
 

2018年、東京芸術大学と東京音楽大学の在学中に亀居優斗、三界達義、吉本拓、和川聖也の4人で結成されたクラリネットアンサンブル。2018年3月に初のコンサートを開催し、好評を博す。2019年にはドルチェ楽器と十亀正司氏の共同企画であるNEWSvol.6に出演し東京、名古屋、大阪の3公演を行う。その他にも演奏会を重ね意欲的に活動中。前衛的なプログラムに挑戦している新進気鋭の若手クラリネット四重奏団である。2020年9月には、オペラシティリサイタルホールでのコンサートを開催する。

 

 

Lesson24 フィンガリング4 フィンガリングが苦手な人へのメッセージ

こんにちは、三界です。
これまでフィンガリングにおいての実践的な取り組み方を、narmenメンバーが紹介してくれました。今回は僕個人の実体験であるフィンガリングの悩みや、考え方をシェアできればと思います。

 

♪音楽的ではないフィンガリング

指が回らなくて苦労する、ということは僕も現在進行形でたくさんありますが、指が回っていても音楽にマッチしていない、ということに直面した時はさらに悩みました。学生時代に難しいパッセージがある曲に取り組んでいた際、とにかく何も考えずに指を動かす練習を重ねてきました。何度も練習したことによりミスはあまりしなくなったので、よし完璧だ!と自分では出来上がったつもりで、その曲をレッスンに持って行ったのですが、先生には音楽的ではないと一蹴されました。
連符が人工的に作られたパッセージになって、息の流れも止まっており、音楽というよりは指の速さを競うスポーツのようになっていたみたいです。さらに厄介なのが、先生から指摘されるまでそのことに自分が気づいていなかったことです。
ようやくそこで自分のやり方が良くない方向に向かっていることに気づき、それまでの機械的な練習方法を反省しました。

 

♪音楽を構築する要素とは?

今思うのはフィンガリングの練習においても、耳を使って聴くことはかなり大事だということです。あくまで僕個人の考えではありますが、楽器練習は耳を使うことにより自然な音楽へ結びつくものだと思います。もちろん前提として、そう出来るような音楽的な耳を鍛える必要はあると思います。
自分が今何の音を出しているのか把握しながら手を動かす、というだけでも音の並びは音楽的な流れを持つように思います。僕の場合は音名を実際に言葉にして歌ってみることで、多少なりとも改善されました。
そしてどんなに難しいパッセージでも音が変わる瞬間を意識できるようになると、手は自然に動くようになるはずです。音と音の間、変わりゆく瞬間、これ自体が音楽を構築する大事な要素ですので、フィンガリング練習にも取り入れようがあると思います。

 
 
♪まとめ

以上のことは、これまでnarmenメンバーが紹介してくれたフィンガリングの取り組み方にも繋がるように思います。
楽器を吹きながらフィンガリングの練習をする際には、最初は人体的な筋肉に意識を集中させることになるとは思いますが、慣れてきたら自分の耳で音を聴きながら取り組んでみてください。

 

 
 
今回の執筆者は……

三界達義 Tatsuyoshi Mikai

1996年生まれ、東京藝術大学音楽学部器楽科を経て同大学音楽研究科を修了。 藝大奏楽堂モーニング・コンサートにて、藝大フィルハーモニア管弦楽団とカレヴィ・アホのクラリネット協奏曲を共演。 大学学部卒業時にアカンサス音楽賞、同声会賞を受賞。同声会新人演奏会に出演。 大学院修了時に大学院アカンサス音楽賞受賞。 これまでに三界秀実、野田祐介、山本正治、十亀正司、伊藤圭の各氏に師事。 2018年度瀬木芸術財団海外研修生。 現在、エリザベト音楽大学非常勤講師、The Narmen Clarinet Ensembleメンバー、広島交響楽団クラリネット奏者。

 


次回の公開は10月1日(金)に、和川聖也さんによる「アンサンブル1 アンサンブルするときに気をつけること」をお届けする予定です。お楽しみに!

 


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