ザ・ナルマン・クラリネット・アンサンブルが伝授 やれば絶対にうまくなる基礎練習

Lesson25 アンサンブル その1

「ザ・ナルマン・クラリネット・アンサンブルが伝授 やれば絶対にうまくなる基礎練習」は亀居優斗、三界達義、吉本拓、和川聖也の4名から成るザ・ナルマン・クラリネット・アンサンブルが、クラリネット愛好家に伝えたい基礎練習講座です。ロングトーンやタンギングなど上達に欠かせないコンテンツをメンバーがそれぞれ解説していきます。隔週の金曜日に更新していきますのでお楽しみに♪

 
○The Narmen Clarinet Ensemble
 

2018年、東京芸術大学と東京音楽大学の在学中に亀居優斗、三界達義、吉本拓、和川聖也の4人で結成されたクラリネットアンサンブル。2018年3月に初のコンサートを開催し、好評を博す。2019年にはドルチェ楽器と十亀正司氏の共同企画であるNEWSvol.6に出演し東京、名古屋、大阪の3公演を行う。その他にも演奏会を重ね意欲的に活動中。前衛的なプログラムに挑戦している新進気鋭の若手クラリネット四重奏団である。2020年9月には、オペラシティリサイタルホールでのコンサートを開催する。

 

 

Lesson25 アンサンブル1  アンサンブルするときに気をつけること

皆さんこんにちは! 和川です。今回より、アンサンブルについてお話ししていきます。
小編成〜大編成、どんな形態のアンサンブルをやる際に「気をつけたいこと」を紹介していきます。

 

♪仲間の音を聴く

「仲間(周り)の音を聞きましょう」とよく言われるのではないでしょうか? 僕も中高校生の頃に、先生や先輩から何度も言われた記憶があります。ただ、よくわかっておらず、なんとなく聞こえてくる音を聴いていたような気が……。

では、周りのどんな音を聴けば良いのでしょうか。

もちろん発音や鳴っている音を聴くのも大切です。ですが、まずは仲間のブレスを聴いてみましょう。どんなブレスをしているかを確認しましょう。

相手の息遣いを感じることで、相手が演奏したいテンポや音色感が何となくわかると思います。そして、自然と発音や音程も合いやすくなります。

 

♪耳だけではなく目視確認

次に重要なのは、しっかりと目で相手の動きを捉えることです。
仲間のブレスを耳で感じるのも大事ですが、ブレスの際の小さな動きやテンポの感じ方などを目視するようにしてください。

アンサンブル程度の規模であれば、大きな時差は起こらないのですが(吹奏楽やオーケストラでは距離があるのでかなりの時差が発生する)、しっかりと目で確認することで、よりピタッと仲間につけやすくなります。

 

♪音量のバランス

最後は、バランスを考えて演奏してみましょう。
自分は気持ちの良い長い主旋律を演奏している間に、隣の人は細かいパッセージを演奏している場合や、自分は伴奏でfの指示で書かれているが、周りのメロディも同じfの場合など……。
曲を演奏する際はバランスがとても重要です。バランスが良くないとごちゃごちゃし、曲が聴ききづらくなってしまいます。

主旋律・対旋律・伴奏・和音・飾りの音……など、曲を分解してみるとたくさんの役割があります。
その役割を理解した上で、周りの音も意識できるとより高度なアンサンブルができると思います。

 

♪まとめ

上記のことを気をつけてアンサンブルに取り組んでいただければと思います。
 
ですが、僕自身なによりも気をつけたいと思うのは、仲間への思いやりです。どんな演奏がしたいか、どんな音を出したいか……感性は人それぞれですから、人数が増えれば増えるほど、いろいろな意見が生まれます。その時に、決して自分勝手な演奏にならないように仲間の演奏に合わせる。でも譲って、妥協して合わせるのではなく、お互いの意見をぶつけて、納得がいくようにすり合わせていく。それが思いやりであり、アンサンブルをすることだと思います。

 

 
 
 
今回の執筆者は……

和川聖也 Seiya Wakawa

千葉県立幕張総合高校を経て、東京音楽大学を卒業。2018年度東京音楽大学シンフォニックウインドアンサンブルにてコンサートマスターを務める。東京音楽大学主催卒業演奏会、ヤマハ新人演奏会に出演。これまでにクラリネットを、中村めぐみ、伊藤圭、亀井良信、三界秀実の各氏に師事。P.ベロー氏のマスタークラスを受講。ビュッフェ・クランポン主催欧日音楽講座にて、M.アリニョン、F.エオーの各氏のレッスンを受ける。2017年度、2018年度 東京音楽大学給費奨学生。
現在、桐朋学園大学研究科2年次在学中。

 


次回の公開は10月15日(金)に、亀居優斗さんによる「アンサンブルその2 クラリネットでアンサンブルするには」をお届けする予定です。お楽しみに!

 


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