クラリネット記事 ミシェル・アリニョン&吉野亜希菜
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The Clarinet vol.64 Cover Story

ミシェル・アリニョン&吉野亜希菜

10代の日本人を温かく迎えたパリ

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吉野さんは高校を卒業してすぐフランスに留学し、パリ国立高等音楽院でアリニョンさんの門下に入られましたね。その経緯を教えていただけますか。
Y
高校を卒業するまでの4年間、本田耕一先生に師事していました。本田先生はもともとフランスに留学されていて、私にも留学を勧めてくださったんです。その時にはじめて「そういう道もあるのか」と知りました。また、高校の時に楽器店のイベントで何度かアリニョン先生のマスタークラスを受けていたので、それなら行ってみようかなと思ったんです。とても若かったので、あまり深く考えていなかったのですが……(笑)。
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すぐにパリ音に入学したのですか。
Y
まずはパリ区立の音楽院に入学して準備をし、その後にパリ国立高等音楽院を受験しました。受験には年齢制限があったので、早めに準備しなくては、と思っていました。
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入学手続きや住む場所の手配など、大変だったのでは?
Y
そうですね、フランスに発つ前から大変なことばかりでした。フランス語は日本で少し勉強していったものの、挨拶や名前が言える程度だったので、はじめはとても困りました。
でも、パリ音には世界中から生徒が集まるので、先生は外国人に慣れていらっしゃって、シンプルにポイントを言ってくださった。フランス語がほとんど話せない私でもよくわかるレッスンでした。

レッスンのポイントは「フレーズ感」

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具体的にはどのようなレッスンでしたか。
Y
アリニョン先生のレッスンは週に2回ありました。1回はピアノ伴奏付きで曲を先生に見ていただく。もう1回はエチュードや現代曲、ソロの曲をみてもらうという形です。
先生はいつも、吹いて聴かせて教えてくださいました。小さなことではなく、大きな視野で見て、必要なことだけ言ってくださるので、生徒は言われたことを素直に受け取って練習していくと、自然にステップアップしていけるようなレッスンでした。
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アリニョンさんから受けたレッスンで、印象的だったことは?
Y
話し出したらきりがないほどたくさんあるのですが、中でもよく言われたのは「音をしっかり保つ」ということでした。できるだけ音を大事に、といいますか、それをいつも意識していました。それが一番印象に残っているアドバイスですね。
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それは、一つひとつの音をていねいに扱うというようなニュアンスですか?
Y
そうですね、アリニョン先生が吹いてくださるのを聴いていると、一つひとつのフレーズがすごく長くて、それでいて音がつながっているんです。私がより長いフレーズを吹くためにアドバイスしてくださったのだと思います。
A
フレーズが始まってから終わるまで、音を保つことはとても大切なことです。パリ音に入学した頃、亜希菜さんには音楽的にそういったところが少し足りなかったので、アドバイスしました。
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吉野さんの東京交響楽団の同僚で、やはり首席奏者のエマニュエル・ヌブーさんもアリニョンさんの弟子ですが、やはり同じ先生に習った者同士だなあと感じることは?
A
ふだん同時に吹く機会はあまりないのですが、たまに隣り合わせで一緒に吹いたりすると、普通に吹いたはずなのに、エマニュエルとぴったり合っているんです。そんなときに、あ、そういえば同じアリニョン先生に習ったんだな、と思うことがありますね。

クランポンの魅力は特別な音色にあり

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今回、ビュッフェ・クランポン・ジャパンが50周年を迎えるということで、お祝いのメッセージをいただけますか?
A
今回のコンサートは、とても大切なイベントです。なぜなら、ビュッフェ・クランポン・ジャパンという会社は、作曲家でもある保良徹さんによって50年前に作られた会社で、それがフランスから良い楽器を輸入して日本で愛用されるきっかけとなったからです。洗練された楽器のために日本とフランスのコラボレーションがスタートしたわけで、これはとてもすばらしい機会になったと思います。
Y
私は最初は他のメーカーの楽器を使っていましたが、吹き始めて3年くらいでビュッフェ・クランポンの楽器に替え、それからずっと使っています。自分が愛用している楽器の会社が長い歴史を持っていることはとてもうれしいことで、心からお祝いさせていただきます。
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現在の楽器について、機種とセッティングを教えてください。
A
いつもトスカを吹いているのですが、いまはトラディションも使っています。トラディションはとても特別な音がする楽器です。クランポンの伝統的な音色がするということで、この名前がついています。私にとっては昔から馴染みがあって好きな音色なので、コンサートでも使っています。
マウスピースは2種類を使い分けていて、バンドーレンのB40の13シリーズと、5RVライヤー。リードも2種類使っていて、やはりバンドーレンのV12と、V21のいずれも3 1/2です。リガチャーは、もともとはボナードを使っていましたが、今はディヴィンヌに付属しているものを使っています。
Y
私はトスカで、マウスピースがブラックダイヤモンド、リードはバンドーレンのルピックの31/2です。リガチャーはボナードです。
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トスカを使われている理由は?
Y
はじめはR13 を使っていたのですが、その時はA管をまだ持っていなかったんです。A管を買う時にアリニョン先生に選んでいただいて、それがトスカでした。それに合わせて、あとでB♭管もトスカにしました。試奏したときに、音がストレートに行く感じがとても好きだったんです。
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アリニョンさんが考える、ビュッフェ・クランポンの楽器のメリットはなんですか。
A
私にとってビュッフェ・クランポンは、車で言えばフェラーリのようなもので、響きが特別なのです。他のブランドにも、もちろん良い楽器はたくさんありますが、私は何かを表現する時に、やはりビュッフェ・クランポンの音色が必要なのです。心に触れるようなこの音色が。
Y
私もそう思います。トスカは無駄な力を入れずに音が前に進んでいってくれる感じがとても好きです。

50周年コンサートは楽しく、華やかに!

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2017年11月に開催される50周年記念コンサートには、アリニョンさんはソロで、吉野さんはクラリネットオーケストラのコンサート・ミストレスとして出演されますね。
A
この記念すべきコンサートに出演できることを、とても誇りに思っています。クラリネットオーケストラの指揮をする山本正治さんも知り合いですし、私にとっては家族でパーティをするような気分ですよ。
─
当日、アリニョンさんはどんな曲を演奏されるのですか。
A
やはり教え子のフローラン・エオーとのデュエットですね。ピエール・ジェニソンも登場しますよ。
Y
ピエールは、パリ音での私の1つ上の先輩です。3年前に日本で開催されたジャック・ランスロ コンクールで1位になりました。
─
吉野さんは、そうそうたるメンバーが集まったクラリネットオーケストラの中で吹かれることになりますね。
Y
まず、数々の尊敬する先生方と一緒に演奏できるのがとても嬉しいです。また、その中でもコンサート・ミストレスをさせていただくことが恐縮で、今からドキドキしています。素敵な演奏ができるように頑張りますので、きっと楽しいパーティになると思います。
─
ありがとうございました。
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