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「好きなことをしていられる幸運に感謝して、目一杯楽しんでいます」エミリー・バイノン

THE FLUTE 162号 Cover Story

2011年に本誌インタビューと表紙に初登場してから、7年を経た再会となったエミリー・バイノンさん。ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の首席奏者として、またソロの演奏家としても、ますます活動の幅を広げている。昨年は神戸国際コンクールでの審査員やフルートコンヴェンションへの参加、フィリップ・ベルノルド氏が指揮するフルート・オーケストラとの共演など、いつにもまして精力的な日本での活躍が見られた。そんな彼女に、最近の音楽活動について、また昨年訪れたという新たな楽器との出会いなどについても、話を聞いた。
写真:標 隆司/取材協力:ドルチェ楽器/インタビュア:平山 恵

マエストロ・ベルノルドとの共演

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今回、大阪公演ではユニバーサルフルートオーケストラジャパンとの共演でイベールのコンチェルトを演奏されましたね。いかがでしたか?
バイノン(以下B)
とても興味深い経験でした。普通のオーケストラとの演奏でもバランスの難しい曲ですから、フルートオーケストラとのバランスを気にしていましたが、編曲が良かったおかげでとても満足のいく演奏になりました。フルートオーケストラは同じ音域で同じ音色なので、一緒に演奏するのが難しいと感じると思っていたんです。でもそれも問題ありませんでした。とても繊細で配慮の行き届いた編曲でした。(編集部注:編曲は、関西フィルハーモニー管弦楽団のトランペット奏者・川上肇氏によるもの)
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その公演ではフィリップ・ベルノルドさんが指揮をされました。フルーティストでもあり、指揮者でもある彼との共演では、フルーティスト同志ならではの他の指揮者と違った面がありましたか?
B
まずは緊張しました! ベルノルド氏は尊敬する演奏家ですから。これが彼と指揮者として共演する最初の仕事になりましたが、私にとっては有利に働いた点がいくつもありました。彼自身がこの曲を私よりはるかに多く演奏した経験があり、また教えてもいます。ですから、この曲をフルーティストではない指揮者よりももっとよく知っているのです。私にとってはマエストロ・ベルノルドが何を考えているのか知るのにとても良い機会でしたし、最初にテンポ感について持っていた違いについても、彼は私のテンポを瞬時に察知して合わせてくれました。とても柔軟性に富んでいて、繊細な音楽家だということをあらためて感じました。
フルートオーケストラと吹くということは、私の後ろには曲を理解している人たちがたくさんいるということ。その点も、私にはプレッシャーになりましたね(笑)。
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また、東京と名古屋のコンサートでは、ボウェンのフルートソナタを演奏されました。ボウェンは、ロンドンの王立音楽アカデミーの卒業生ですね。あまり曲を聴く機会がないのですが、どんな作曲家なのでしょうか。
B
最初に彼の名前を見つけたのは、英国王立音楽院だったと思います。彼の絵が学校に飾ってあったか、彼の名前のついた部屋があったか何かです。学生時代、ピアニストと一緒に珍しいレパートリーを探していて、彼のソナタを見つけました。吹いてみて、これは英国のラフマニノフだ! と思ったんです。とてもロマンティックで情緒的で……この曲の音楽のドラマにすっかり惚れ込みました。最初の楽章は荒れ狂うような激しさ、2楽章はまるで英国の午後のように、とても静かでシンプル。3楽章はアレグロコンフォーコ、炎のように情熱的なのです。(次のページに続く)

次のページの項目
・恋に落ちて…
・正反対のアプローチ
・ONLINE限定:「仕事」と思っていないから、オンもオフもないの!

 

Profile
エミリー・バイノン
Emily Beynon
英国ウェールズに生まれ、英国王立音楽大学ジュニアコースにてマーガレット・オゴノフスキー氏の元でフルートを始めた。その後、英国王立音楽院でウイリアム・ベネット氏に師事、さらにパリにてアラン・マリオン氏に指示して研鑽を積む。神戸国際コンクール、プラハの春コンクールなどで上位入賞を果たした後、25歳で世界最高峰オーケストラの一つ、名門ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の首席奏者に就任。以降、その地位を揺るぎないものとする活躍を続けている。指導者としての評価も高く、世界各地からマスタークラスの教授として招聘されている。日本では鹿児島県で毎年開かれる霧島国際音楽祭に頻繁に招かれている。2009年には自身でもフルートのサマースクール、オランダ・フルート・アカデミーを立ち上げ、高い評価を得ている。母校である英国王立音楽院からは2002年、特に優秀な功績をあげた卒業生として特別会員に認定され、2011年秋からはフルート客員教授を務める。

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