フルート記事
THE FLUTE vol.174

くまなく探求する好奇心、 音楽的に考えるということ サラ・ルメール

昨年行なわれた日本フルートコンヴェンションでは、ムラマツフルートのショーケースに出演。また、日本でのマスタークラスも開講するなど、2005年に神戸国際コンクールで3位入賞して以来、日本との縁を大切にしているルメールさん。スイスロマンド管弦楽団の首席フルート奏者を務めるほか、ルツェルン音楽大学で教鞭をとるなど、教育にも情熱を傾ける。若いフルーティストたちに期待すること、歌とフルートの良い関係……など、普段の活動の中で感じることを語ってくれた。 
インタビュア:竹内あすか(フルーティスト)、写真:森泉 匡、取材協力:村松楽器販売株式会社

隣の親切なおばさんは、あの人の母だった

今回ムラマツフルートで行なわれたマスタークラスは、どんな印象でしたか?
ルメール
(以下R)
日本の学生たちはいつもよく準備をしていますし、彼らはとても反応が早くオープンです。音楽表現の細やかなニュアンスについて、興味を持っていることも嬉しいです。日本で教えるようになって以来、レベルはどんどん上がっています。
 
あなたの音楽的バックグラウンドについて教えてください。ご家族に音楽家はいますか?
R
いいえ、とも、はい、とも言えるんです(笑) 。私の両親は医者ですが、特に父親はピアノに才能がありました。子どもの頃私が寝室へ行くと、彼の楽しみにしていた演奏の時間がリビングで始まり、バッハやベートーヴェンなどを毎晩のように聴きました。また家族で歌ったりする時間もたくさんあり、そうやって私は家の中にあふれる音楽と共に成長しました。また父の演奏から、クラシック音楽の重要なレパートリーを学んだことも財産ですね。 

次のページの項目
・フルート演奏と声楽、分かちがたい関係
・ジョナサン・ノットがもたらした、大きな変化

Profile
 サラ・ルメール
サラ・ルメール
Sarah Rumer
スイスロマンド管弦楽団の首席フルート奏者としてコンセルトヘボウやベルリン・フィルハーモニー、ウィーン楽友協会、サントリーホール、テアトロ・コロンなど世界の名だたるコンサートホールで演奏している。また、モーツァルテウム管弦楽団・グラーツ交響楽団でも首席奏者として活躍している。1978年にチューリッヒで生まれ、フルートをフェリックス・ドリーゴ、ギュンター・ルンペルに、声楽をヴェレーナ・ピラー、ルドルフ・ハルトマンにチューリッヒ音楽大学にて師事し、その後ウィーンでディーター・フルーリー(ウィーン・フィル首席奏者/グラーツ芸術大学教授)に学んだ。ミヒャエル・コフラー、ウォルフガング・シュルツ、ペーター=ルーカス・グラーフ、オーレル・ニコレのマスタークラスを受講。カール・ニールセン国際音楽コンクール、マルクノイキルヒェ国際コンクール、神戸国際フルートコンクールにて入賞し、オーケストラのみならずソリストや室内楽奏者としての活動もスタートし、ヴェルビエ/ルツェルン国際音楽祭のほか、イタリア、ドイツ、スペイン、ポルトガル、フランス、中国、日本、韓国でも演奏している。教えることにも情熱を傾けており、2011年よりルツェルン音楽大学にて教鞭をとり、ヨーロッパやアジアでのマスタークラスに招かれている。また2012年からライナウ国際マスタークラス(www.meisterkurse-rheinau.ch)講師。www.sarahrumer.ch
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