THE FLUTEオンライン記事:THE FLUTE 164号 Cover Story|高木綾子
画像

高木綾子 いかに本番に臨むか――演奏家になるとは、そういうこと

THE FLUTE 164号 Cover Story

東京藝術大学准教授を務め、演奏活動も精力的にこなす高木綾子さん。プライベートでは、3人の子の母親でもある。凛とした美しさの中に気さくな素顔も覗かせる彼女が語ってくれた話は、後進の女性たちにとって大いに参考になるだろう。子育てについて、音楽への向き合い方、演奏家としての生き方――溌剌とした前向きな姿勢に、励まされ共感させられるフルーティストたちはきっと多いに違いない。
(写真:標隆司/協力:株式会社AMATI、紀尾井ホール)

バイタリティという名のオーラ

お話を伺ったのは、今年の大型連休期間、石川と宮崎で行なわれる2つの音楽祭に出演する直前に東京で行なわれたリハーサルの合間のひととき。小学生2人と保育園児を育てながら、大学で教え、地方公演もこなすなど、本当に多忙な毎日を過ごす高木さん。「自分があと2人くらいほしい!」と言う彼女からは、バイタリティという名のオーラが発散される……ように感じるのは、気のせいではないはずだ。
かつて、オーケストラに入団するか、大学で教える仕事をするか、迷った時期があった。結局選んだのは、大学のほう。理由は、休みの期間が決まっている大学だったら、勤めながら出産・育児が可能だと思ったからだという。そしてその計画通り、3人の子どもは全員大学が夏休みに入る期間に出産し、最小限の産休をとってやりくりしてきた。「周囲の協力があってこそできたこと」とはいうものの、そのエネルギーはさまざまなところで発揮されているのである。

――
今号では「音楽祭の楽しみ方」を取り上げることもあり、この時期2つの音楽祭に出演される高木さんにぜひお話を伺いたいと思いました。石川と宮崎、両方に同時期に行かれるのはハードでしょう。
高木
両方に荷物を送る手配をしないといけなかったりで、もうバタバタです(!)
――
高木さんは、仕事をしながらの子育てについて、いろいろなところで発信されています。周囲からの反応などはありますか?
高木
出産や育児のことって、女性フルーティストにとってはある意味ネックになってしまっている部分でもあると思うんですよ。仕事としてフルートを続けるならなおさら、出産や子育てをしている暇なんてないんじゃないかと思ってしまったり、周りに迷惑かけるんじゃないか、とか……。生徒からも結構聞かれることがあって、みんな気になっているんだな、と感じることも多いですね。
――
子育てをめぐる問題って、暗い話題も多いですよね。「保育園落ちた…」とか。何か、まるで不幸のような状況になってしまっていることもあります。
高木
演奏家は、フリーで活動することが多いですよね。そしてかなり忙しいのに、フルタイムの会社勤務に比べると保育園に入るのに不利だったもします。 私の場合は、長男を産んですぐに家の近くに東京都の認証保育所ができたんです。0歳からそこに入れてもらうことができて、2番目の子も同じ所に通いました。いちばん下の子は、認可の保育園に入れようと思って申し込んだら、落ちてしまって。「ほかに2人子どもがいて常勤で働いていて、延長保育の常連でもあるのに、それで落ちるってどういうことなんだろう……」って、さすがに考えてしまいましたね。そんな体験をしてきて、振り返ってみると綱渡りのような状況もたくさんありました。
――
そういう体験談もそうですし、妊娠・出産を経た体の状態のことなども、若い女性フルーティストには特に、不安が大きかったり知りたいこともたくさんあると思うんです。体験したプロの方々にもっと発信してもらえるといいな、と感じます。高木さんは他のいろいろなインタビューでもズバリ率直に話をされていて、頼もしい!と思いました。

高木綾子

全文は本誌164号にて掲載しています。

 

プロフィール
高木綾子(たかぎあやこ)
愛知県豊田市生まれ。東京藝術大学付属高校、東京藝術大学を経て、同大学院修了。毎日新聞社主催全日本学生音楽コンクール東京大会第1位(1995年)、神戸国際フルートコンクール奨励賞(1997年)、大学内にてNTTDocomo奨学金を受け、安宅賞(1997年)、宝塚べガコンクール優勝(1999年)、日本フルートコンベンションコンクール優勝、併せてオーディエンス賞(1999年)、第17回日本管打楽器コンクール、フルート部門第1位及び特別賞(2000年)、第70回日本音楽コンクールフルート部門第1位 (2001年)、第12回新日鐵音楽賞フレッシュアーティスト賞(2001年)、ジャン=ピエール・ランパル国際フルートコンクール第3位(2005年)、神戸国際フルートコンクール第3位(2005年)など多数の受賞歴を誇る。一方で、大学在学中より本格的な演奏活動を開始。これまでにNHK交響楽団を始め、国内主要オーケストラとの共演はもとより、ベルリン・ユーバル・カルテット、チェコフィルハーモニー八重奏団、新イタリア合奏団、シュトゥットガルト室内管弦楽団、フランツ・リスト室内管弦楽団、ミラノ・スカラ弦楽合奏団、オーベルニュ室内管弦楽団、香港シンフォニエッタ、サンクトペテルブルク交響楽団の日本ツアーのソリストとして同行、2004年秋にはパリ室内管弦楽団との共演でパリ・デビュー、続く日本ツアーにも同行し好評を博した。現在、東京藝術大学准教授、洗足学園音楽大学客員教授、日本大学芸術学部、武蔵野音楽大学、桐朋学園大学の非常勤講師を務めるなど後進の指導も行なっている。

■関連キーワード・アーティスト:

高木綾子


フルートグッズ
フルートコンサートガイド
レッスンマスターッシリーズ

画像
画像

画像
画像