ザ・ナルマン・クラリネット・アンサンブルが伝授 やれば絶対にうまくなる基礎練習

Lesson13  スケール その1

 

「ザ・ナルマン・クラリネット・アンサンブルが伝授 やれば絶対にうまくなる基礎練習」は亀居優斗、三界達義、吉本拓、和川聖也の4名から成るザ・ナルマン・クラリネット・アンサンブルが、クラリネット愛好家に伝えたい基礎練習講座です。ロングトーンやタンギングなど上達に欠かせないコンテンツをメンバーがそれぞれ解説していきます。隔週の金曜日に更新していきますのでお楽しみに♪

 
○The Narmen Clarinet Ensemble
 

2018年、東京芸術大学と東京音楽大学の在学中に亀居優斗、三界達義、吉本拓、和川聖也の4人で結成されたクラリネットアンサンブル。2018年3月に初のコンサートを開催し、好評を博す。2019年にはドルチェ楽器と十亀正司氏の共同企画であるNEWSvol.6に出演し東京、名古屋、大阪の3公演を行なう。その他にも演奏会を重ね意欲的に活動中。前衛的なプログラムに挑戦している新進気鋭の若手クラリネット四重奏団である。2020年9月には、オペラシティリサイタルホールでのコンサートを開催する。

 

 

Lesson13 スケールその1─なんでいろんな調性を練習しないといけないの?

こんにちは、亀居です。
今回からはスケールについてのお話です。
スケールってたくさんの種類があるし、どんどん難しくなるからなんとなくいつも簡単な調性だけ取り組んでいたりしませんか?
どうしてたくさんの調性で練習したほうが良いのか。僕はスケール練習は数学で言うと公式を覚える、また英語で言うと文法を覚えるようなことだと思っています。
数学も英語も公式や文法を覚えているかいないかでは問題の理解するスピードが全然違うと思います。それと同じようにスケールをたくさん練習している人としていない人では譜読み、そして曲を仕上げる速さが違ってきます。それはスケール練習による応用力の差が出るからです。

 

♪英語の文法と似てる!?

皆さんが部活動で普段取り組む曲は調性音楽と言って決められた調性がある中で演奏するものが大半で基本的にどこかの調性をベースに構成されます。
自分が演奏している調性を理解して演奏することで音楽をより充実させることができるのもスケール練習をする意味だと思ってます。
少し難しい話をすると音程の取り方や音の扱い方も調性によって同じ音でも変わります。和声という和音構成の話になってしまうため詳しくは割愛しますがその時々で音には様々な役割があり、それは調性に基づいて決まってくると思ってください。その役割は理論で理解して考えて演奏することも大事ですが、耳と体で感じて覚えていくことも大事な要素です。そうするためにはいろいろな調性でスケール練習をすることも重要な要素になります。このような話はなんとなく英語の文法と似てますね。

数学の公式のようなお話をするといろいろなスケールを練習すると先ほど述べた通り応用力が高くなります。スケールを練習せず♯や♭が出るたびにこれはなんの指だっけ……となる人より練習して身についている人の方がすぐにわかるようになるのは差が出ますよね。楽器を演奏するときに音を見ただけで指が動いていくような感覚になると日々の練習で曲の仕上げるスピードの向上になります。
簡単な調性でしかスケール練習していないと難しい調性がふと出てきた時に対応できなくなってしまいますし、余計な意識や力が入り良いことがありません。そのためいろいろな調整でスケール練習をしていきたいところですね。

 

♪対応力をつけるためにスケールをやろう!

スケール練習はロングトーンと同様に基礎の中で重要になる練習です。なんとなくで取り組んでしまうともったいないのでその日ごとに目標などを決めて毎日取り組むようにしましょう。僕は中学生時代、部活動での曲はあまり練習せずスケール練習に人一倍取り組んでいました。それは基礎力を上げることで応用力がつき、たくさんの曲に取り組んでも対応できるようになると思ったからです。
全調やる時間がない場合は毎日1ー2個決めて取り組んでもいいと思います。適当に全調やるよりは的を絞って取り組んだほうが良いです。
教本は学校で配られているバンド用のもので良いと思いますが、物足りなく慣れば音域を広げたりテンポを上げたりして自分に負荷をかけて取り組みましょう。ちなみに音大受験などで多く用いられるスケールの教本はR.アイヒラー著のScales for Clarinetです。興味があればぜひ買ってみてください。
苦手な調性を日々の練習でなくしていけば演奏を自由にできる幅が広がります
楽しく音楽を表現できるように頑張っていきましょう!

スケール・フォー・クラリネット  ロルフ・アイヒラー著/国立音楽大学 発行
 
 
 
 
今回の執筆者は……

亀居優斗 Yuto Kamei

第15回 クラリネット アンサンブルコンクール 一般部門 第1位併せてグランプリ受賞。第87回 日本音楽コンクール 入選。第17回東京音楽コンクール 第3位位併せて聴衆賞受賞。第30回日本木管コンクール 第2位。2017年 名古屋フィルハーモニー交響楽団とモーツァルトの協奏曲を共演。これまでにクラリネットを浅井崇子、井上京、伊藤圭、亀井良信の各氏に師事。R.ギュイオのマスタークラスを受講。愛知県立明和高等学校音楽科を経て、東京藝術大学器楽科を卒業。2017年度 青山財団奨学生、瀬木芸術財団短期海外研修奨学生。現在、東京佼成ウインドオーケストラ楽団。

 


次回の公開は4月30日(金)に、三界達義さんによる「スケールその2 初心者向け練習法」をお届けする予定です。お楽しみに!

 


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