フルート記事
THE FLUTE 140 Cover Story|ローナ・マギー

楽器と私たちの間には何の境もない。フルートは人生そのもの

アメリカ・ピッツバーグ交響楽団首席フルート奏者、ローナ・マギーさんの日本初リサイタル開催 ─そんな情報を得て、さっそく京都での公演を終えたばかりのマギーさんのもとにインタビューに伺った。THE FLUTEにとって、女性奏者が表紙を飾るのは久々だ。華やかで明るい雰囲気を纏って現れたマギーさん。演奏への向き合い方や、これまでのフルートライフなど、サービス精神とバイタリティ溢れる人柄を感じさせるインタビューとなった。
インタビュア・翻訳:清水理恵、取材協力:株式会社グローバル、株式会社ダルク モデルズ アンド ファクトリー 写真:谷本俊行

禅の庭に感じる“音楽”

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昨日は、京都の「府民ホール アルティ」で公演をされましたね。いかがでしたか?
マギー(以下 M)
素晴らしい経験でした。音響の良い素敵なホールで、皆さんが温かく迎えてくださいました。好意的に、集中して聴いてくださる感じが伝わってきて、終始心地よく演奏することができました。
ローナ・マギー
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今回が初来日ですか?
M
実は、20年ほど前にBBC交響楽団のメンバーとして、来日しています。当時はBBC交響楽団の副首席フルート奏者でした。京都もその時のツアーで行ったので、見覚えがあるお寺がありました。
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日本のお寺は好きですか?
M
大好きです。そこに息づく美学が素晴らしいと思います。特に、禅の庭が好きですね。岩と白砂の組み合わせや、美しく整えられた松を見ていると、心が静かになります。シンプルで魅力的です。じっと座っていると、天地万物を感じることができます。庭には、岩と白砂、木があるだけなのに、不思議とそれが島や海などに見えてきたり、消えてはまた違うものに見えたりします。
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まるで音楽のようですね。
M
その通りです。静けさから美しい音が生まれてきたと思うと、また静けさに戻る。音楽も禅の庭に似ていますよね。(次のページに続く)

次のページの項目
・「最高の泥棒」から影響を受けて……
・出会いと経験、そこから学んだこと
・テクニックを駆使するための練習法
・ONLINE限定:番外編

Profile
ローナ・マギー
ローナ・マギー
Lorna McGhee
スコットランドに生まれる。故郷ではデイヴィッド・ニコルソン、英国王立音楽院では美知恵・ベネット、ウィリアム・ベネットの各氏にフルートを師事し、卒院時には最優秀成績者を表彰する「女王賞」を授与される。卒院後まもなく英国BBC交響楽団首席フルート奏者に就任。オーケストラ奏者としては、シカゴ交響楽団、ミネソタ管弦楽団、ロンドン交響楽団、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、アカデミー室内管弦楽団、ヨーロッパ室内管弦楽団の客員首席奏者を務めている。現在、ピッツバーグ交響楽団首席フルート奏者、英国王立音楽院名誉会員(FRAM)。
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