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The Clarinet vol.4 Cover Story │ ミシェル・アリニョン
心の奥底に語りかけるクラリネットの音色
パリ国立高等音楽院の教授であるアリニョン氏は、何度も来日し、多くの若者を教え育てている。
高い音楽性と飾らない人柄から発する演奏は多くの人々に強い感動を与えている。
インタビュア:大浦綾子
聴講は大切な勉強

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具体的にはどんなエチュードを使って勉強しましたか?
A
まず初心者のときは、古くから使われているクローゼのメソードを使っていて、上達するに従って他のいろいろなものを平行してやっていきました。それから、伝統的なフランスのエチュード、例えばローズ、ランスロ、ペリエ、クローゼ、カバリーニなどをたくさんやりました。高等音楽院に入ってからは、ビッチやジャンジャンなど、より高度なエチュードを続けると同時に、曲も数多く勉強してレパートリーを増やしていきました。日本でも知られている、モンブラン、リュエフ、ヴィドール、メサジェなどなど、数え切れないほどありますよね。
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レッスンはどんなものでしたか?
A
当時、クラリネットのレッスンは週3日あって、生徒はそのうち2日は必ず行かなくてはいけませんでした。私はとても良いことだと思うのですが、ドレクリューズ先生は全ての生徒が出席することを強く要求しました。レッスンが2時からだとすると、先生は2時ぴったりに来て、その時には生徒全員が揃っていなくてはいけません。12人の生徒のうち、吹くのは6人で、他の6人はずっと聴講するんです。実際、他の人を聴くことは大変勉強になりましたよ。私も今、自分の生徒にはできるだけ聴講するよう言っていますが、生徒の方も昔より取る授業が多くて忙しいので、強要することはできませんね。
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現在、高等音楽院で教えていらっしゃるのですが、先生として一番大切なのはどんなことでしょうか?
A
大切なのは、先生がそれぞれの生徒の長所と短所をきちんと理解していること。
もちろん高等音楽院に入って来る生徒は皆水準が高く、欠点は少ないのですが、その中でもこの生徒は何が苦手かを見抜くことです。それは音色かもしれないし、スタッカートかもしれないし、指かもしれない。だから皆に同じレッスンをするのではなく、それぞれの生徒に合ったプログラムで進めます。もちろん生徒達の間に共通点もあるので、同じことをやったりもしますよ。月に2回ピアニストが来て伴奏をしてくれるので、そこで皆同じ曲を吹くこともあります。
もちろん高等音楽院に入って来る生徒は皆水準が高く、欠点は少ないのですが、その中でもこの生徒は何が苦手かを見抜くことです。それは音色かもしれないし、スタッカートかもしれないし、指かもしれない。だから皆に同じレッスンをするのではなく、それぞれの生徒に合ったプログラムで進めます。もちろん生徒達の間に共通点もあるので、同じことをやったりもしますよ。月に2回ピアニストが来て伴奏をしてくれるので、そこで皆同じ曲を吹くこともあります。
ヴィブラートも豊かな表現を得る手段
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話は変わりますが、アリニョンさんにとって、クラリネットの魅力とは何でしょう?
A
ああ、良い質問ですね(笑)。
クラリネットが他の楽器と違うのは、音色の多面性だと思います。クラリネットという楽器は、ブリリアントで愉快で主のある音色を持っている反面、——ここが私が最も好きな所なのですが——心の奥底に語りかけるような音色も持っています。きっとクラリネットは管楽器の中で最も表現力の豊かな楽器と言えると思います。
クラリネットが他の楽器と違うのは、音色の多面性だと思います。クラリネットという楽器は、ブリリアントで愉快で主のある音色を持っている反面、——ここが私が最も好きな所なのですが——心の奥底に語りかけるような音色も持っています。きっとクラリネットは管楽器の中で最も表現力の豊かな楽器と言えると思います。
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ヴィブラートについてうかがいますが、ときどき、クラリネットはヴィブラートをかけなくても十分魅力的な音をしていると言う人がいますが、どう思われますか?
A
もちろんおっしゃる通り、クラリネットはヴィブラートなしで十分人を惹きつける音色を持っています。しかしなから、非常に表現力を必要とされる場で吹く場合、例えばオベラなどで、ヴィプラートを使うことは一つの表現の手段なんです。もちろん始終ヴィプラートのかかった演奏は私も好きではないけれど、たまに、ここぞという所でうまくヴィブラートを使えば、それは素晴らしい表現力になるんです。
多くの作曲家がアリニョン氏のために作品を書いている作曲者はクラリネットらしい音色を求めている
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吹奏楽において、クラリネットはどういう役割りを果たすとお考えですか?
A
吹奏楽において、クラリネットはとても重要です。オケでいう弦楽器のパートですからね、難しいのは、まず楽譜がテクニック的に難しいですね。編曲ものではヴァイオリンのパートが来てしまうわけですから。そして、それを全員が同じように正確に吹けなくてはいけない。同じ音色で、同じタンギングで。私も若いころ吹奏楽で吹いた経験がありますが、とても良い勉強になりました。テクニック的にも、アンサンブルの上でもね。楽しい思い出ですよ。
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では、オーケストラにおいては?

A
オーケストラでのクラリネットは他の管楽器と同じくソリストですから、その役割は、フレーズを引きついで次に受け渡したり、クラリネットの音色によってそのフレーズを際立たせたりすることです。例えば、ブラームスやベートーヴェンのシンフォニーで、他の管楽器が奏でたフレーズをクラリネットがもう一度演奏することがよくあるでしょう。
それは、同じフレーズを違う楽器で演奏することによる変化を作曲者が求めているのです。
ですから、クラリネットのソロが出てきたときは、作曲者がそこで本当にクラリネットの音を求めているわけですから、奏者は常にクラリネットらしい音を探さなくてはなりません。
それは、同じフレーズを違う楽器で演奏することによる変化を作曲者が求めているのです。
ですから、クラリネットのソロが出てきたときは、作曲者がそこで本当にクラリネットの音を求めているわけですから、奏者は常にクラリネットらしい音を探さなくてはなりません。
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