THE FLUTE ONLINE 連載

石井希衣の教えて!コンテスタント 第9回|石田彩子

第9回 インタビュー 石田彩子さん

皆さま、こんにちは!フルーティストの石井希衣と申します。
今話題のフルーティストにお話を聞き、コンクールをいろいろな視点から探ってみよう!という企画、第9弾でございます。

今回は石田彩子さんにお話を伺いました。
第2回アジアフルートコンクールで日本人初の第1位を受賞後、様々なステージで活躍されています。そして、作曲家としても素晴らしい作品をたくさん生み出している彼女。どれも色彩豊かで、イマジネーション溢れる、フルートの魅力がたっぷり詰まったとっても素敵な作品です。
そんな石田さん(私は“さいちゃん”と呼んでいます)の音楽を見つめる姿勢がとても素敵だと思っていたので、お話を伺えて本当に良かったです。
彼女も、長い間悩みながら自分の道を見つけ極めている素晴らしいフルーティストです。皆さんにもさいちゃんの生き方、そして自分の見つけ方、少しでも知ってもらえたら嬉しく思います。

 
石井
フルートはいつ始めたの?
石田
最初は小学校の金管バンドでユーフォニウムを吹いていたのだけど、中学に入ってからも音楽を続けたかったので吹奏楽部に入部しました。その時一緒に赴任してきた顧問の先生が全国大会経験者の先生だったので、楽器決めもかなりしっかりしていて。私は目立つ金管楽器をやりたかったのだけど(笑)、親と相談したら「フルートじゃないと吹奏楽部自体やらせない!」と言われて。まあ喧嘩したけど(笑)。それで仕方ないな……と希望を書いたらフルートになりました。
石井
ちなみに、藝大を意識し始めたのはいつ頃か覚えていますか?
石田
中学校一年生の時かなぁ……。
石井
えぇっ!私なんて藝大の「げ」の字も知らなかった!!!(笑)
石田
あはは(笑)それが私がフルートを始めた時、父がCDを2枚買ってきたの。高木綾子さんのCDと、ジェレミースタイグというジャズフルーティストのCDだったのね。どちらもすごく好きだったのだけど、この高木綾子さんっていう日本人は藝高・藝大に行ったのか……そして大学院まで出て……「なるほど、そこまで行けばプロになれるんだ!!じゃあ芸大行くわ!!」という流れです(笑)。
石井
すごい流れだね(笑)。そもそも藝大を意識して音高に入ったのね。音楽科の高校ではどんな高校生活でしたか?
石田
私は音楽科のある学校に通っていたけれど、この環境だけではなくてもっと外の人たちと戦いたい!という思いがあったかなぁ。だからコンクールを受けると刺激があって良かったけど、結果がなかなかついてこないのでいつも先生に「落ちました(涙)」って電話していました。
あの頃は、楽しいというより早く結果を出さないと!という思いが強かったかなぁ。
石井
そのあと、藝大に一発合格したのね!受験のこと覚えていますか?
石田
まず藝高にはかっぴー(岩崎花保さん)がいて、満丸くん(満丸彬人さん)とか、松木(松木さやさん)がいて。でも地方には大阪部門であの子が一位だし、その前の年はあの子もいて……って数えていたら「わーーー!もう7、8人分の枠埋まったじゃん!どうやって入るの!?」って考えていました(笑)。(※藝大フルート科の定員は毎年大体7、8人)
その時、藝大を受験するクラリネットの同級生と話していたら「私は藝大を一番で合格するつもりだよ」と言われて……私はそんなこと考えたこともなかったからびっくりしたのだけど、「一番で通らなかったら、授業で1st吹くのにどうのとか、試験がどうのとか、きっとあるじゃない?」って言われて。
ただ受かればよいと思っていたし、滑り込みでギリギリ通ればと思っていたので、年が明けてから結構必死にさらったかな。だからなのか合格が決まったあと、当時習っていた金先生には「正直受からないと思っていた」と言われました(笑)。「後から追い上げてきたねぇ」って(笑)。
石井
金先生をもびっくりさせてしまったのね(笑)念願の藝大に入ってみて、どうだった?
石田
めちゃめちゃ楽しかった。やっと話の合う人がたくさんいる!って思ったかな。もちろんすごく上手な人が山ほどいて楽しかったし、自分と同じ価値観で、高い志を持って努力している人が周りにたくさんいることを知って、ここにきて本当によかったと思いました。

次のページへ続く
・インタビュー
・Q&A 石田さんに聞いてみた!

Profile
石田彩子
石田彩子
Saiko Ishida
1990年生まれ。埼玉県出身。12歳よりフルートを始める。大宮光陵高等学校音楽科を経て、東京藝術大学音楽学部器楽科を卒業。これまでにフルートを、鈴木康恵、若土祥子、高木綾子、金昌国、中野富雄、木ノ脇道元、室内楽を寺本義明、三界秀実の各氏に師事。また、ジャッグズーン氏のマスタークラス受講。第2回アジアフルートコンクール第1位(日本人初)。藝大モーニングコンサートにて、指揮 尾高忠明 藝大フィルと尾高尚忠:フルート小協奏曲を共演。第18回フルートコンヴェンション アンサンブルアワード部門第3位。フルートアンサンブル“FEAMS”のメンバーとしても意欲的に活動しており、ウィンズスコア社より発売の「アンサンブルコンテストコレクション」のレコーディングに参加。現在、フリー奏者として在京オーケストラ、吹奏楽団にエキストラでの参加、映画・ゲーム音楽等のスタジオワークなど様々な演奏活動に従事する傍ら、中・高校生への指導にもあたっている。
石井希衣
石井希衣
Kie Ishii
福岡県出身。都築学園福岡第一高等学校音楽科卒業。桐朋学園芸術短期大学芸術科音楽専攻を経て、専攻科音楽専攻を第一位で修了。桐朋オーケストラアカデミー研修過程修了。東京藝術大学別科在学中。 これまでにフルートを梶原里美、宗美沙子、野口龍、高木綾子の各氏に、フラウト・トラヴェルソを菊池香苗氏に師事する。 第52回北九州芸術祭クラシックコンサート全部門グランプリ、県知事賞を受賞。第62回全日本学生音楽コンクール福岡大会奨励賞受賞。第25回日本木管コンクールフルート部門入選。つくばフルートコンクール2018 一般部門第1位と中野雄&若林暢賞、戸部謹爾賞を併せて受賞。 第19回日本フルートコンヴェンション in福岡 コンクールソロ部門第1位、吉田雅夫賞受賞。第88回 日本音楽コンクール フルート部門第2位。

次回更新もお楽しみに!

ご意見はザ・フルートの公式SNSのダイレクトメッセージ、またはアルソ出版のお問い合わせアドレスまでお送りくださいませ。
facebook Twitter mail

[CLUB MEMBER ACCESS]

この記事の続きはCLUB会員限定です。
メンバーの方はログインしてください。
有料会員になるとすべてお読みいただけます。

1   |   2      次へ>      

フルート奏者カバーストーリー