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片山士駿のNYジャズ便り 第9回 〜Memories

THE FLUTE ONLINE連載

春、それは出逢いの季節、別れの季節であると共に、花粉の季節である。この花粉という奴は非常に厄介で、どう足掻こうにも鼻水は垂れてくるわ、クシャミは出るわ、目はグズグズ痒くなるわと良い事なしである。
花粉症の方は、よぉくこの辛さというのをおわかり頂けることでしょう。カタブツな僕は、西洋の薬をあまり進んで飲むことをしないので、この時期はいつも漢方薬に頼っているのだが、然しこの時期のカラリ日本晴れした日などはもう如何しようもない。毎年この時期は、「僕の鼻よ、どうか持ち堪えておくれよ……!」と祈るような気持ちで過ごしているのである。ところが不思議なことに、いざ笛を吹き始めるとピタリとその症状が和らいだりもする。尤も、市販の漢方薬というのも成分調整がなされてごく薄いものになっているという話も聞くし、案外本人の気分に因るのものだったりするのだろうか等と自分に言い聞かせ、今年もこの受難のシーズンを乗り越えて参りたい次第である。……ックション!

丁度1年前の今くらいの時期、ニューヨーク・シティは所謂ロックダウンの状態になり、活気のあったライブシーンは沈黙へと転ずることとなってしまった。当時を思い起こせば、まさかここまで長引くとは、という念を抱かざるを得ない。今も尚、ニューヨークのジャズクラブが以前のように営業出来ていない点を鑑みると、制約はあれど、こうして東京では演奏することができるのは大変に有難いことである。
然し毎回のように、こう懐古主義的にニューヨークに住んでいた時のことを思い出してばかりもいたくないものである。本連載タイトルに名残はあれど、今後そこに留まることなく綴る機会が増える点を改めてご容赦頂きたいと共に、ここからが本題である。

先日のレコーディング風景。こういった場所だと、あまり花粉の影響も無い気がします
 

皆様、“ジャズ・フルート”とは一体何であろうか。本連載が普段クラシックを演奏されている方々にも、きっとお読み頂けているであろうという希望的観測の上での問いかけである。先へ進む前に、一寸皆さんのイメージを思い浮かべて頂けないだろうか。今回は皆さんの“ジャズ・フルート” 或いは“フルート” そのものに対するイメージを覆してしまうかもしれない1枚をご紹介申し上げたい。

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片山士駿

片山士駿  (かたやま しゅん)
1995年 千葉県市川市出身。国立音楽大学ジャズ専修 首席卒業。矢田部賞受賞。Manhattan School of Music修士課程修了。第46回山野ビッグバンドジャズコンテストにて、最優秀ソリスト賞を受賞。第20回、第21回 太田市ジャズフェスティバルに於いてソリスト賞を受賞。National Flute Association主催 44th Annual Convention, Jazz Artist Competitionに於いて、同部門では邦人初のWinner Playerに選出。ジャズを音楽的背景に持ち、自己のプロジェクトを行なう他、様々なアーティストのレコーディングやライブのサポートへ参加している。YAMAHA Z アーティスト。
これまでに池田篤、大澤明子、斎藤和志、Donny McCaslinの諸氏に師事。
主な共演歴: 小曽根真、佐山雅弘、山下洋輔、井上 智、井上陽介(敬称略)等

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