
第21回│頭部管と聴こえ方
春、出会いの季節です。新年度、新学期、新しい学友や先生、先輩、後輩との出会いがあることでしょう。そこからの繋がりで、この先ずっと付き合いが続いたり、あるいは卒業や転職などを機に疎遠になってしまったり、まさに縁は異なもの味なもの。巡り合わせというのは、実に不思議なものだなぁと感じる今日この頃の三十路です。
僕も中学一年生の冬にフルートとジャズに出会って、なんだかんだと、ひとまずこの歳まで続けることができていますが、当時別のものに関心が移ろいでいたら、まったく違う人生になっていたと想像すると、なんだか不思議な気持ちになります。しかしここまで続けているのは、やはりフルートにもジャズにも、いつまでやっていても飽きない魅力があるからに他なりません。先日はこれまでの経験を踏まえ、あまり体系化されて語られる機会の少ない「ジャズの中のフルート史」について、Jazz Arts Ensemble of Tokyoの企画で講座を開かせていただきました。前半は僕の講座、後半は前半の内容でも触れた楽曲を、ギタリストの浅利史花さん、ベーシストの佐藤潤一さんとともに演奏し、実際に聴いていただくという2部構成です。たくさんの皆様がご参加くださり好評をいただきましたので、またいずれ企画したいと思います。


さて出会いといえば、前回冒頭でも少し書かせていただいたのですが、昨年末に「これは!」というものに出会ってしまい、頭部管を新調しました。今日はそこからの気づきがあったので、綴っていきたいと思います。
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片山士駿 (かたやま しゅん)
1995年千葉県出身。国立音楽大学ジャズ専修を首席で卒業、矢田部賞受賞。Manhattan School of Music 修士課程を修了。2015年、第46回山野ビッグバンドジャズコンテストにて最優秀ソリスト賞を受賞。フルート奏者の受賞は大会史上初。2016年、米国フルート協会 NFA主催 Jazz Artist Competition Winner Player に選出される。2018年、マンハッタン音楽院へ入学しニューヨークへと渡る。2020年、新型コロナウイルスの影響により日本へ帰国。都内を中心に、自己のリーダーカルテットや、浅利史花(gt), 壷阪健登(pf)と結成した“キリヱ”での演奏活動の他、文化放送70周年記念「朗読劇 WA-GEI 」、「映画『ルパン三世 カリオストロの城』シネマ・コンサート! and 大野雄二・ベスト・ヒット・ライブ!」等、様々なライブやレコーディングへの参加、TV 出演など、活動は多岐にわたる。これまでに池田篤、大澤明子、斎藤和志、Donny McCaslinの諸氏に師事。
主な共演歴:小曽根真、菊池ひみこ、佐山雅弘、山下洋輔、にゅうおいらんず等(敬称略)